チェリーヒルズCCと聞いて、1960年の「全米オープン」を思い出す熱心なファンも多いはず。アーノルド・パーマーがキャリアで唯一「全米オープン」を制した大会で、3日目を終えて首位と7打差をつけられていたが、最終日に「65」を記録し、最終的に2位と2打差で逆転優勝を果たした（トータル【280】の4アンダー）。当時20歳だったアマチュア選手のジャック・ニクラスは、4日間通してイーブンかアンダーパーを記録した唯一の選手で、単独2位でフィニッシュ。9位タイとした48歳のベン・ホーガンにとっては、その後現役引退までに記録した15度のトップ10の1つとなった。

ゴルフ史に名を残す選手たちが集まった大会になったが、チェリーヒルズで再び「全米オープン」が開催されたのは1978年（3度目）。デンバー南部に作られた海抜およそ1600メートルにある同コースは、ウィリアム・フリンによって設計され（2008年にトム・ドークによって改修）、これまでに2度「全米プロゴルフ選手権」を開催している（直近は1985年）。最近ではクラシックなパークランドコースで「全米アマチュアゴルフ選手権」も2度開催された。1990年に「全米アマチュアゴルフ選手権」優勝を飾ったフィル・ミケルソンも今週の「BMW選手権」に出場する。PGAツアー優勝経験のあるジョーダン・スピースと松山英樹にとっては、2012年の「全米アマチュアゴルフ選手権」のリベンジという意味合いもあるかもしれない。スピースはマッチプレー1回戦で敗退し、松山はストロークプレーでの予選敗退となった。

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チェリーヒルズはパー70（34-36）で、全長7,352ヤード。パー5となるのは2ホールで、両ホールともインコース。11番は最長で632ヤードとなる。17番は555ヤードながらもバンカーが張り巡らされ、グリーンも浮き島だけに、正確なティショットが要求されるなど、優勝争いに影響を及ぼすコースとなるかもしれない。グリーンは平均437平方メートルで、スティンプメーターの値は11.5。
パーマーが「全米オープン」で逆転優勝した際、パー4の1番でのティショットで346ヤード飛ばし、グリーンに乗せた話は有名。今大会でも1番で346ヤードを記録する選手が現れるかもしれない。

今年の5月には、BMWがフェデックスカップ・プレーオフシリーズ第3戦目となる大会スポンサー契約を2019年にまで延長した。予選落ちの無い今大会終了時点でランキング30位までの選手が、来週イーストレイクで開催される「ツアー選手権byコカ・コーラ」出場資格を得る。

大会期間中、フラントランジの天候は読みにくいが、気温は21度前後にまで上昇し、風は穏やかとの予報。だが、金曜から週末にかけて冷たい風が吹き荒ぶ天気となる可能性もある。

1位：ジェイソン・デイ
プレーオフシリーズ2大会連続してトップ10入りを果たした唯一の選手。TPCボストンでは約3メートル以内のパット成功率1位（71回中67回成功）、そしてスクランブル率でも8位とした。

2位：ロリー・マキロイ
「ドイツバンク選手権」で5位タイとしたマキロイは、パーオン率では7位タイ、アプローチ後のピンまでの平均距離では5位。そして今季のPGAツアーでショットのスコアに対する貢献率と、アジャステッド・スコアリングで1位の数字を残している。

3位：アダム・スコット
「ドイツバンク選手権」での16位タイは、直近に出場した8大会でワーストの順位。しかし今シーズンはPGAツアーで万能さを示すオール・アラウンド・ランキング1位とし、アジャステッド・スコアリングでも3位につけている。

4位：セルヒオ・ガルシア
先週の大会を欠場した為、フェデックスカップ・ランキングは8位下がり現在は23位。ショットのスコアに対する貢献率では2位とし、スクランブル率では4位の数字を残している。

5位：ジム・フューリック
「ドイツバンク選手権」での23位タイは、今年の3月以降としては2番目に悪い順位。ショットのスコアに対する貢献率では3位、アプローチ後のピンまでの平均距離では2位、スクランブル率では1位。

6位：ジャスティン・ローズ
先週の大会出場を見送った為、ランキングは7位下がって27位。ショットのスコアに対する貢献率では4位、アジャステッド・スコアリングでは8位。

7位：ジミー・ウォーカー
TPBボストンでは9位タイとし、フィールドイン・ストロークスゲインド、そしてショットのスコアに対する貢献率で1位とした。今季はトップ10を10度記録している。妻のエリンさんはコロラド州ボルダーの学校に通っていたので、地元の友人を引き連れ応援に駆けつけるかもしれない。

8位：マット・クーチャー
ボストンでは苦しみ29位タイ。それでも今季はPGAツアー1位となる11大会でトップ10入りを果たした。チェリーヒルズとの相性も良い。

9位：ザック・ジョンソン
プレーオフシリーズ開幕時に25位で、前年の「BMW選手権」で優勝（コンウェイファーム）。ショットの精度が高いジョンソンは、パットが好調。

10位：ビル・ハース
ジェイソン・デイ以外で、プレーオフシリーズ2大会連続でトップ15に入った選手。「ドイツバンク選手権」ではボールストライキングとオール・アラウンドで2位の数字を残した。

11位：リッキー・ファウラー
連続トップ10記録も、「ドイツバンク選手権」で23位タイとしストップ。現在ショットのスコアに対する貢献率で58位。だが、好調のパットで好成績を残している。

12位：ヘンリック・ステンソン
PGAツアーのトータルドライビング1位に加え、パーオン率では8位タイ。「ドイツバンク選手権」最終日には16ホール中8ホールでバーディを奪い、「65」をマークした。

13位：ジョン・センデン
TPCボストンでは5位タイ。パーオン率1位、ショットのスコアに対する貢献率で2位、そしてスクランブル率で9位とした。「ザ・バークレイズ」では22位タイ。

14位：クリス・カーク
「ドイツバンク選手権」ではアプローチ後のピンまでの平均距離で3位タイ、パットのスコアに対する貢献率で5位、スクランブル率で4位として優勝。パーオン率は44位タイとしたが、自信が優勝に導いた。

15位：ウェブ・シンプソン
「ドイツバンク選手権」での9位タイは、2013-14シーズンで9度目のトップ10フィニッシュ。だが、今季序盤以降優勝から遠ざかっている。アプローチ後のピンまでの平均距離で1位としている。

16位：ハンター・メイハン
「ザ・バークレイズ」での優勝で気が緩んだかもしれないが、チェリーヒルズでは、ボールストライキング9位タイの力が発揮されるだろう。

17位：キーガン・ブラッドリー
「ドイツバンク選手権」では16位タイ。ニューイングランドでの大会で1度もトップ10に入ったことはないが、フェアウェイキープ率とパーオン率で7位タイという数字を残した。

18位：ジェフ・オギルビー
高地で開催された「バラクーダ選手権」で優勝したオギルビーは、「ドイツバンク選手権」で2位タイ。ボストンではパーオン率14位、スクランブル率6位。

19位：ケビン・スタドラー
以前好成績を収めた「ドイツバンク選手権」で16位タイ。チェリーヒルズでは、ショットの精確性が重要となるだろう。コロラドの高校を卒業。

20位：松山英樹
2012年の「全米アマチュアゴルフ選手権」では早々に脱落したが、1度コースでプレーしている経験は大きい。現在ショットのスコアに対する貢献率6位。