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今のタイガーを誰も倒すことは出来ない

タイガー・ウッズを倒すにはどうしたら良いのだろうか?
最近2ヶ月間皆が考えていたことだが、未だに誰もその答えを見つけられないままである。ビジェイ・シンは「ドイツバンクUS選手権」の4日間、常にこの問いを自問し続けた。しかし結局他の選手たちと同様、答えは出ずにまたしても最終日にウッズに優勝をさらわれてしまった。同じ様な展開がここ5大会連続で繰り返されており、5連続優勝という形で週末ごとに“タイガー・ウッズ神話”は大きくなっている。

本当にタイガーを倒すことは出来ないのだろうか?最近の彼のプレーの様に、誰よりも正確で安定しており、誰よりも遠くへ飛ばし、どんなパットも決めていれば、答えは勿論「イエス」、こんな彼を誰も倒せないだろう。今大会最終日の最初の7ホールで2イーグル、2バーディの驚異的なスコアを打ち出す選手を前に、他の選手は何が出来るであろうか?答えは、「何もない。」タイガーの素晴らしいプレーを呆然と眺め、手を叩いて賞賛するだけである。

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現在の所タイガー・ウッズを倒すことの出来るのは、彼自身だけかもしれない。肉体の衰えや精神的な疲れだけが、彼を脅かす唯一の武器なのであろう。父親の死後、彼は“心技体”全てにおいて最高の状態である。それが続く限り、これからの大会の目玉は誰がタイガーに次いで2位となるかである。この2位を巡る他の選手達の戦いは今後もまだ長く続きそうな気配である。

タイガーを倒す方法があるとすれば、他の選手が一丸となり“アンチ・タイガー計画”を練るか、競技ルールを変えるしかないだろう。例えば、タイガーは他の選手よりも100メートル後方からのスタートとする、あるいは各大会10打のペナルティを与えるとか、パターとウェッジのみ使用可能とする等である。そうして初めて、他の選手と良い勝負が出来るであろう。タイガーに勝つための非現実的な話はこれくらいにして、この真のチャンピオンの強さを素直に讃えようではないか。

最後にタイガーを倒したのは、7月に行われたシアリスウェスタンオープンで優勝した南アフリカ人のトレバー・イメルマンである。今年の米国PGAツアーにおいて、彼は偉大な功績を残したと言えるだろう。そして、今度の功績は間違いなく次にタイガー・ウッズを倒した選手のものである。もしくは、タイガー自身によるものかもしれない。つまり、バイロン・ネルソンの持つ驚異的な11大会連続優勝の記録を塗り替えれば、これは紛れもない偉業である。この記録にはまだまだ遠いけれども、タイガーにとっての先ず次の課題は、2週間後ロンドンで行われる「HSBCワールドマッチプレーチャンピオンシップ」である。ここで、彼は先ず自身の持つ5大会連続優勝の記録更新にチャンレンジすることになる。(1999年-2000年にも5連続大会優勝を果たしている。)ネルソンの大記録への挑戦は、その後の話。

MARCY JULIEN(マルシー ジュリアン)
スポーツジャーナリスト。フランス出身の30歳。
フランスの新聞、テレビ、ラジオ等で活躍後、2005年末より日本在住。
専門はスポーツ全般だが、数年前よりゴルフの世界で活動中。

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