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“タイガー・スラム”とタイガーのスランプ!?

振り返ればもちろん、タイガー・ウッズだろう。優勝がなかった開幕からの5試合には心配させられたし、シーズン終了までの9試合はトップ10入りが一度しかなく、タイガーにとってはプロ入りして5年半で初めての事態だったが、そのあいだの期間にはゴルフ史上最高の一年と呼べるだけのことを成し遂げた。

まだ春浅い3月初旬から6月はじめまでの7試合で5勝し、3位より悪い成績がない。ベイヒル、プレイヤーズ・チャンピオンシップと連勝した後には、いわゆる「タイガー・スラム」と称される偉業を達成した。2000年の全米オープンの勝利を皮切りに、全英オープン、PGAチャンピオンシップを制覇し、今年のマスターズに優勝して前人未踏のメジャー4連勝という記録をものにしたのだ。

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「忘れないでください。いままで誰ひとりとしてやったことがなかったことを成し遂げるチャンスが私にはあったのです。そして、やってのけることができた」

ウッズは今季公式戦終了後にそう述懐している。25歳という若さで、じつに多くのことをやってのけたのだ。PGAツアー年間最多勝(今季5勝)に加えて、年間最優秀選手賞と賞金王(569万ドル:約6億8300万円)のタイトル獲得は5年間で4度目である。そして平均ストローク数が最少であるプレイヤーに贈られるヴァードン・トロフィーは3年連続だ。長打力を生かしてパー5でのバーディ奪取率で5年連続ナンバーワンの座を守っているだけでなく、スクランブリング部門、つまりグリーンをはずした時にパーをセーブする率でも69.8%を記録してトップ。また、アンダーパーの合計でも首位(-182)であり、ビジェイ・シンに5打差、フィル・ミケルソンに7打差をつけている。ウッズは言う。

「今年はかなり上出来でした。去年ほどではないにしろ、私は胸を張ってもいい年だったと言えます」

むろん、2000年という年は輝かしい年だった。全世界で勝利を重ねて年間12勝、そのうちPGAツアーでは9勝、メジャー3勝。30ものツアー記録を塗り替えたのだから、「二度とできない」とウッズが言うのも無理はない。これまでの3年間で22勝、通算29勝で、うちメジャー6勝。そのあまりの輝かしさのために、2001年の年間5勝がもの足りなく思われるのも仕方がないだろう。しかし、過去21年間で、年間5勝をあげたのは1994年のニック・プライスのみである。PGAコミッショナーのティム・フィンチェムも「今年、ウッズが成し遂げたことはゴルフ史上空前絶後」と言っている。

低調だったと言える部分があるとすれば、去年3つ連続で制覇したメジャーで優勝争いに加われなかったことだろうか。しかしながら、マスターズでウッズが感じていたプレッシャーとメジャー4連勝達成後の開放感は我々が知るよしもない。ウッズは今年の全米オープンを12位タイで終えたときに次のように言った。

「優勝争いに絡むことがどれほど難しいことかは、皆さんにはわからないでしょうね。ものすごいストレスです。すり切れてしまいますよ」

万事考慮するとして、ウッズのこの一年はトータルで申し分ないと言えるかどうかは議論の余地のあるところだ。全英オープンに勝ったデビッド・デュバル、そして優勝こそできなかったがフィル・ミケルソンの二人は、メジャーではウッズよりもコンスタントによい成績を残している。ウッズは、すばらしき2000年と比較するとドライビング・アキュラシーで54位から145位に後退し、GIR(グリーンズ・イン・レギュレーション)は75.2%から71.9%へと率を落とし、1999年、2000年と年間16試合、17試合もあったトップ10入りが9試合しかなかった。ついでに言えば統計上、タイトリストのPro V1に替えたプレイヤーは軒並み成績をよくしている。好調のうちに今季を終えたクリス・ディマルコは言った。

「脅威を感じるということでは、少しだけ和らいだ気がするね。彼も負けることがあるんだ、ウッズも人間なんだとみんな思ったでしょう・・・。もし、その週に調子がよければもしかしたらウッズに勝てるかもしれないってね」

ミケルソンはウッズに比べれば3つも勝ち星は少ないが、公式世界ランキングやゴルフウィーク・サガリン・インデックスではナンバーワンのウッズとの差を縮めた。ツアーのスタッツではオールラウンド部門、バーディ奪取率部門、総イーグル数部門でトップだ。さらに、ここぞという時のショートパットをはずしてしまって大きな試合を逃してはいるが、パッティング部門でもミケルソンは順位を上げており、平均パット数は1.717で2位につけている。

「パッティングは本当にすごくよかったのです。いろいろと書かれたものを読んだみなさんは、私のパッティングはだめだと思っているかもしれませんが、パットは今季、私がじつによくなっている部分なのです」

ミケルソンはしばらくの休暇中だ。12月にはスコッツデールからサンディエゴに引っ越した。8月のワールドゴルフ・チャンピオンシップNECインヴィテーショナル以来、試合から遠ざかっており、来年は1月中旬のボブ・ホープ・クライスラークラシックから出場する計画だ。ハワイでのメルセデス・チャンピオンシップに始まるいくつかの試合には出ずに、家族とともに新居で休暇を過ごすということだ。

ミケルソンはナンバーワン・プレイヤーに近づいたことを満足に感じているが、そのミケルソンをPGAチャンピオンシップで破った男、今年3勝したデビッド・トムズは依然としてウッズただひとりがずば抜けた存在だと考えている。

「私は依然として私たちが彼と同じレベルでプレイしているとは思っていません。上位にいるプレイヤーでさえも、フィル・ミケルソンデビッド・デュバルもタイガーには肩を並べることはできない。私もそうです。彼には天賦の才能がある。もしタイガーが全試合に出場したら、それはもう信じられない記録をつくっていることでしょう。私は彼に太刀打ちできるとは思っていません。私としては自分のポテンシャルをほぼ十分に発揮できたというだけで、そのポテンシャルがタイガーと同じレベルだとは考えていません」(GW)

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