ウッズがオーガスタに登場 松山英樹と握手「ディナーは?」
2022年 マスターズ
期間:04/07〜04/10 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
ウッズが“タイガー・スラム”達成時に使用したとされるアイアンセットがオークションに
デジタル収集品の人気が高まっているようだが、やはり本物には言葉にできない魅力がある。これこそ、近々ゴルフ関連の品物で史上最高値が更新されるであろう理由である。その記録を更新するであろうアイテムとはタイガー・ウッズが“タイガー・スラム”達成時に使用したとされるアイアンセットである。3月23日からゴールデンエイジ社のオークションにかけられており、入札は「マスターズ」最終日前日の4月9日に終了する。
このクラブは2010年にヒューストンの実業家トッド・ブロック氏により購入されたものであり、今回初めて、彼がクラブのオーナーであることが明らかになった。これまで、クラブを額縁に入れ、自身のオフィスに飾ってきたという。
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では、なぜ今になって売る気になったのか?彼は他の誰かにクラブを堪能してほしいのである。
「私はこのクラブを11、12年ほど堪能してきました」と、ブロック氏はPGATOUR.comに語った。「私の人生は退屈なものです。きらびやかなものではないので、このクラブはそれに相応しい脚光を浴びてきませんでした」
これまで限られた人にしかこのアイアンを所有している事実を明かしてこなかっただけに、ブロック氏はクラブが公衆の目に触れる場に落ち着くことを願っている。オークションはゴールデンエイジオークションによって執り行われるが、同社は2010年にもこのクラブの売買に携わっている。ブロック氏の投資に対する配当は、相当なものになることが約束されている。
ブロック氏は2010年に、最前列でガース・ブルックスのコンサートを観ていた時に、このアイアンを5万7242ドルで落札したことを覚えている。ウッズによる感動の2019年「マスターズ」制覇から数年が経ち、本人が数週間前に世界ゴルフ殿堂入りしたばかりのタイミングで行われる今回のオークションでは、記録的な金額が見込まれている。これまでの最高額は、2013年にゴールデンエイジオークションで売却された、第1回「マスターズ」覇者でその2年後にも「マスターズ」を制覇したホートン・スミスのグリーンジャケットの68万2000ドルとなっている。
ゴールデンエイジオークションは昨年、ウッズのバックアップ用のスコッティキャメロンを39万3000ドルで売却している。収集家業界は現在ブームの真っただ中にあり、その対象にはゴルフ関連アイテムも含まれる。最近では、ホートン・スミス、ボビー・ジョーンズ、そしてスポーツライターのグラントランド・ライス氏らを含む17人の関係者が署名した第1回「マスターズ」のチケットが60万ドルで落札され、スポーツイベントのチケットとしての史上最高値を更新した。
今回のタイガースラム達成セットには、タイトリスト681-Tアイアン9本(2番~PW)とボーケイウェッジ2本(56度に調整された58度ウェッジと60度ウェッジ)が含まれる。ウェッジにはどちらも“TIGER”の刻印が施されている。最も注目を集めているのは、8番アイアンで、フェース中央には、小さな磨耗の跡がある。
なぜ8番アイアンだけ、そんなに磨耗しているのか?ブロック氏は、ウッズがウォームアップで8番アイアンを多用したからだと信じている。
「いつだったか、フレッド・カプルスが、練習レンジでは常に8番アイアンから始めると言ったことを覚えています。いきなりウェッジから始めると、ウォームアップ前に屈み過ぎてしまうとのことでした」とブロック氏は回想した。言い換えると、8番アイアンは楽にウォームアップをする上で、長さとロフトのコンビネーションが完璧ということになる。
ウッズがメジャー4大会と「ザ・プレーヤーズ」を連続して制覇したタイガー・スラムが、ゴルフ史上最高の連続した達成であることに議論の余地はない。彼は2000年に「マスターズ」以外のメジャー3大会を制覇。これには「全米オープン」での15打差の勝利と、「全英オープン」での8打差の勝利が含まれ、これにより、タイガーはベン・ホーガン以来となる同年にメジャー3勝を達成した史上2人目の選手となった。ウッズは第3ラウンドに“ベター・ザン・モスト”の名実況を誘発した2001年「ザ・プレーヤーズ」を制覇すると、その2週間後には「マスターズ」制覇を成し遂げた。
このアイアンセットには、かつてのタイトリスト副社長であり、2010年にこのアイアンセットをオークションに出品したスティーブ・マタ氏の宣誓供述書とポリグラフの結果、さらには、こちらもタイトリストの元副社長であるリック・ネルソン氏による2020年の宣誓供述書が添えられている。またこのセットには、2000年のゴルフウィークに掲載されたジム・エイシェンバック氏の記事も付いているのだが、同記事にはウッズが2000年の「全米プロ」で優勝した際のアイアンの仕様の詳細が記されており、売りに出されたアイアンとマッチすることが確認できるようになっている。
マタ氏はこのアイアンをサザンヒルズでの「全米オープン」でウッズが12位タイに終わり、メジャー連勝記録がストップした翌週の2001年6月に開催された「ビュイッククラシック」で入手したと述べている。タイトリストのアイアンに関してウッズと密接に仕事をしていた同氏によると、彼とネルソンはウエストチェスターCCでのプレーが始まる前に、ウッズに新しいアイアンセットを手渡したという。ウッズは新しいクラブをバッグに入れ、それまで使用していたセットをマタ氏に渡したのである。
ウッズは2010年に、マタ氏がタイガースラム達成時にウッズの使用したアイアンを所有していることを否定した。しかしながら、ゴールデンエイジオークションのオーナーであるライアン・キャレイ氏は、クラブの信ぴょう性を確かめるべく、「このクラブに精通している数多くの関係者」と話をしたと述べている。
「我々は100%の自信を持って、これらのクラブは、タイガー・ウッズによって伝説となった2000~01年シーズンに使用されたものであると言い切れます」と彼は述べた。このオークションは、キャレイ氏がこのクラブをまた市場へ出すべく、ブロック氏に粘り強く嘆願したことで実現した。
「私は12年前に初めてこのアイアンセットを売った際、これこそ自分のしたい仕事だと気付き、大きな弁護士事務所を退所しました」とキャレイ氏。「私はまたこのクラブを出品するために、この12年間の多くを過ごしてきました。皆に見てもらうのが待ち切れないですね」
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)