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「いま僕はココにいます」Vol.133 アラブ首長国連邦編

人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・28歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。

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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、ドバイにいます。

アラブ首長国連邦(UAE)での試合が続きます。欧州ツアー(DPワールドツアー)は「アブダビHSBC選手権」を終えて、今週は「Slync.io ドバイ デザートクラシック」。2週前に日本から入国したドバイに帰ってきました。

首都のアブダビとドバイはいずれもUAEの大都市で、自動車で約1時間の位置関係にあります。ですが、この2つの街は結構な違いがあって。最近でいえば、新型コロナウイルスの対策には明らかな温度差があります。

簡単に言うと、ドバイは“ゆるめ”。アブダビに入る前には陸路の途中にPCR検査の陰性証明を求められる検疫所が設けられているのですが、逆にドバイに向かう際には何もありません。

前週のアブダビでは96時間以内ごとにPCR検査の結果をアップデートする必要があり、試合期間中も4日おきにテストをして、陰性であればクラブハウスに入れるという決まりでした。それが今週のドバイでは、どこに行くにもほぼフリーパス…。同じ国のなかでこれほど違いがあるのも珍しいかもしれません。

同じ国でも違いが…というところで言うと、先週は「同じプロゴルファーでもこんなに違うのか」という体験をしました。大会3日目に、予選ラウンドで同スコアだったロリー・マキロイ(北アイルランド)と初めて一緒にプレーしたんです。

もちろんスーパースターのマキロイ。まあ、飛ぶ! 身体もキレッキレ! 1Wショットで70ydくらい置いていかれたホールもありました。年の初めで、僕はフィジカルもゴルフの調子も起こしているような段階にあるとはいえ…。

ティイングエリアから380yd先のバンカー方向に飛び出したボールに「ダウン!」と願う声が飛んだのには驚いた。さすがにキャリーでは届きませんが、転がりすぎると入ってしまう恐れもあったようで。本当にすさまじいショットでした。

でも、だからこそゴルフっておもしろいと改めて感じました。グリーンの端からなんとか2パットで拾うようなパーを重ねて必死に回ろうとする僕と、マキロイとではアスリートとしての身体能力には段違いの差があります。そんな2人が同じスコアになることがあるのですから。

それにしても、マキロイもナイスガイでした。プレーもスピーディーで、ターゲットに対して振り抜いていくリズムは見ているだけで本当に気持ちいい。そういえばラウンド中、2人とも仮設トイレに入ったあるホールで、「あのトイレ、めちゃくちゃ臭くないか!最悪だ!」と、なぜか意気投合…。アブダビでのなんだか不思議な思い出になりました。

旅人ゴルファー

Profile

川村昌弘
川村昌弘Masahiro Kawamura
1993年6月25日・三重県生まれ。5歳の時に父と一緒にゴルフを始め、小学生時代には全国大会の常連選手に。ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスらと出場したフランスでのジュニア大会をきっかけに将来の海外転戦を夢見る。高校卒業後にプロ転向し、2013年に20歳で出場した日本&アジアン共同主管大会「アジアパシフィックパナソニックオープン」でツアー初優勝を飾り、海外進出の足がかりを得た。
川村昌弘選手の略歴・戦績はプロフィールページで

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