松山英樹が19年初戦へ アマチュア・金谷拓実は米ツアーデビュー
市場、選手の厚み増すアジア 拡大するPGAツアーのグローバル化
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
デービス・ラブIIIは、過去に中国、日本、プエルトリコ、南アフリカ、オーストラリアの大会で優勝した経験を持っている。この30年あまりプロとして、世界を股に掛けてきた。今週、そんな彼のパスポートに新たな入国スタンプが加わった。マレーシアのクアラルンプールだ。
「幸運にも、副首相と(火曜日に)夕食をともにする機会があった。副首相は、私が初めてマレーシアを訪れたと言うと驚いていた。いま私は50歳、これからは世界旅行を始められるかもしれないね」と話したラブ。「この10年はツアーに集中していたから、アメリカにばかり滞在していた。唯一の海外は『全英オープン』に出場したときくらい。これからは家族も、それに仕事も、私が世界を広げることを許してくれるんじゃないかな」と続けた。
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今では世界中のいたるところで大会が開催されている。大会がない週を見つけるのが困難なほどに。もし大会に出場したいのであれば、クラブを手に旅に出れば良い。ゴルフは過去のどの時代よりもグローバル化された。PGAツアーでさえも、今後数週間以内に中国、メキシコで大会を開催するのだから。
リー・ウェストウッドは「20年前なら、PGAツアーの大会が米国以外で開催されるなんて夢にも思わなかっただろう。特にマレーシア、中国ではね。海外のコースは著しく向上したし、賞金額も跳ね上がった」と、国際化の流れを語る。
国際化の波は大会の開催地だけではなく、選手にも及んでいる。
日本の松山英樹をはじめ、韓国のノ・スンヨル、ベ・サンムンは、ここ最近PGAツアーで優勝した選手だ。
彼らに続くのは、デビッド・リプスキーかもしれない。
ロサンゼルス出身のリプスキーは、ユダヤ人の父と韓国人の母との間に生を授かった。ノースウェスタン大在学中にオールアメリカンに選出され、2012年にはカンボジアで優勝し、先月は欧州ツアーの「オメガ・ヨーロピアン・マスターズ」で優勝を飾った。
今年の初めには、アジアンツアーと欧州ツアーの共催大会として、シンガポールのラグナナショナルで開催された「ザ・選手権」で2位タイ。数年前には、クアラルンプールG&CCでの「メイバンク・マレーシアオープン」で3位タイという成績を残している。
26歳のリプスキーは現在までにアジアンツアーで10大会に出場し、既に67万ドルに迫る賞金を獲得。賞金ランキング1位を独走している。
世界各地を転戦しているリプスキーだが、最終的な目標は明確だ。
「米国出身者としては、いつかはPGAツアー参戦という自分の目標に到達したい。ここ数年でレベルを上げられていると思うし、あらゆる面で成長できていると思う。だから、今後数年内に次のステップに進んで、PGAツアーでもプレーしたい」
PGAツアー出場という目標を達成するため、海外で成功を収めている選手はリプスキーだけではない。
ブルックス・ケプカ、ピーター・ユーラインの2人は、米国の選手たちに、大学卒業後は海外の大会に出場し、グローバルなステージを経験してからプロに転向することを奨めている。
もちろん両選手とも、そのアプローチで成功を収めたからだ。
ケプカは欧州のチャレンジツアーで4勝をあげ、今シーズンのPGAツアーでは、「フライズドットコムオープン」「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」でそれぞれ8位タイ、4位タイとした。
ユーラインはチャレンジツアー、そして欧州ツアーで1勝ずつ挙げている。
アジアと同様、ゴルフは世界中で成長を続けている。それゆえに、選手が成長するステージもあらゆるところに用意されており、そこで結果を残し、さらに大きなステージを目指す方法もある。
ウェストウッドは、この現状について「これからも雪だるま式に増えていくだろうね。PGAツアー関係者らも、市場の拡大に気がつくはず。(アジアは)良いところだし、プレーするにも良い環境だ」と語る。
アジアのレベル向上を示す松山、スンヨル、サンムンの存在は、ほんの一例に過ぎない。
今週マレーシアで開催される「CIMBクラシック」に出場するセルヒオ・ガルシアの意見はこうだ。
「15年から20年前と比較したら、アジアの選手のレベルは目に見えて著しく向上している。アジア出身の選手が大会に出場するのは良いこと。きっと、今後はPGAツアー、欧州ツアーに参戦するアジア出身の選手は増えるだろうね。今後も拡大、水準の引き上げが見込まれる良い市場だと思う。自分たちも負けずにレベルアップしたいね。そうしないと、数年以内に立場が逆転するかもしれないから」