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<佐渡充高の選手名鑑 89>番外編/松山英樹

2013/08/07 10:00


PGAツアーの来季シード権確定を目指し、いざ全米プロ選手権へ

■ 来季シード権獲得まで、あと1万ドル!?

松山英樹の米PGAツアーシード権確定が目前に迫っている。8月15日から開催の「ウィンダム選手権」終了時点で、賞金またはポイントランクで125位相当に達すれば、来季シード権獲得となる。松山の場合は、現時点では賞金額でランクインするのが近道だ。先週の「WGCブリヂストンインビテーショナル」で21位タイとなり、通算獲得賞金額は58万ドル弱。この額は、現時点でちょうど125位に相当する。昨年のその額は57万ドル強なので、松山はすでに上回っており、現状でも125位にとどまる可能性ももちろんある。しかし、今年はツアーの制度が変わりイレギュラーな日程で行われるため、PGAツアーのレギュラーシーズンは今週を含め残り2試合。そのため、下位から上がってくる選手にはじき出される可能性もまだ残っており、安心はできない状況だ。

とはいえ、シード権獲得まであと一歩であることは確かで、「全米プロ選手権」」で予選通過を果たせば極めて高い確率で確定する。連戦終盤のメジャーが、来年の命運を握る最も重要な試合となる。全米、全英オープンとメジャー2大会で初出場にして連続トップ10フィニッシュを果たす好成績。ビッグイベントに強い松山の今季最後となるメジャーでの活躍を、期待せずにはいられない。

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■ 想定外の快進撃!すでにシード権超え地点に到達

シード権とは、米PGAツアーのメンバーになり、出場権を獲得することだ。出場試合数が増えれば、メジャー出場の権利獲得(優勝や世界ランクの順位上昇)にも有利になり、そのメジャー大会でトップ10、そして優勝へ、というプロセスのためのものだ。しかし、松山の場合は極めてレアな、逆プロセスのケースである。プロ転向後、初メジャーの「全米オープン」で10位タイ、「全英オープン」で6位タイと、多くの選手がシード権獲得後に果たしてきたことを先に成し遂げてしまった。

今季メジャーでトップ10入賞2回以上の選手は、タイガー・ウッズフィル・ミケルソンハンター・メイハンらわずか7人。そこに名を連ねる快挙なのである。松山の場合、現在世界ランクは33位。来季の全メジャー、世界選手権という最高峰の試合への出場をほぼ確定させている。むしろこれほどの実績、立場の選手が、シード権を得られないことの方が不思議なのだ。

■ 1年間でホップ ステップ ジャンプ!

松山は、昨年8月に世界アマチュアランク1位に立った。今年4月にプロ転向を果たすと、現役大学生プロゴルファーとなり、半年を待たずして大きなジャンプを目前にしている。ノンメンバーである松山が、もしシード権を獲得すれば奇跡的な快挙と言っていい。今でこそ賞金シードが見えてきたのだが、松山のステータスを考えればレギュラーシーズンでシード権を獲得することは至難の業のはずだった。ノンメンバーは出場権がないのでスポンサー推薦で年間7試合。あとは世界ランクを上げるなどで出場権を得るしかなく、条件は極めて厳しい。つまりメンバー(出場権を持つ選手)はレギュラーシーズン20数試合でシード権を目指すが、松山の場合は少ない試合数で賞金ランク125位に入らなければならない。プロ転向後に出場した6月の「全米オープン」、7月の「全英オープン」、「RBCカナディアンオープン」、「WGCブリヂストンインビテーショナル」という、わずか4試合で125位相当の額を獲得してしまったのだ。

昨年、石川遼はプエルトリコで2位になるなど、シーズン序盤の活躍で前年の賞金ランク150位の額を超え、スペシャル・テンポラリー・メンバーになった。その資格でスポンサー推薦の7試合という枠が外され、数多くの試合に参加が可能となり出場権を得た。その結果、125位以内に相当する額を獲得し、今季のシード権獲得に至っている。石川のケースも快挙だが、松山の場合はシーズン途中からの参戦、わずか4試合でシード権の目処をつけたことは、ツアー史上でも稀な出来事なのである。

今週の「全米プロ選手権」で万が一、予選通過ができなくても、最終戦の「ウィンダム選手権」というラストチャンスもある。また8月から9月の入れ替え戦4試合で、合計獲得賞金が25位に入るなど、道はいくつか残されている。それでも今の松山にはそんなこと眼中にはないはず。名実ともに世界のトッププロとなった今、いかに良いプレーをするか。そこに集中していれば、必要なものは自ずと得られるのだと体感している。僕もシード権の先にある、彼がフルシーズンでどのようなプレーをするのか期待と楽しみを抱いている。

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佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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