グリーンを囲むイスの行列 ~中野義昌カメラマン「マスターズ」紀行(6)
2019年 マスターズ
期間:04/11〜04/14 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
最後に魔女が微笑んだ ~中野義昌カメラマン「マスターズ」紀行(7)
はじめてのマスターズ取材
普段のゴルフトーナメントでは、カメラマンはロープサイドを思うままに出入りしながら、撮影を進めていく。しかし「マスターズ」は例外で、ロープの中には入れない。多くのパトロンに紛れながら、まるで盗撮するかのように、わずかなすき間からレンズをのぞかせて撮影する。
特にタイガー・ウッズら人気選手となると、思ったところから撮影するのはほぼ不可能。人垣をかき分ける必要がある。ところが、「撮る場所がないなぁ」と困った顔でウロウロしていると、「前に行って撮りなよ。良い写真撮れよ!」なんて言って、場所を譲ってくれるパトロンがたくさんいる。チケットをやっとの思いで手に入れて来たら、“元を取ろう”なんて必死になりそうなものだが、マスターズのホスピタリティに接していると、パトロンまで心が豊かになるのかと感心してしまう。
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さて、最終日は折り畳みのイスを持って早朝に18番ホールの場所取りをした。どんな試合展開になるのかなんて分からないまま、まるでギャンブルのように、自分の運だけを信じて。そして最後のシーンで撮れたのがこの写真。私のようなカメラマンにも、オーガスタの魔女が最後に微笑んでくれたようで、溜まりきった疲れも一気に吹き飛んだのだった。
- 中野義昌(なかの・よしまさ)
- 大学時代はゴルフ部に所属。入社した出版社で写真部に配属されたことをきっかけにカメラマンの道へ。2003年からフリーランスとなり、ゴルフを中心にあらゆるスポーツシーンを撮り続けている。現在47歳。
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