LIVから参戦の全英覇者が対立構図を否定 ノーマンは“排除”に憤慨
2023年 マスターズ
期間:04/06〜04/09 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
PGA vs LIV オーガスタで勝敗を分けるポイントは?
新リーグ「LIVゴルフ」の発足以降、初めての開催となる「マスターズ」。LIV所属からは18選手が参加し、海外メディアはどうしても“PGA vs LIV”の構図を描いて報じる傾向にあります。
確かにこれまでにはない図式で、従来とは違う雰囲気があることは否めませんが、選手間に溝が開いたわけではありません。基準をクリアして資格があれば、LIV側の選手が出場することも賛成というのがPGA所属選手の大方の見方で、どちらかというと歓迎ムードといった印象を受けます。
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色めき立っているのは、選手側ではなく、背後にいる運営側かもしれません。LIVの関係者の立場であれば、鼻息が荒くなることは必至。直接対決のチャンスは現時点でメジャー大会しかなく、しかも“ゴルフの祭典”マスターズのチャンピオンを獲ることは、大きな意味を持ちます。
CEOを務めるグレッグ・ノーマン(オーストラリア)は、「18人の中から優勝者が誕生するなら、所属選手全員を集めて18番グリーンで祝福する」と公言しています。試合に出る選手より、彼がヒートアップしている様子がうかがえます。
そんな17人の輪に迎えられそうな選手といえば、先週「LIVゴルフ・オーランド」で優勝したブルックス・ケプカ。今週はオーガスタの天気が崩れる予報のなか、長距離ヒッター有利と目される状況で一番手に挙げられるダスティン・ジョンソン。昨年の「全英オープン」を制したキャメロン・スミス(オーストラリア)も控えます。
PGA側は、もちろん前年覇者スコッティ・シェフラーをはじめ、今シーズンすでに3勝を飾っているジョン・ラーム(スペイン)。過去に制したメジャー大会では、雨の状況が多かったロリー・マキロイ(北アイルランド)も候補に挙がってくるでしょう。
松山英樹選手も、1カ月前の「ザ・プレーヤーズ選手権」5位、先週の「バレロテキサスオープン」15位と調子は上向き。表情を見ていても、変に気負いしているわけではなく、自然体の中にもショットに手ごたえを感じている様子がうかがえます。優勝した2021年当時の世界ランキングは25位(現在21位)で、直近の数試合の成績も今季のほうが上というところを見ると、勝てる確率は高いといえます。
どちらの所属選手から優勝者が生まれるのか――。ポイントをひとつ挙げるなら、13、15番のロングホール(パー5)でのマネジメントがカギになると予想します。過去の優勝者の成績を振り返ると、優勝スコア≒ロングホールを獲った数というケースが多く、パー5の重要性を物語っているからです。特に雨天では飛距離が落ちるため、2オンを狙うべきか、安全に刻むべきかで悩む選手の姿が多く見受けられるでしょう。
PGA、LIV勢どちらにせよ、ロングホールの2打目に注目してほしいと思います。(解説・佐藤信人)
- 佐藤信人(さとう のぶひと)
- 1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。