「身震いした」ザック・ジョンソンが昨年の勝利を振り返る
チャンピオン、トレバー・イメルマンのインタビュー
記者
「優勝おめでとうございます。まず、健康面について、この4ヶ月を振り返っていただけますか?大会前もコメントがありましたが、今こうやってチャンピオンになってみて改めてどうでしょう?」
トレバー・イメルマン
「ここ4ヶ月はまさに、ジェットコースターのようにアップダウンの激しい日々でした。実際私はジェットコースターが嫌いなので皮肉ですね。南アフリカで行われたネッドバンク・チャレンジの1週間後に腫瘍を取り除く手術を受けました。幸い腫瘍は良性でしたし、術後の経過もよく、2ヶ月足らずで体も回復しました。ただ、ツアーに復帰したのは良いものの、やる気とは反対にゴルフの内容がついてこなかったので、フラストレーションを感じました。自分のプレーに満足がいかず、ゼロからの再スタートが必要だと感じました。それから、予選落ちがしばらく続きましたが、ゴルフの内容は徐々に良くなってきたので、しばらくの辛抱だと思っていたんです。先週も予選落ちでしたが、今週は“マスターズ”のチャンピオンになりました。自分の事ですが、まるで嘘みたいです。」
記者
「11番ホールでのパーセーブは鍵となりましたよね。他に、16番と17番のプレーについても話してください。」
トレバー・イメルマン
「11番の2打目は本当に難しかったのです。左サイドに行きたくないという意識があったので、右に押し出してしまったのです。3打目のチップショットは、落ちた場所があと30センチ違ったらもっとピンによっていたでしょうね。カラーからのパーパットは、右から左へカップ3つ分ぐらい切れると読んだのですが、打った瞬間これはいけると思いました。あれが入った時は嬉しかったですね。難しい後半の9ホールですから、パーで上がれたら上出来です。
その後の3ホールはとても良いプレーができました。16番のティーショットではクラブ選択にも自信があったのですが、風が回っていて突風が吹いたりしたので、仕切り直さなくてはいけませんでした。風は左から吹いているはずだったのですが、それも吹いたり止んだりで、悩みましたね。結局あのショットは引っ掛けてしまいました。打った後、池を越えて、せめてバンカーに入るように祈ったのですが、運には恵まれませんでした。それでも、キャディから励まされて気を取り直しました。ティーグラウンドから打った3打目は9番アイアンでした。それで、ダブルボギーの5だったのですが、意外にも気落ちしませんでした。一日中スコアボードは見ていなかったのですが、ダブルボギーを叩いたのに回りの人は拍手をしているので、それほど悪くないんだなと思ったのです。そうじゃなければ、手なんて叩いてくれませんからね。17番はティーショットもうまく行って、50度のウェッジでの2打目もうまく打てたのですが、あと30センチ違っていればピンにピタリとよっていたでしょうね。あの時点では感情を抑えて冷静さを保つのに必死でした。3打目はバンカーからで1メートルに寄せられましたし、パーパットも決めました。18番に向かう時は、このホールも1打1打に集中してプレーしようと思いました。」
記者
「では、ラウンドの始めに戻り、1番はボギーで、スネデカーが2番でイーグルを取って二人が一時並びましたよね。まだ残りのホールは沢山ありましたが、その時は、どんな心境だったのですか?」
トレバー・イメルマン
「あなたが言うように、まだまだ残りのホールは沢山ありましたし、難しいコンディションでいつトラブルに見舞われるか予想のつかない状況でしたので、辛抱強く行こうと考えていたのです。1番のティーショットは明らかにミスショットでした。今週最悪の1打だったかもしれません。2番のブラントのイーグルは素晴らしかったですね。ティーショットも完璧で、ロングアイアンでグリーンに乗せた後、見事なパットでした。あっという間にリードがなくなったわけですが、まだラウンドは始まったばかりで、調子も悪くないので、じっくり行こうと思いました。ひとホールで2打縮まった事なんて、私たち以外にも今日のラウンドでは沢山あったはずですので、それほど心配はしませんでした。」
記者
「今日のテレビ中継の中で、昨日あなた宛に、ゲーリー・プレーヤーからメッセージがあったと聞いたのですが、それはテキストメッセージだったのですか?それとも留守電に残されたメッセージだったのですか?」
トレバー・イメルマン
「プレーヤーさんからのメッセージは、私の携帯電話のボイスメールに入っていました。昨日コースを出る時に聞いたのですが、感動で鳥肌が立ったぐらいです。プレーヤーさんは、仕事の都合で中東に向けて移動するので、最終ラウンドの中継は見れないけど、お前を信じているから、お前も自分を信じてがんばれと言ってくれました。それから、パットの時、頭を上げるのが少し早いから、もうちょっと頭を動かさずにいろとも言っていました。あとは、トラブルは絶対に巡ってくるから、それを恐れずに乗り越えろともアドバイスしてくれましたね。これは避けて通れない事だからと言っていました。プレーヤーさんの言葉を胸に今日プレーしましたが、彼もきっと喜んでくれていると思います。」
記者
「もうプレーヤーさんとは話したのですか?」
トレバー・イメルマン
「まだ移動中なのかどうかわかりませんが、まだ話していません。」
記者
「ではタイガーに関する質問です。タイガーの世代にザック・ジョンソンがマスターズで優勝したのはまぐれだと言う声に、本人は何と言われても全く気にしていないとコメントしました。貴方はタイガーの世代に優勝したことをどう思われますか?」
トレバー・イメルマン
「どの時代でもメジャーで勝つのは簡単ではありません。今貴方が言った様に私はタイガーの居る時代に“マスターズ”で優勝しましたが、彼は本当に信じられないプレーをします。私はスポーツ観戦が大好きなので、色々なスポーツを見て勉強していますが、タイガーのやることには恐ろしささえ感じますね。普通出来ないだろうと思うことを彼は難なくやり遂げます。32歳でメジャー13勝なんて普通なら考えられませんし、彼はこれからも勝ち続けるでしょう。私もザックと同じで、タイガーの絶頂期に“マスターズ”で優勝できたことを誇りに思います。またメジャーで優勝できるかは分かりませんがこれからも頑張ります。」
記者
「貴方はゲーリー・プレーヤーと親しい関係ですが、貴方にとって彼の存在はどれ程大切なものなんでしょうか?」
トレバー・イメルマン
「私にとって大切な人は何人かいますが、プレーヤーさんとは5歳のときに地元のゴルフ場で知り合いました。プレーヤーさんは、まだ前歯もない私を抱き上げて一緒に写真を撮ってくれました。まだその写真を持っていますがそれが彼と初めて会った日でした。子供ながらゴルフが大好きだった私をプレーヤーさんは気に入ってくれて、手紙のやり取りや、電話をすると必ず対応してくれましたね。アドバイスもしてくれましたし、いつも私を応援してくれていました。ゴルフの調子が悪い時はレッスンだってしてくれましたし、励ましの言葉も貰いました。だから、私にとって父親的存在ですね。あれほどの成績を残している人が、味方になって応援してくるのは心強いですし、感謝の気持ちで一杯です。」
記者
「まだ優勝したばかりですが、この優勝でどの様に人生が変わると思いますか?」
トレバー・イメルマン
「全く想像できませんが、良い方向に変わるのでしょうね。いやぁ、本当に分かりませんからその質問に答えようがありません。ただこれからも努力を怠らず、子供たちから尊敬される人物になりたいですね。それが自分のしたいことです。」