世界ナンバー1プレーヤーのビジェイ・シンが圧倒的な強さで今季9勝目を達成｡派手に騒がれることを嫌い､物静かで黙々と練習に励むビジェイ。そんなビジェイが底力を見せつけたのは今シーズン後半からであった。

忘れられないドラマが生まれたのは9月始めの｢ドイツバンク選手権｣の最終日。長い間､ワールドランキングトップの座に君臨してきたタイガー・ウッズはトップのビジェイと2打差で残り2ホールを迎える。しかし､17番でタイガーのセカンドショットはピンから3メートル以上離れてしまう。少し前のタイガーならバーディを次々に奪い､他の選手の優勝を許さなかったはず。しかし､ビジェイはタイガーに情け容赦なく襲いかかり優勝を収めた。いままで多くの選手が消し去ることができなかったタイガーの勝利の方程式。そのタイガーの牙城を突き崩したのがビジェイだった。

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タイガーが世界ナンバー1の座を取り戻すという人々の期待を打ち砕くように、ビジェイはその後2ヶ月間も圧倒的な強さを見せつけている。自分こそが真の世界ナンバー1だと言わんばかりに､その後さらに3勝。｢クライスラー選手権｣最終日には65をマークし､シーズン9勝目を挙げた。

ビジェイの今年の戦績は歴史に残る素晴らしいものとなっている。40歳を過ぎてから12勝を挙げ､サム・スニードの持つ17勝の記録更新も夢ではなくなった。また､シーズン9勝を挙げた選手はビジェイが史上6人目。スニード、ベン・ホーガン、タイガーらとならぶ快挙である。あのアーノルド・パーマーとジャック・ニクラスでさえシーズン9勝を挙げたことはない。ビジェイはツアーで24勝目をマーク。その数はレイモンド・フロイド、ヘイル・アーウィン、グレッグ・ノーマン、ニック・プライス、フィル・ミケルソンを越えている。ビジェイはタイガーほどのスター性はないかもしれないがゴルフ界はビジェイの天下となっている。