キャンパス内でのミッシェル。プロゴルファーとしての時間を忘れるほどに、もうひとつの世界が彼女にはあった。（Thomas Broening／GW)

ウィは2つの生活を、くっきり分けるようにしている。通常、月曜日と水曜日には授業に出掛け、火曜日と木曜日はゴルフの練習をする。この分けられた生活スタイルを、ゴルフや学校だけではなく、テニスや野球、水泳、バレエに打ち込んでいた子供の頃から好んでいる。

いつもならば、春の学期は授業には出ず、LPGAツアーに専念していたため、元々は6年掛けて卒業する予定にしていた。だが、友達の大半が4年で卒業して、昨年の夏にスタンフォードを去ってしまった。そこで、ウィはペースを上げて、2011年の春の学期は授業を受けて、秋と冬には授業を目一杯詰め込んだのだ。

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当然ながら、2つの生活は複雑に混ざるようになった。遠方で開催されるトーナメントに参加している時は、早朝3時に起きて中間テストを受けることもあった。遠征にはパソコンを持っていき、夜遅くまでレポートを書き続けた。絶え間なく続く試合と移動のスケジュールで、時には疲れ切ることもあったが、スタンフォード大学の学位がほしかった。

学問的な面以上に、ソーシャル・ライフを楽しんでいた。エスピノーザや他の友達と一緒に、フィエスタボウルの応援にアリゾナに出掛けたり、キムや他のゴルファーと一緒にソルハイム・カップに出場したり、大きなグループの一員であることを楽しんだ。期末試験のストレスすら、懐かしく思うかもしれないと言う。なぜなら、友達みんなで集まって勉強し、慰めあうことも楽しかったのだ。

スタンフォード大学で送った日々のおかげで、新しい人々、新しい食事、新しいものに出会うことが好きだと気が付いた。この発見がトーナメントで優勝する助けになることはないかもしれないが、彼女にとっては重要なことだ。「トーナメントで優勝する役に立つか立たないか、なんてことを考えて、大学に行ったわけじゃないわ。私が人間として必要なことだったの。ようやく卒業することになったから、今度はゴルフに打ち込む準備が整っているわよ」。

大学での4年半の生活を終え、ミシェルはスタンフォード大学の学位を取り、一般の友達を見つけ、たくさんの楽しい思い出を詰め込み、両親から新たな尊敬を獲得し、カラフルな髪の毛とカワイイ犬を手に入れた。

それでは、ゴルファー、ミッシェル・ウィには何が待っているだろう？

大学に通う間、2009年11月のロレーナ・オチョア・インビテーショナルと2010年8月のCNカナディアン女子オープンで、彼女は2勝をマーク。LPGAツアーのメンバーとして最初の3年間は毎年賞金ランク20位以内に食い込み、抜群の安定感を見せた。

しかし、昨年は1勝もできず（それでも10位以内で終えた大会は7つある）、今年最初の2大会でも出遅れた（タイでは38位タイで、シンガポールでは59位だった）。メジャー大会では過去3年（10位以内は1度）よりも、15、16歳の時（5位以内が5度）の方が断然いい成績を残している。

10代の頃に8戦出場したPGAツアーへの進出も後悔することはないし（ネイションワイドツアーにも1戦出場）、今でもマスターズでプレーすることを夢見ている。だが、彼女は何度も女子の世界ランキングで1位になりたいという大きな目標を口にしている。

「彼女の身体能力があれば、非常に優れた選手になる可能性を今でも秘めています」と話すのは、長年ツアープロとして活躍し、現在はゴルフ・チャンネルで解説を務めるケイ・コッカーリルだ。「ただ、彼女がどれだけ精神的に強いのか、あるいはどれだけ熱心にプレーしたいと考えているのかが分からないんです。誰よりも早く誰よりも頻繁に、小さなボールをホールの中に入れたいと考えているのか？ このやる気溢れるメンタリティこそが必要なものであって、今ではヤニ（・ツェン）が持っていますね。このメンタリティをミシェルが持てるか、ということです」。

「彼女のキャリアを見てみると、申し分がないように見えるかもしれない。ある意味、今から本当のプロ生活が始まるのかもしれません」とコッカーリルは言う。「同時に、ポジティブな経験もネガティブな経験も味わってきた22歳です。精神的な深みはたくさん抱えているでしょう。（頂点に）達しても不思議はないと思います。でも、大きなチャレンジになるでしょうね」。