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「いま僕はココにいます」Vol.179 2023年振り返り編

人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・30歳。2012年のプロデビューから活躍の場を海の向こうに求め、キャリアで足を運んだ国と地域の数は実に70に到達した。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。

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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は日本にいます。2023年のスケジュールを終えて、一時帰国しました。

今年はDPワールドツアー(欧州ツアー)のシードをキープした一方で、念願の初勝利には手が届きませんでした。10月から挑戦した来季のPGAツアー、下部コーンフェリーツアーの出場権をかけた予選会(Qスクール)も突破できず、米国進出の夢は持ち越しになりました。

米国の予選会は3ステージ制。1次(ファースト)はテキサス州ダラス郊外のアビリーンGCでプレーしました。フィールドの大半は来年の職場が決まっていない選手ばかり。「普段はどこでプレーしているの?」と聞かれ、「DPワールドツアー」と返すと、「ああ、なるほど…。来年のステータスはあるけれど、オプションを増やしたいのか」と独特の反応を多くされました。

そういった普段と違う空気感も影響したのでしょうか。試合前から自分に妙な追い込みをして、「ここでコケるわけにはいかない」と思わぬプレッシャーの渦に。悪天候でイレギュラーな状況の中、しっかり通過できたのですが、久しぶりにものすごく緊張しました。

11月、2次(セカンド)の会場は南部ジョージア州のキンダールーフォレストGC。仲良しの永野竜太郎選手がカリフォルニア州ロサンゼルスのコースを選んだのに対し、南部のゴルフ場でプレーしたのは、12月の最終(ファイナル)を見据えてのこと。小平智選手、中島啓太選手が出場した最後の戦いの会場はフロリダ州。ジョージアのお隣とあって、時差ボケ対策、体調管理を優先させたつもりでした。

ただ、その会場が本当にタフでした。20代前半で海外に出始めてから、ナンバーワンのモンスターコースと言えたかもしれません。18ホールで約7800ydの距離は、数字自体は見慣れています。そういったゴルフ場は得てして標高が高かったり、地面が硬かったりして、ボールがよく飛ぶことが多いのですが、期間中、場内の気温はひとケタと寒く、平地でなかなか球が転がりません…。芽の強い“ザ・バミューダ”と呼べるグリーンで、傾斜も多く、試合前からバーディチャンスが少ない我慢比べを予想していました。

残念ながら、良い流れを引き寄せられないまま4日間は終了。最終予選会には進めませんでした。欧州ツアーでの経験で、最近は面食らうようなコースでも「なんとなくこうすればスコアメークできる」と冷静に対処できるようになってきましたが、改めて本当に難しいコースとぶつかった印象です。インドのゴルフ場のように“ウルトラ狭い”といったトリッキーな難しさとは違う、正統派のパワーコースにやられました。

30歳になった今年、米ツアーへの本格的な挑戦は僕にとって初めて。正直なところ、2次予選会に向かう時には「これまでのキャリアを考えて、本当にわざわざQスクールに出てまでチャレンジすべきなんだろうか…」と思いにふけった時もありました。「敗退したら、もう二度と出たくない」と考えるのか、どういう感情になるのか、終わってみないと分からない、と。

でも今回、米国で本当に難しく、楽しかった18ホールと向き合って「またこのコースでリベンジしたい」という気持ちが湧いてきました。2カ月近い米国でのクルマ旅で過ごした時間も全く無駄ではありません。

16万キロ(地球約4周分)以上を旅した2023年。新しい一年の戦いは、アラブ首長国連邦(UAE)からスタートします。1月「ドバイ招待」(ドバイクリークリゾート)、もしくは「ヒーロー ドバイ デザートクラシック」(エミレーツGC)が初戦になります。米ツアーへの道は、予選会はもちろんですが、ツネ(久常涼)が欧州の年間ポイントレースで10位に入り、PGAツアーの出場権を獲得するという新たな道を切り開いてくれました。そこがまず目指すべきルート。2024年も思う存分、世界を旅します。

旅人ゴルファー

Profile

川村昌弘
川村昌弘Masahiro Kawamura
1993年6月25日・三重県生まれ。5歳の時に父と一緒にゴルフを始め、小学生時代には全国大会の常連選手に。ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスらと出場したフランスでのジュニア大会をきっかけに将来の海外転戦を夢見る。高校卒業後にプロ転向し、2013年に20歳で出場した日本&アジアン共同主管大会「アジアパシフィックパナソニックオープン」でツアー初優勝を飾り、海外進出の足がかりを得た。
川村昌弘選手の略歴・戦績はプロフィールページで

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