藤田寛之「85」の大叩き 最下位で予選落ち
<ジャパンゴルフツアーの開幕間近! 谷口徹が「今年もやるよ!」と言い切る原動力とは>
谷口徹と、我々日本ゴルフツアー機構のスタッフと、オフは毎年、奈良県の児童養護施設に通い始めてもう7年目になる。大阪府にある谷口の自宅で待ち合わせ。高級外車で、なんと豪華に谷口の運転で、高速を使って小一時間のドライブ。
BMWはいつも、「よい子の童謡」だ。昨年は、確か「げんこつ山のたぬきさん」だった。今年は、「手のひらを太陽に」。選曲にも2人の娘さんの成長が感じられて、ほほえましい限りである。そんなのどかな歌をバックに繰り広げられるベテランのよもやま話は「先日の国会中継」について。はたまた「国会議員定数の削減」について。本業の話題ならば、つい昨日終わったばかりの女子トーナメントの結果について。優勝争いの模様もぬかりなくチェックしていて、いま注目の若手女子選手のプレーやスイング分析も、谷口ならではの視点を交えて興味深い。
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一転、帰りはハンドルを握りながら、声がしんみりとなるのも常だ。毎年のことなのに、この人はいつも、帰路につくころには、こんな疑問で頭の中が一杯になっている。「どうしてなんだろう。どうして親が、子どもにそういうこと出来るんだろう・・・」。
今年の訪問先は、奈良市内の母子支援施設だった。今まで訪問してきた児童養護施設とは違い、母と子がともに暮らす環境は、「お母さんと一緒なら子どもも安心」と、少しは楽観していた谷口だったがそんな安堵も帰るころには完全に覆っていた。
施設長のお話によると、主に父親の暴力に耐えかねて逃げ込んできた親子も、そこで本当に平穏な生活を取り戻すのには、入所から何年も経ってからという。肉体的にはもちろん、特に精神的に受けた深い傷は長く癒えることがなく、母親の不安定な精神状態に、二重に心を痛める子どもも少なくないという。
そんな現状を聞くたびに、谷口の心には「どうして」というやるせなさが、押し寄せる。とりわけ子煩悩な二児の父には、疑問と憤りで一杯になってしまうのだ。そして、今年45歳を迎えてなお、「今年もやるよ」と闘志を燃やす原動力もそこにある。
2006年から始めた出身の地元・奈良県の児童養護施設へのチャリティ活動も、「成績を残せなければ、続けていけないわけで。自分としては、少しでも長く子どもたちの力になりたい。それが自分の大きなモチベーションになっていることは確か」と、明かしている。
昨年は、同じ40代の藤田寛之と激しいデッドヒートの末に、取り逃がした自身3度目の賞金王に向けても意欲満々。そのためにも今年は例年以上に調整に力を入れたといい、開幕にむけて準備も万端。子どもたちにも、今年の活躍を約束したからには期待を裏切るわけにはいかない。今年のオフもまた、子どもたちの満開の笑顔を見るために。日本屈指のベテランは全速力で走り続ける。