旅人ゴルファー川村昌弘 連載コラム
2021年 カナリア諸島選手権
期間:05/06〜05/09 場所:アデヘGC(スペイン)
「いま僕はココにいます」Vol.111 カナリア諸島編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・27歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いまぼくはテネリフェ島にいます。
アフリカ大陸の北西、大西洋に浮かぶカナリア諸島での3連戦も今週でおしまい。初戦の「グラン・カナリアオープン」が行われた島からは民間のプロペラ小型機で約30分、同じスペイン領の島に移動してきて前週は「テネリフェオープン」。シリーズの最後は同じコースで「カナリア諸島選手権」を戦います。
2大会続けて舞台となるアデヘGCはもちろん、海沿いのリゾートコースです。グラン・カナリア島のコースよりも難しい印象でしたが、前週の予選カットラインは4アンダー、優勝スコアは25アンダーというロースコアの争いになりました。
高低差が背の丈くらいあるグリーンがあるかと思えば、すごく小さいグリーンもあってバラエティーも豊富。ティショットを曲げてしまうと“即OB”というようなホールも用意されているのですが、みんなうまい…。スタートから1打差の中にたくさんの選手がひしめき合うので、バーディを重ねて付いていかなくてはなりません。僕は初日から「65-72-64―71」という波のあるゴルフで28位。今週は安定して良いスコアを出したいと思います。
それにしても、さすがに2週間同じコース、同じリゾートホテルだと少々退屈…。スペイン料理はおいしくて不満はないのですが、コロナ禍で自由に出歩くこともできないので。そういえば、ホテル代いくらになるんだろう。大会側の負担でディスカウントがあるとはいえ、キャディさんと合わせて2部屋、14泊で何十万…。チェックアウトがちょっと怖いです(笑)
とはいえ贅沢は言えません。もともとこの試合もポルトガル、フランスでの大会ができなくなったために開催された試合です。欧州ツアーのトーナメントはもっとも賞金額の少ない試合で通常、総額100万ユーロですが、このカナリア諸島シリーズは突然の実施にも関わらず、3試合とも150万ユーロ。約2億円のゲームが続きます。
賞金額に驚くのはもちろん、選手にとっては試合が続くことが本当にありがたい。僕のようにアジアから来る選手が連戦をする一方で、欧州近郊に住む選手はタイミングを見てオフをとる(自宅に帰る)ので、そのぶん下部ツアーを主戦場にするような選手にもレギュラーツアーへの出場機会が巡ってきます。ゴルフは何が起こるか分かりません。4日間で人生を変えるチャンスが多くの選手にどんどん回ってくる構造は、ツアーのレベル維持にもつながっていると思います。
- 川村昌弘Masahiro Kawamura
- 1993年6月25日・三重県生まれ。5歳の時に父と一緒にゴルフを始め、小学生時代には全国大会の常連選手に。ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスらと出場したフランスでのジュニア大会をきっかけに将来の海外転戦を夢見る。高校卒業後にプロ転向し、2013年に20歳で出場した日本&アジアン共同主管大会「アジアパシフィックパナソニックオープン」でツアー初優勝を飾り、海外進出の足がかりを得た。
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