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USPGAツアーは単なる仲良しクラブではない

フェアプレイはゴルフならずともスポーツの基本精神であり、プレイヤーはどんなときでも取り乱したり、キレたりしてはならない。しかし、考えてみればアメリカPGAツアーとは出場権を手に入れるのさえ至難で、スコアのたった一打にたいへんな金額のかかった厳しい世界。ファンを大切にし、メディアにも丁寧な受け答えをする紳士的なプレイヤーたちも、つねに喰うか喰われるかの戦いを強いられていることを忘れてはいけない。

もちろん、許し、忘れることは美徳だ。だから敢えて過去の出来事をほじくり返すべきではないのだが、同じような出来事が起きた時にどう対処すればいいのかということもわれわれは忘れてしまっているかもしれない。具体的にいえば、今年11月10日のフランクリン・テンプルトン・シュートアウト最終日。フランク・リックライターのブラッド・ファクソンに対する言動はあまりに冷静さを欠いた大人げないものであったことは確かだろう。

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ファクソン・マッキャロン組についに首位に並ばれたリックライター・デイリー組は16番パー3でともにティショットを曲げてしまい、リックライターのティショットを選択することにした。いわゆるベターボール、スクランブル方式なので、デイリーはリックライターのボールからクラブ一本分の距離の松の落ち葉の上にプレースしようとしていた。彼らのこの手続きについてはこの日、何ら問題はなかった。次のショットについて話し合っている二人のところへファクソンが歩いてきた。ファクソンはそこへやってこなければならない理由は何もないのだが、ちょうどデイリーがプレースしようとしている地点を歩いた。リックライターはどいてくれとファクソンに頼んだが、ファクソンはそのまま歩き回ることをやめなかった。リックライターは激怒して、ファクソンを指さして叫んだ。

「うせろ!」

ファクソンは紳士的な人物として知られているし、優等生のイメージがある。かたやリックライターはタフガイだ。リックライターはテレビでこの一部始終を見ていた視聴者の共感をそれほど買うことはできなかった。試合後、リックライターは自分の行為を後悔し、ファクソンに謝罪したそうだ。3日後にはザ・ゴルフチャンネルに出演して、トーナメントのすべての出場者、関係者、そして見ていた人々に謝罪した。彼はその後も動揺している様子で、テレビを見ていた子どもたちに自分の行為がネガティブな影響を与えてしまったのではないかと深く悔やんでいた。

「私はとくに子どもたちに対しては申し訳ない気持ちでいっぱいだ。今回のことでは、それが一番重大なことだ。心から謝りたい」

リックライターの言動は非難されようが、これ以上糾弾するにはあたらないだろう。彼は生涯忘れ得ぬ教訓を得たはずだ。というわけで、われわれの「許し、忘れる」プロセスを発動するために、過去の醜い出来事を振り返っておこう。

*2000年の全米オープン2日目。テレビで生中継されている場面で、タイガー・ウッズは18番のティショットを引っかけて海へ打ち込んだときに、口汚いののしりの言葉を連発した。タイガーの幾度かの暴発の中でももっともひどいものだった。

*1991年のライダーカップでのポール・エイジンガーセベ・バレステロス。インチキをしたという非難に試合に勝つための駆け引きが交錯し、両者とも敵意むきだし。怒りに満ちた言葉の応酬はライダーカップのあとも長く続いていた。

*数年前、カリフォルニア州ナパでのシニアツアー・トランスアメリカでのこと。デイブ・ヒルとJ.C.スニードが練習場で言い争いから殴り合いに。そこに居合わせたプレイヤーが割って入ったときには、スニードのスパイクがヒルの喉元に食い込んでいた。

トム・ワトソンとゲイリー・プレイヤー。1983年のスキンズ・ゲームでの出来事。その年に始まったこのイベントの最中、ニューヨークタイムズ紙のデイブ・アンダーソン記者は、ボールのすぐ後ろに立ち上がるように生えていた何本かの芝をゲイリー・プレイヤーが引き抜いたとワトソンが非難するのを聞いた。以後、両者の仲は冷え切ってしまい、翌年のスキンズ・ゲームでは再び顔を合わせた二人を見ようと興味津々の観客が詰めかけた。

*1995年のファイアストンCCで、グレッグ・ノーマンはマーク・マッカンバーが自分のパットのライン上にある芝の葉を何気なく摘み取ったと告発した。マッカンバーは取ったのは昆虫だと反論した。そのラウンドが終わってからノーマンはマッカンバーのスコアカードへの署名を拒否した。

*翌1996年のプレジデント・カップでは再びノーマンが渦中の人になる。インターナショナル・チームはキャプテンのデイヴィッド・グラハムとのあつれきから試合直前に反乱を起こした。その首謀者の一人がノーマンで、インターナショナル・チームは試合のわずか7週間前、ついにグラハムを追い出し、ピーター・トムソンがかわってキャプテンとなった。

*PGAツアーの札付き筆頭だったのはマック・オグレイディー。リクライターやジョナサン・ケインはその流れを引き継いでいると見る向きもあるが、反逆児オグレイディーは当時のコミッショナー、ディーン・ビーマンの天敵で、その歯に衣着せぬ発言から検閲され、罰金を科され、出場停止処分を受けていた。

というわけで、こうした問題の歴史は脈々と続いているわけだが、べつにオグレイディーは連続殺人犯でも猟奇殺人犯でもなかったことを、あらためて言っておきたい。そして冒頭のリクライターも同じであると思う。JAMES ACHENBACH(GW)

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