野村敏京が米ツアー初優勝!日本勢4季ぶり、世界1位コーを振り切る
2016年 ISPSハンダ オーストラリア女子オープン
期間:02/18〜02/21 場所:グランジGC(オーストラリア)
リオ五輪代表争いに急浮上! 野村敏京の歩み
「ISPSハンダ オーストラリア女子オープン」で米国女子ツアー初優勝を遂げた野村敏京(のむら・はるきょう)。世界ランキングは日本人7番手から3番手に浮上する見込みで、リオデジャネイロ五輪代表の座も、現実味を帯びてきた。日本に生まれて韓国で育ち日本人になることを選んだ23歳は、一度は挫折を味わいながら、それでも米ツアーで戦う道を突き進んだ。プロ6年目で夢のタイトルを手に入れるまでの足跡を追った。
■キーマンに名乗り?
今回の優勝で、野村の世界ランキングは67位から50位前後に上昇。前週までは日本勢7番手で、大山志保、宮里美香、上田桃子、渡邉彩香、横峯さくら、成田美寿々の後塵を拝していたが、大山、宮里に次ぐ3番手となる見通しだ。8月に開催されるリオ五輪の日本代表になるには、7月11日時点で世界ランク日本人上位2人に入ることが条件。五輪代表争いではこれまで話題に上ってこなかったが、今後のキーマンとなりそうな気配だ。
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オリンピック・ゴルフ競技対策本部の倉本昌弘強化委員長は「米国ツアー初優勝とはとても思えない、力強く堂々としたプレーでした。五輪までこの調子を維持してもらいたい」とのコメントを、日本ゴルフ協会を通じて出した。
■日本生まれ韓国育ち 米国でプロに
野村は1992年11月25日、神奈川県で生まれた。日本人の父と韓国人の母を持ち、幼少期を日本で過ごした後、韓国に渡り、高校卒業まで暮らした。高校在学中、2009年「日本女子オープン」でローアマチュアに輝いた。10年末に日本国籍を選択。同年末に初めてエントリーした米国女子ツアーのファイナルQT(最終予選会)で40位に入り、米国でプロ転向した。
■日本ツアーで衝撃のプロデビュー
11年4月、米国の下部ツアーで優勝しプロ初タイトルを手にした。プロとして日本ツアーに初参戦した同年5月の「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」では、3日間首位を守り切る完全優勝を達成した。18歳178日での優勝は、宮里藍が03年に記録した18歳101日に次ぐ史上2番目の年少記録となった。アマチュアのときはたどたどしかった日本語も、優勝会見では通訳を交えずに受け答えをするまで上達していた。
■米国ツアー挫折と再挑戦
しかし、出場試合が限られる米レギュラーツアーでは11年、12年と賞金シードに遠く及ばなかった。野村は、米国からの一時撤退を決断。13年は日本ツアーを主戦場にしたが、自らの熱き思いは捨て去れなかった。「アメリカでプレーすることが私の夢だと思っていた」。同年末に再び海を渡った。ファイナルQTを19位で通過し、米ツアープレーヤーへと返り咲いた。
14年シーズンは、中学2年時からコーチを務めてきたハワイ在住の伯父を呼び寄せ、ツアーに帯同して環境を変えた。プレー面では、ドロー一辺倒だった球筋にフェードを織り交ぜるスタイルにシフトし、かねて「弱点」とこぼしていたショートゲームの上達にも注力。2度のトップ10フィニッシュを記録し、賞金ランク47位で初のシード権を手にした。翌15年も賞金ランク66位に入り、今年のシードを確保。レギュラーツアーへの定着を足場固めの期間とし、静かに開花のときを待ち続けた。