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松山英樹2017年末インタビュー
日米首脳ゴルフの舞台裏 松山英樹2017年末インタビュー(3)

「僕は変化することに躊躇(ちゅうちょ)するタイプ。スイングやゴルフの技術に関すること以外については…。例えばスタート前の練習の順番だったり、ルーティン化されているものを変える勇気がない」

松山英樹は自分をそう分析する。ただし2017年は、PGAツアーでの振る舞いとは別のところで変化があった。

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もちろん結婚し、第一子が誕生して新しい家族ができたのもそのひとつ。ただ、そこについては「何も変わらないですよ。いままでもそうですし。特段、変わったことはないんですよね。(周囲に)ビックリはされましたけど」と冷静だ。

むしろ松山にとっては、新たに芽生えた仲間意識が戦いぶりに好影響を与えたように思う。39歳の谷原秀人は、2017年に最も多くの時間を共有した選手だ。同じ東北福祉大出身、ひと回り以上年上の先輩は年明けから海外を転戦して「マスターズ」の出場権を大会直前に獲得。欧州ツアーのメンバーとして世界を渡り歩いた。

2人は米ツアーで新設されたダブルスマッチ「チューリッヒクラシック」でタッグを組み、欧州ツアー「アイルランドオープン」にも一緒に出場した。

ベテランの域にいる谷原について、松山は「すごすぎですよ…あんなに飛び回って、メチャクチャすごい。僕には無理です」と言う。

「メジャーに4つ、谷さんが出てくれたのは大きかった。最近は(日本人で)ひとりでマスターズに出ることが多かったけれど、練習ラウンドで日本人と回るとホッとしました。特に今年は(メジャーの前に)調子が悪かったんで。場が和んで、メジャーとは違うような雰囲気を持たせてくれたのは、うれしかったですね。日本でやっているような感覚でもあり、周りを見ればバリバリのメジャー。そのバランスが面白かった」

2018年は池田勇太がすでに「マスターズ」出場を決めているほか、宮里優作小平智といった面々も海を渡ってくる。

「日本人が多くいるのは『負けたくない』という意識が芽生える意味でもいいと思う。“馴れ合い”の危険性?それはないんじゃないですかね。僕が目指しているのはそういうところじゃない。自分の方が下だと思えば、上の人を目標にして、越えたくなる。上になったら、そんなことは考えない」

いまや孤高の存在と目される松山といえども、戦友と呼べる存在は、自分の手ではいかんともしがたい大切なものだ。

プロゴルフ界では知らない人はいない松山英樹という名前を、これまでとは違う層にアピールできたのが11月。一時帰国中に霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)で、ドナルド・トランプ米大統領と安倍晋三首相との同伴プレーに臨んだ。

「実は春ぐらいに…そういう噂は流れていたんです」と松山は明かす。

正直な人である。

首相官邸のYouTubeより

「うーん。楽しかった…のはウソだな(笑)。緊張しますよ、そりゃ。トランプさんにはこれまでもPGAツアーの会場でお会いしたことはありました。でも、安倍首相は初めてで。僕は英語が喋れないから、トランプさんとは通訳の方を介してのお話でしたけど、安倍さんとは直接、日本語での会話でしょう。『なにか失礼なこと言ったら、余計なひとことで、どうにかなってしまったらどうしよう…』と。オドオドしながらやっていました。トランプさんとだけ、安倍さんとだけとのプレーなら、まだ少しは気楽だったかな。SPの方の数もスゴかったっすよ。ホントに、そのうち撃たれるんちゃうかと思った」

緊張のラウンドはすぐに「日米ゴルフ外交」として大きく報じられた。「お二人はたまにシリアスな話にもなっていたようですけど。そこは聞かないフリをして…」と、雰囲気の引き締まるのを感じる時間帯もあったという。ゴルフ、スポーツの枠を超えて、政治ニュースのトピックスにもなった。朝の情報番組、昼のワイドショーでも取り上げられた。しかし、松山本人がその報道ぶりに少々疑問を抱いたのは、事実である。

「トランプさんがボールをピックアップして、安倍さんに返す映像から『どちらが(日本に)招待してるんだ』なんていう報道も目にしたりしましたけど、そういう感じじゃなかったんだよなあ…って思います。政治のことは、とりあえず置いて、まずはゴルフを楽しもうという雰囲気でしたけどね。僕を呼んでいただいたのも、どうせ日本に行くんだったら、プロゴルファーを交えて…というくらいの軽い意味だと思うんですよね。それを、特別な意味を持って報道されていたのは違和感がありました」

多忙を極める両首脳であっても、ゴルフくらいは純粋にエンジョイできる時間であってほしい。それも世界屈指のプロゴルファーとしての願いである。(編集部/桂川洋一)

■ 本日のもう一問

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