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<佐渡充高の選手名鑑 103>デビッド・リングマース

■ 20年の時を経て、再び巡り合ったリングマース

デビッド・リングマース(26)という名前を初めて聞いた時、「まさか、あのリングマース氏と関係があるのでは…」とハッとした。その人物はオハイオ州に本拠地を置くNFLクリーブランド・ブラウンズで、キッカーとして活躍した名選手ゴーラン・リングマースだ。名前に記憶があったのは彼が著名選手だっただけではなく、結婚した女性がヘザー・ファーというLPGAの伝説のプレーヤーだったからだ。

ファーは小柄でパワフル、ファッショナブルでキュート、ショットのたびに髪をなびかせ、果敢に攻めるプレーは魅力たっぷりの選手だった。新世代の女子ゴルファーの代表的な存在だったファー。ところが人気絶頂の頃に乳がんが見つかり、長い闘病生活を強いられた。経過は新聞や雑誌でたびたび報道されたが、美しい髪はなく、周りに支えられ懸命に立っている姿は痛々しく、なぜ彼女が…と悔しさが溢れた。誤診で治療の時期が遅れ、手術は15回、闘病は4年半の長きに渡った。この衝撃的な出来事を契機にゴルフ界で乳がん啓蒙活動がスタートした。闘病中に2人は結婚。挙式の模様はニュースでも紹介され、満面の笑みを浮かべる花嫁の彼女を見て、誰もが“奇跡の”回復を願わずにはいられなかっただろう。ヘザーは彼のために生きようと治療に挑み、彼はその壮絶な闘病生活を支え続けた。しかし1993年、ついに別れの時がきた。人生にスポーツに果敢に挑戦したアスリートカップルの記憶は僕の中で消えることはなかった。そして20年が経ち、2013年から甥であるデビッド・リングマースがPGAツアーでプレーをはじめ、この不思議な縁に、熱い気持ちがこみあげ思わず天を仰いだのだった。

■ 「スウェーデンのポパイ」

デビッドは1987年7月、スウェーデン南部、ストックホルムから南西230キロにあるトラーノースという街に生まれた。父トーマス、母ブリジッタ、弟2人と妹1人の4人兄弟の長男で、全員がスポーツ大好きな6人家族の家庭に育った。妹はサッカー、兄弟3人はアイスホッケーに夢中だったが、デビッドはゴルフと掛け持ちでプレーを楽しみ、どちらの競技でも才能を発揮した。高校進学前の15歳の時、父からプロを目指すなら、どちらかをと選択を迫られ、父の予想に反して、彼が選んだのは「ゴルフ」だった。その理由は「プロのホッケー選手になるには体格が小さいし、その頃、ジュニアゴルフの最も大きな試合で優勝し、(ゴルフのほうが)向いているかも」と思ったからだ。この優勝が彼の選択に大きな影響を与えた。将来有望選手としてスウェーデンのゴルフ協会から最高レベルのジムを使える権利を与えられ、各分野の専門家の指導も受けて、ゴルファーとしての体づくりに励むことができた。現在の体型は173センチ、79キロと数字では普通なのだが、全身の筋肉を圧縮したようなド迫力ボディはまるでポパイのようだ。

■ 新婚ホヤホヤ 目指せ!初優勝

大学から米国に留学。ウエストフロリダ大学で1年、その後の3年はアーカンソー大学で過ごした。同州はゴルフが大好きなビル・クリントン元大統領の生まれ故郷で、知事を務めたこともある彼は今も同州のヒーローだ。そして同大学を卒業後にプロに転向を果たすと、下部ツアーからPGAツアーに昇格したのを機にフロリダ州に転居。同じスウェーデン出身で3歳上のジョナス・ブリクストの家から10ヤード(隣)のところに居を構えた。

昨シーズンは、シーズン2戦目となる今大会でプレーオフ2位の大健闘で存在感をアピール。今大会はクリントン基金との共催に加え、4年間アーカンソーで過ごしたデビッドにとって、特別な思いで臨んだ試合だった。5月の「ザ・プレーヤーズ選手権」でも最後までタイガー・ウッズと優勝争いを繰り広げて2位タイでフィニッシュし、実力派として名乗りをあげた。11月にはアーカンソー大学で知り合ったメーガンさんとゴールインし、バラ色の2013年だった。今年は初優勝を目指し、叔父(ゴーラン)のごとく、愛情あふれる結婚生活を基盤にますますファイト溢れるプレーを見せてくれそうだ。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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