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2019年 全英オープン
期間:07/18〜07/21 場所:ロイヤルポートラッシュGC(北アイルランド)

ゲーリー・プレーヤーが振り返る60年前の「全英オープン」

4大メジャー大会すべてを制するグランドスラムを達成したのは、ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤージャック・ニクラスタイガー・ウッズの5人だけ。米国人以外では、プレーヤーが南アフリカ人としてただ1人のキャリア・グランドスラマーだ。通算9勝を挙げたメジャー優勝の最初の1勝は1959年の「全英オープン」。83歳となったいま、60年前の大会を振り返ってもらった。

―1959年の「全英オープン」初優勝から60年。当時の思い出を教えてください。
あの週は妻が第一子を連れて南アフリカから来てくれた。出産の時はお金がなくて帰国できず、申し訳ない思いだった。会場のミュアフィールドに着いてクラブハウスに入ると、「ここで何をしているのかね?」ととがめられた。「全英オープンの練習に来た」と告げるとコロネル・エバンスロムという書記官が、「若者よ、君はここでは練習できない。ここはミュアフィールドなのだよ」と言った。私は咄嗟に「私は貧乏です。妻子連れでお金が必要なので、全英オープンで勝ちます」と返すと、彼はこう答えた。「君はここで練習できないばかりでなく、傲慢な若者のようだな」。しかし、私と彼は親友となり、風向きが変わる15番のティショットは1Wで打ってはならないと教えてくれた。どうなったか?ティショットを3Iで打って午前も午後も(当時は最終日に36ホールをプレーした)もバーディを奪った。表彰式で彼はあたかも自分が全英を制覇したかのようだった。

―あの勝利でその後のキャリアの方向性は変わりましたか?
私は米国市民でも英国市民でもないが、「全英オープン」は世界で最も重要な大会だと考えている。他の大会とは違って、幾多の困難に見舞われる。バンカーから後ろ向きに出さなければいけなかったり、午前中に完璧な天候でプレーできたと思ったら、午後に強風のなかでのプレーを強いられたりする。多災難の連続だ。ヤーデッジブックなど役に立たない。7Iで240ヤード打つこともあれば、70ヤードしか飛ばないこともある。つまり、持って生まれた本能でプレーしなければならないことを覚えた。

―持って生まれた本能について、もう少し教えてください。
これは多くのレギュラーツアーから失われたものだ。今、選手たちは(傾斜などの情報が記載された)メモを見てパットしているが、私は認められるべきではないと思っている。グリーンを読むことは、選手とキャディがやるべきことだ。偉大なパットの名手たちは、誰もメモなど見なかった。時間を使い過ぎるので、禁止すべきだ。スロープレーを改善しなければならない。50ヤードを距離を測るために50ヤードあちこちをうろついても、どれだけ球が飛ぶかはわからない。その代わりに、距離計測器を使えばいい。この先どうなるのか見当もつかないが、すぐにベルトにつける小型デバイスが「時速7マイルのアゲンストで打ち上げです。6Iでいきましょう」と言うようになる。我々は人間が本来持っている能力を手放しつつある。それが本能であり、ゴルファーの違いを生む極めて重要なものだと思っている。今の選手が昔の道具でプレーしなければならないとしたら、試合で勝てる選手は今より少なくなるだろう。選手たちはよりふるいに掛けられるからだ。粗末な道具を使う場合、優れたショットメーカーでなければならないのだ。

―最も好きな「全英オープン」開催コースは?ロイヤルポートラッシュについてはどう思う?
見事な改修によりスコットランドの伝統が復活したターンベリーと、北アイルランドのロイヤルポートラッシュが世界でベスト2のリンクスコースだと思う。世界にこれ以上のゴルフコースはない。あの地域が抱えていた困難を考えると、私は自分の生きているうちに再び北アイルランドのロイヤルポートラッシュで開催される「全英オープン」を観られるとは思ってもみなかった。素晴らしいことだ。世界中から何万という人々が北アイルランドを訪れ、メディアが世界に対し、いかに素晴らしいコースであり、国であり、人々であるかを説くことでアイルランド全体が恩恵に授かることになるだろう。

―ご自身の成功にとって鍵となった要素をひとつ挙げるとしたら?
自分の信念だと思う。それは誤ったことをしたときに諭してくれる。正しいことをしたときも教えてくれる。この星で問題を抱えていない者などいないだろう。たとえ現時点で抱えていなかったとしても、その後の人生で抱えることになる。しかし、信念を持っていれば、すべて対して対処できる。私が大会でプレーしていた時分、一度として諦めたことはなかった。それは正しいことではないと感じていたからだ。たとえ最下位になりそうだったとしても、私はビリから2番目になろうと努めた。信念は、人生、結婚、家族、そしてビジネスにおいて最高の力となってきたと思う。それに、偉大な男というのは、役職の高い人にどう接するかではなく、空港の床を掃除する女性や、道端にいるなにも持たない男をどう遇するかで判断されるということを、いつも心に留めている。

―ザ・プレーヤー・ファウンデーションは、長年にわたるチャリティ活動により、じつに6400万ドルを超える寄付金を集めてきました。人々の生活にそのお金がどのような違いをもたらすのか教えてください。
チャリティ活動は私にとって興味深く、とても楽しいものだ。人生終盤のこの歳になって、色々な国々を回ってこれだけの金額を募るのは簡単なことではなかったが、私たちは数多くのプロジェクトを通じて恵まれていない若い人たちを支援している。ベレンバーグ銀行にはスポンサーとして多大な支援を受けている。ロンドンでは彼らの助けを得て、ホームレス経験のある若者たちの生活を転換する施設を作り、路上で寝ていた者たちが医者や弁護士になっている。じつに目覚ましい成果を挙げている。南アフリカでは2つの学校を作ったが、本当に報われる仕事だった。教育を受ける機会のなかった人々が、今では世界に羽ばたいている。若い頃に貧乏を経験すると、感謝の心を持つことができる。贅沢ができる人々は世界でも数少ないが、我々はその事実を忘れる傾向にある。

「ベレンバーグ ゲーリープレーヤー招待」は世界中の男女ゴルファーから支援されてきました。あなたにとってこの意味は?
ゴルファーはチャリティ活動にとても関心を持っていると思う。ほとんどのゴルファーは、自分たちのチャリティを持っている。そして、もし言わせてもらえるならば、これは1965年に私が「全米オープン」を制覇したときに始まったのだ。当時、癌で母を亡くした私は、癌とジュニアゴルフに賞金のすべてを手渡した最初のゴルファーだった。以来、これはすべてのゴルファーにより絶え間なく行われており、その過程でゴルファーたちが本当に人々の助けとなってきたことに、私は大きな誇りを持っている。ゴルフは素晴らしいスポーツであり、募金を集めるための素晴らしい促進剤だ。なぜなら、普通の人もプロとゴルフをプレーできるが、例えば普通の人がプロとラグビーをプレーすることはできないから。

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