昨年は最終日に大叩き 「ゴルフが降り掛かってきた」と語るファウラー
2013年 ザ・メモリアルトーナメント
期間:05/30〜06/02 場所:Muirfield Village Golf Club
<佐渡充高の選手名鑑 79>ジェイソン・デイ
■ 開催地オハイオ州はジェイソン・デイのメモラブルな場所
ジャック・ニクラスが主催する今週の「ザ・メモリアルトーナメント」は、オハイオ州ダブリンにあるミュアフィールドビレッジGCで開催される。オハイオ州はニクラスの生まれ故郷として知られ、地元のゴルフ発展に寄与。憧れの大先輩を目指し、ニクラスの出身校オハイオ州立大学からも多くの選手が誕生してきた。そしてオハイオといえばジェイソン・デイ(25)にとっても特別な場所だ。デイの生れ育ちはオーストラリアだが、ここオハイオで運命の出会いを果たし、現在はツアー転戦の拠点として家族と暮らす大切な場所だ。デイは2006年、当時17歳で渡米した。ゴルフを始めた時からのコーチでありメンターでもあるコリン・スワットン氏を頼り、オハイオ州アクロンをたびたび訪れていた。そのスワットンの友人が、アクロン郊外でゴルフスクールを開設することになり、デイも立ち上げの手伝いで同地に滞在、そのままオハイオで過ごすようになり、米国での新生活の始点となった。
■ いとしのエリー
デイにとって人生最大の出会いも、ここオハイオ州で起こった。コーチと共に出掛けたレストランバーで働いていた当時19歳のエリー・ハービーにデイはひと目惚れしたのだ。その時デイは17歳のアマチュアで、シャイなデイはコーチの助けを得て告白、めでたく交際がスタートした。彼女はゴルフに縁がなかったのだが、次第に応援のために会場に足を運ぶようになった。デイは18歳になった2006年にプロ転向し、翌2007年のウェブドットコムツアー「リジェンドフィナンシャルグループ クラシック」に19 歳7ヶ月26 日で、同ツアー史上最年少優勝を飾って一気に注目を集めた。さらに同年の新人王に輝くと、翌2008年から、かねてからの目標であった米PGAツアーでのプレーをスタートする。その年の8月、ニューヨーク州で開催された「ターニングストーン・リゾート選手権」の初日、デイは14番でイーグルを奪った。エリーはその夜、「イーグルもすごいと思うけどホールインワンを見たことがないので、ぜひお願い!」とリクエスト。なんとその翌日の第2ラウンド6番ホールで、彼女の要望に応えたホールインワンを記録したのだ。もちろん彼女は大興奮。デイにとって生涯3度目、自身PGAツアーで初のエースとなった。2人は2009年10月にオハイオ州で結婚。しばらくはオーストラリアとのフライトが便利なテキサス州に住んでいたが、昨年には長男が誕生し、妻の故郷であり思い出の地であるオハイオ州に「帰郷」したのだった。
■ 次はオレの番!豪州初のマスターズ勝者スコットに続け!
デイは身長187センチ、体重82キロと体格に恵まれた選手だ。平均飛距離は今季298ヤードでランク15位、昨年は308ヤードでランク7位と豪快なパワーゲームが魅力だ。この2年はパーオン率も上がり、ショートゲームの上手さも加わり、メジャーでも好成績を残している。デイの目標は「世界ナンバー1」、そして豪州選手にとって無冠だった「マスターズでの優勝」。2011年に初めて「マスターズ」に出場したデイ。この時は優勝のチャール・シュワルツェルに2打及ばず2位タイの惜敗を喫した。昨年の「マスターズ」では、2日目の7番ホールで足首を捻挫し、棄権を余儀なくされた。復帰できたのは約1ヶ月後の5月中旬で、このケガが原因で2012年は好成績を残せなかった。今年の「マスターズ」は首位と2打差の3位フィニッシュと、またもや惜敗。同じオーストラリア出身のアダム・スコットが優勝し、ライバルで良き友でもあるスコットを心から祝福すると同時に、大いに刺激も受けた。「次はオレの番!」と、先を越された悔しさをばねにビッグタイトルを狙う。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。
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