旅人ゴルファー川村昌弘 連載一覧
2022年 ポルシェ ヨーロピアンオープン
期間:06/02〜06/05 場所:グリーンイーグルGC(ドイツ)
「いま僕はココにいます」Vol.142 ドイツ編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・28歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、ハンブルクにいます。
今週はドイツでの「ポルシェ ヨーロピアンオープン」です。前週の「ダッチオープン」が行われたセルトーヘンボスからはレンタカーで国境越えですが、5時間ほどで到着しました。
ハンブルクの街は歴史的な建築物もあって見所も充分。豪華な市庁舎のような建物の隣には、ユニクロがありました。写真をよく見ていただくとゴールドのロゴで「UNIQLO」とあります。世界中ですっかり認知されている、すごいなあと感じますね。
さて、開幕前日は恒例のプロアマ戦。この2週はどちらの大会も参加メンバーに選ばれました。今回は欧州ではポピュラー、日本ではあまり馴染みのないプロアマ戦のプレースタイルについてお話しします。
どこの国や地域でも、たいていはプロが一緒にプレーするアマチュアさん(3人か4人)と協力してスコアメークするチーム戦で、他の組とストローク数で争います。日本でよくあるのは「ベストボール方式」で、1打ごとにプロを含めた4人が一番良いボール(カップに近いボール、ライが良いボール)を選んで打つフォーマット。ただし、これはほとんどの場合、プロが打ったショット、パットばかりが次のストロークに採用されるケースが多いのです。
対して欧州では、第1打だけベストボールを採用し、3打目以降はそれぞれ自分のボールでプレーします(プロは基本的に自分のボールでプレー)。ただし、ミスショットが続いて、グリーンに全然たどり着かない…なんてときも延々と打ち続ける必要はありません。こちらでは「Par Is (Your) Friend =パー・イズ・フレンド」がルール。バーディを獲れなかった人は、その時点でパーと記録されます。
アマチュアの方にとって「バーディなんて難しすぎる」というのはごもっとも。しかしアマチュアはあらかじめ自分のハンディキャップを申告しており、ハンディキャップ18のゴルファーであれば、全てのホールに1ストロークずつハンデがつきます(ハンディキャップ5であれば、1ストロークのハンデがつくホールが5つ)。つまりハンデ18であれば、パーパットがバーディパットになるのです。
そのため欧州のチーム戦は“アンダー合戦”になります。1ホールで4人がバーディだったら一気に4アンダー。また、面白い現象はパー3で起こります。同じ組のアマチュア3人全員がハンデ18以上だとしましょう。プロが第1打をグリーンに乗せた後、2打目のパットを入れると実際にはバーディのところが、ハンデがあるのでイーグル=ホールインワンになるのです! プロのショットが1パット確実と言えるベタピンについたら、プロはバーディ、アマはみなホールインワン×3で、1ホールでなんと7アンダーが出る計算。
日本の「いつもベストボール方式」だと、グリーン上で最初に打った方がカップインさせると、その後の3人がそのホールでパットを打てないことも多々あります。欧州では3打目からは自分のボールをプレーするので、その分、充実感も高くなるかもしれません。ハンデも考慮してあるので、ポジティブで、みんなか楽しめるフォーマットだなと感じています。
- 川村昌弘Masahiro Kawamura
- 1993年6月25日・三重県生まれ。5歳の時に父と一緒にゴルフを始め、小学生時代には全国大会の常連選手に。ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスらと出場したフランスでのジュニア大会をきっかけに将来の海外転戦を夢見る。高校卒業後にプロ転向し、2013年に20歳で出場した日本&アジアン共同主管大会「アジアパシフィックパナソニックオープン」でツアー初優勝を飾り、海外進出の足がかりを得た。
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