復活優勝に導いたパター PGAツアー2023年ギア10大ストーリー(前編)
マキロイの1W変更はウッズが原因? PGAツアー2023年ギア10大ストーリー(後編)
2023年はゴルフギア界にとって多忙なシーズンだった。興味をそそる話の数々、学びの時間、単純明快にクールなアイテムなどが詰まった盛りだくさんの一年から、我々GolfWRX.comはことしのギア10大ストーリーをピックアップ。前編に続き、後編ではウッズとマキロイの新ドライバー投入など5選を紹介する。
名手が20年近く愛用するオデッセイパター
「ライダーカップ」の副キャプテンであるスティーブ・ストリッカーは、ニューオリンズで開催された4月の「チューリッヒクラシック」において、ライダーカップキャプテンのザック・ジョンソンとチームを結成。戦略について話し合い、結束を固め、選抜メンバー候補をスカウトする場とした。
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また、ストリッカーのニューオリンズ来訪は、GolfWRX.comにとってバッグの中身を拝見する機会となった。判明したのは、ストリッカーが2000年代初頭から使用する名高いオデッセイ「 ホワイトホットプロNo.2パター」をまだ使い続けているということだった。
「僕はキャリアを通じ、これで大きなパットを決めてきたんだ。何度か、これから離れようとした時もあったけれど、僕は常にこれに引き戻される。遠くへ手放したことは一度もないね」とストリッカー。初期段階のテストから、破損の修復、さらには大きなパットに至るまで、このパターの歴史について余すところなく語ってくれた。
ウッズの飛距離がマキロイ1W変更の引き金に
タイガー・ウッズは4ラウンドを完走した「ジェネシス招待」で、期待の持てる2023年のスタートを切った。最初の2ラウンドは、フェデックスカップ王者だったロリー・マキロイ(北アイルランド)と同組でプレーした。
ウッズがあまりにマキロイをアウトドライブしたことにより、マキロイは第1ラウンドを終えたところでドライバーを9度のテーラーメイド「ステルス2 プラス」に変更するという行動に打って出た。マキロイは、それまで使用していた「ステルス プラス」よりも適正なスピン量になったと話しており、リビエラCCの硬いコンディションを最大限に利用するべく、低く強いカットボールを打ち続けていたウッズの先へ飛ばせるようになった。
マキロイは次のように振り返る。「タイガーが僕をアウトドライブするのが嫌になったんだ。(WMフェニックスオープンで)プレーした際、自分のドライバーのスピン量が少し少ないことに気付いた。だから、LAではドライバーのロフトを若干上げたんだ。ただ、ドライバーに関して、僕はフェースの角度にすごくこだわるので、ロフトを上げたことで、当たり前だけど少しだけフェースが余分に見えるようになり、少し左へ向いているように見えたんだ。そして、リビエラでの初日は1回もドライバーの芯に当たらなかった。僕は、何か別のことを試す必要に駆られたんだ」
マキロイがPGAツアーの平均ドライビングディスタンス1位(326.3yd)でシーズンを終えたという事実は、ここに記しておくべきかもしれない。
ツアーで最もクールなギア男
アダム・シェンクはことし、プレーオフシリーズの最終戦「ツアー選手権」に初出場を果たした。今シーズンにおいて、彼が爪痕を残したのはそれだけではない。イチ押しのギアマニアとして名前が浮上してきたのである。
シェンクは常に微調整を行なっている。ゴルフバッグを満載した2つのスタッフバッグを持って転戦しており、そこから14本のセットアップを試合ごとに組み替えているのである。実のところ、日ごとにクラブを入れ替えており、その決断は風向きなど、様々な要素によって下される。4位タイでフィニッシュした「ジョンディアクラシック」では、第3ラウンドを4番と5番アイアン抜きでプレーした。
シェンクは真のギア愛好家であり、戦略に基づいたギアのセットアップを心から楽しんでいる。
ウッズとマキロイがリリース前の1Wに変更
年末に注目を独占したのは、大会ホストを務めるバハマ開催の「ヒーローワールドチャレンジ」でPGAツアー競技に復帰したウッズだった。4月以来の出場を果たしたその手には、未リリースのテーラーメイド「Qi10 LSドライバー」が握られていた。これは11月中旬にUSGAの適合リストに掲載されたモデルであり、同じくテーラーメイド契約選手であるマキロイとトミー・フリートウッド(イングランド)は、すでに「DPワールドツアー選手権」でこのドライバーを実戦投入していた。
GolfWRXの見立てによると、Qi10 LSはカーボンウッドソール、ウエートポート、T印のアライメントマークといった特徴を持っており、ロフト角は8度、9度、10.5度の3種類。
ウッズは20人中18位で終えたものの、ストロークゲインド・ オフ・ザ・ティで4位にランクインし、平均ドライビングディスタンスを304.90ydとした。
テーラーメイドは、まだ24年のゴルフギアラインについて何も発表していない。USGAへの提出を経て、新年を前にした発表の時期を迎えるとういのは、例年通りの流れとなっている。
スコッティがスコッティから乗り換え
スコッティ・シェフラーはパターの変更を繰り返し、グリーン上での答えを模索してきたこの1年の最後の大会で、解決策を見出したかもしれない。
「ヒーローワールドチャレンジ」を迎えるにあたり、シェフラーは23年のストロークゲインド・パッティングのランクを162位(-0.30)としていた。その状況は、カリフォルニア州フォーチュナにあるカスタムメイドパターメーカーである“オルソンパターズ”のモデルをバッグに入れたことで一変した。
シェフラーは同大会を制覇しただけでなく、ストロークゲインド・ パッティングでは6位(+0.77)にランクイン。今季、広く報道されたパットでの苦闘を考えると、シェフラーにとって著しい進歩だった。
では、ローガン・オルソンとは何者なのか? すでに市場に並ぶパターと何が違うのか? そして、そんなニッチなパターメーカーは、いかにして世界ナンバーワンの選手と緊密に仕事をするようになったのか? 世界ナンバーワン選手のためにパターを設計するプロセスはどのようなものだったのか? 詳細はオーナーであるオルソンのインタビュー記事にて。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)