藤田寛之を讃える谷口徹「あそこまで熱心なゴルファーはいない」
<ネタにされてなんぼ!? タイのジュニアに間違われたプロゴルファーって・・・>
ジュニア育成に力を入れているジャパンゴルフツアーはシーズン中も、さまざまなトーナメントでイベントを開催して、底辺の拡大を狙っている。その一環で、主に決勝ラウンドで行われることが多い“キッズエスコート”。明日を夢見るちびっ子たちと、選手が手をつないでスタートの1番ティに入場するという趣向だが、昨年はそれに携わるスタッフが、特に気をつかったプロゴルファーがいる。
上平栄道。
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昨シーズンは、再三の優勝争いで、賞金ランキングも自己最高の16位につけた中堅選手である。彼にどんな気をつかったかというと、手をつなぐ子どもが、彼の背を追い越していないか。身長158センチは、シード選手で一番小さいと言われる選手である。最近の小学生は、大人顔負けに長身の子も多くて、さすがにプロゴルファーが、ジュニアに身長で負けたとあっては・・・。勝手にそんな気遣いをして、注意深く準備をしたものである。
“キッズエスコート”は、最終組からさかのぼって10組前後で実施するのが通例だが昨年、上平は赤丸急上昇だっただけに“登板”も多くて、なおさらスタッフには気苦労(?)が耐えなかった。「ああ・・・。確かに、僕もそれはちょっと気になります。子どもに負けたらどうしようかと」。一応はそんな懸念を示しながらも本人は、「でも、それもあり。それはそれで、面白いネタになる!」。
ここ数年はオフに毎年、タイでキャンプを張るという上平は、今年も2月に当地にやってきた。特に、翌月にはジャパンゴルフツアーアジアシリーズの「タイランドオープン」を控えて、会場となったタナシティゴルフ&スポーツを下見していた際に、こんなことがあった。
たまたま、同日に大会の打ち合わせでコースに来ていたスタッフが、上平を遠目にして「へえ・・・タイにも上手なジュニアがいるもんだ」。感心しながらカートで近づいてみると、「えっ・・・もしかして上平さん!?」。
35歳にしてベビーフェイスも相まって、まさか地元ジュニアに間違われたこのエピソードは、すぐに谷口徹の耳に入ることとなり、さっそく上平のもとにも冷やかしのメールが届いたが、本人は気を悪くするそぶりもなく、相変わらず「いやあ、言われてなんぼでしょう」と、人の良い笑顔を浮かべるばかりだ。
人よりも身体が小さいことは、上平にとってはコンプレックスでもなければ、原動力でもない。「よく聞かれますけど、身体が小さいから人よりも頑張ろう、とかいうのも、特にないんですよねえ」と、笑う様子も肩の力がほどよく抜けていていい。今年こそ悲願の初優勝も、いつものようにのほほんと、「あら勝っちゃった」的な感じで、手に入れて欲しいものである。