<前編>“ミニドラ”が大流行 PGAツアー24年シーズンギア10大ストーリー
シェフラーの7勝を支えたパター PGAツアー24年シーズンギア10大ストーリー(後編)
プレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」を制し、初の年間王者に輝いたスコッティ・シェフラー。3月「アーノルド・パーマー招待」直前にパターを変更し、シーズン7勝、「パリ五輪」では金メダルにも輝いた。しかしその変化は、クラブのリリース、新しいプロトタイプ、興味深いギア変更、新たに出没したトレンドなど、内容てんこ盛りとなった今年のギア関連ニュースの一部に過ぎない。前編に続き、GolfWRX.comによる今年のギア10大ストーリー後編をお届けする。
6.引き続き長尺パターがトレンド
2016年1月にアンカリングが禁止されて以来、選手たちは胸から離した状態でブルームスティック式パターをいかに使用するかを模索してきた。ムーブメントの先頭に立ってきたアダム・スコットは、「当時、僕は長尺パターを使う若手として目立っていたんじゃないかな。“老人用クラブ”という固定観念を破ったとは思うけれど、いまや僕もそっちのカテゴリのほうがしっくりくるようになってきた」と冗談交じりに話す。「でも、(長尺を)使う選手が増えたことには驚いていない。今後も多くの選手がトライすることになると思うよ」と“長尺人気”は意外ではないと言う。
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今年は、ウェブ・シンプソンがブルームスティック式のオデッセイAi-ONE“クルーザー”ジェイルバードパターを実戦投入した。「アクシェイ・バティアがブルームスティック式で見事なパッティングをしたのを見て、“僕もあれを試そう”となった。当初はぎこちない感じがしたけれど、使えば使うほど、“なんて簡単なんだ”という感じになってきたね」と新たな武器に満足げだ。
7. ウェズリー・ブライアンは4番アイアンの二刀流
ツアー1勝のウェズリー・ブライアンはバッグに4番アイアンを2本(タイトリストT200とタコモ101 U)入れている。彼のタコモCBの6番Iの飛距離は約200ydで、中空ボディのタコモ101 Uドライビングアイアンの飛距離は約220yd。タイトリストT200の4番Iは235ydほどだ。タコモ101 Uの4番Iはロフトが2度ウィークにセットされているため、実際の役割としては5Iに近いが、刻印は“4番”のまま。ブライアンにとって、大事なのはクラブの底に刻印された数字ではなく、飛距離のギャップを正しく埋めることなのだ。
8. アダム・スコットがギアニュースの常連に
用具契約フリーのスコットは、望みに応じてどのブランドのクラブも試打、使用することができる。そして、彼はその自由を最大限に活かしている。24年だけで、スコットはピン、三浦技研、そしてスリクソンのアイアンを使用しており、ドライバーもテーラーメイド、タイトリスト 、そしてキャロウェイのものを使用している。
純粋にターフのコンディションによってアイアンを変更することもあるので、彼の使用ギアを毎週把握するのは特に難しい。スコットランドでは硬いターフに対応するべく三浦技研AS-1ブレードアイアンを用いていたが、プレーオフシリーズ第1戦「フェデックスセントジュード選手権」では、ゾイシア芝に対応するべく、よりバウンスのあるKM-700アイアンをバッグに入れていた。「用具とテクノロジーは重要なんだ。ほかの選手がトラックマンを使っているのは毎週見るけれど、僕はそうして育ってきたわけではない。用具とテクノロジーは重要なんだ。」と話していた。
9. 絶対王者スコッティ・シェフラーのセットアップ
圧倒的な強さを見せたシェフラーは、今シーズンの鍵となる2つのクラブ変更を行った。一つは新しいテーラーメイドQi10コアドライバー(8度)への変更であり、もう一つはLネックホーゼルのテーラーメイド スパイダーツアーXマレットパターへの変更である。
昨年何度もパターを変更したシェフラーは、今季初勝利を挙げた「アーノルド・パーマー招待」の前にテーラーメイド スパイダーツアーXパターに変更し、以後このパターがバッグから抜かれることはなかった。
7勝目を挙げたプレーオフ最終戦「ツアー選手権」を前に、シェフラーは以下のように話していた。
「僕は昨年、あまりに多くのパターを試し過ぎたと感じていた。僕は自分がどうパットしたいか、あっちへ行ったりこっちへ来たりしていたように思う。このゲームで向上する方法は、自分のプロセスをやり通すことだと思うんだ
スパイダーについては、常にセットアップされた感じがとても気に入っていた。最も気に入っているポイントは、良い形で真っ直ぐ向けるところだね。僕はこれまでグリーン上で完璧であろうとし過ぎていたけれど、スパイダーに変えてからは自分を自由にすることができた。そこから一貫して好成績が出るようになったんだ」
10. タイトリストGTドライバーが登場から人気に
6月「メモリアルトーナメント」で初めて世に出たタイトリストGT2、GT3、GT4ドライバーだったが、7月「ジェネシス スコットランドオープン」ではすでに115人以上の選手が競技でGTドライバーを使用していた。
ウィル・ザラトリスは真っ先にドライバーを乗り換えた13人のうちの1人。「まさに(タイトリストに)できる限り早く僕らの手元に届けて欲しいと懇願していたモデルだ。クールなのは、挿すだけで使えるところだね。同じシャフトで試してみたら、早速ボール初速が1.5マイルもアップした。自分の使っていた前のモデルであるTSRと比較して気づいたのは、ミスヒットでそこまで外れないところ。ツアーでは4、5ydの違いがフェアウェイからバーディを狙える位置につけるか、フェアウェイを外し、レイアップしてパーを拾うかの違いになり得るから」と絶賛していた。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)