スコッティ・シェフラーが使用したローガン・オルソン製のプロトタイプパター（GolfWRX）

前週開催の「ヒーローワールドチャレンジ」を制したスコッティ・シェフラーの手には、ツアーでほぼ見かけることのないローガン・オルソン製のパターが握られていた。今回は前編と後編に分け、世界ランキング1位が切り替えることで話題となったパターの開発者に迫る。

• ローガン・オルソンのパターを世界ナンバーワンが握るまで（後編）

• [PR] PGA TOURの公式ホームページでリーダーボードをチェックしよう(英語)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

＜＜　下に続く　＞＞

世界ナンバーワンプレーヤーが自分の作ったクラブをバッグに入れると、どのような心持ちがするのだろうか？

オルソンパターの創立者であるローガン・オルソンは「非現実的」と表現し、ヒーローワールドチャレンジでシェフラーが使用していることを知った際に味わった、感情のジェットコースターについての話をした。言うまでもなく、オルソンの感情はシェフラーがバハマのアルバニーGCで勝利を遂げた際に、頂点に達した。

どのメーカーにとっても、エリート選手が彼らのクラブを使い始めるというのは、何よりの朗報である。しかし、オルソンのような小体な製造業者にとって、それは全く違った意味合いを呈することになる。人生を変える経験となり得るのだ。

特に、その選手が新たに手にしたクラブで活躍した場合は尚さらである。シェフラーは優勝を果たしただけでなく、ストローク・ゲインド・パッティング（パットのスコア貢献度）で6位にランクインした。今季、広く報道されたグリーン上での苦闘を考えると、それはシェフラーにとって著しい進歩だった。

シェフラーは2023年にツアー史上初めて、同じシーズンにストローク・ゲインド・オフ・ザ・ティ（ティショットのスコア貢献度）とストローク・ゲインド・アプローチ・ザ・グリーン（グリーンを狙ったショットのスコア貢献度）の両方でトップに君臨した選手となったが、ストローク・ゲインド・パッティングは162位だった。

シェフラーは「ツアー選手権」後、高名なパッティングコーチであるフィル・ケニオンの門を叩いた。ヒーローワールドチャレンジは、オルソンのパターをバッグに入れて臨んだ最初の大会だった。オルソンは、カリフォルニア州フォーチュナでカスタムメイドのパター製造業を営むパターデザイナー兼クラフトマンである。

シェフラーは先週、「結構パットが入ったので良かった。良い感じで転がせていた」と述べた。

新パター初投入で大会を制したスコッティ・シェフラー (Mike Ehrmann/Getty Images)

では、ローガン・オルソンとは何者なのか？ 彼のパターは、すでに市場に並ぶパターとどう違うのか？ そして、そんなニッチなパターメーカーは、いかにして世界ナンバーワンの選手と緊密に仕事をするようになったのか？

それを知るべく、GolfWRX.comは最近オルソンとひざを突き合わせ、シェフラーのパター変更がどのようにして発生し、バハマで勝利した週にどう感じたかという彼のストーリーに耳を傾けた。

GolfWRX.com：世界ナンバーワンプレーヤーが自分の製品を使い始め、それで勝ったとき、どのように感じましたか？ それは神経が疲れるようなことでしたか？

ローガン・オルソン
先週、スコッティがあのパターを実戦投入したのは、非現実的な感じでした。水曜の午後に、その気配を察知してからは、感情のジェットコースターに乗っていました。私は、ここ数カ月で我々の遂げてきた進歩から、（パターが）使われるかどうかの問題ではなく、いつ使われるかという時間の問題であることには自信は持っていました。
ただ、確かに“その時”は予想をはるかに上回る早さでやって来ました。初めは、自分の感情が巨大な興奮の快感で満たされましたが、その直後に、“オー、ノー…”という心が張り裂けそうな思いがしました。

そこには、ある程度のむき出しの心情もあり、自分もあの場に出て、一緒にパットをしているような気持ちがしました。成り行きに身を任せながら一喜一憂する感じです。目を逸らそうとしつつ、目を離すことができない状態になっていました。週末はずっとこのショップで、いくつかの大きなプロジェクトについての仕事があったので、少しは気を紛らわすことができはしましたが。もし自宅で見ていたら、間違いなく（感情の）起伏は激しいものになっていたでしょうね。

日曜に自分のオフィスの席で、その日がどういう結末を迎えるかに思いを巡らすのは、耐え難いものでした。公平に言って、あの選手は完全なるマシーンなので、見る楽しみはありましたが、疑いようもなく神経がヘトヘトになる一日でした。

確か、落ち着き始めたのは15番か16番だったと思います。今の状況が現実になろうとしているのだと。彼が18番をホールアウトした後の、メール、テキスト、インスタグラムのメッセージ、DM、そして電話の洪水や、ソーシャルメディアのお祭りはちょっと強烈でしたね。

（協力/ GolfWRX, PGATOUR.com）