オーガスタナショナルGC
全18ホールを松山英樹が解説
松山英樹解説
バーディ、イーグルのためには第1打を右の深いバンカーに入れないことが第一。アゴが近い場所からの2打目は距離を出せず、フロントエッジまで約90ydの3打目が残る。キャリーで310yd以上出せばバンカー越えが可能。バンカーを避けて左サイドを狙う場合は打ち出しで木が邪魔に。フェードヒッターは木々のスレスレを打ち抜きたい。
ティショットが成功すれば、2打目はアイアンで狙える距離に。右バンカーの横からでもフロントエッジまでは245ydほど、さらに打ち下ろしが15yd入る。ライは必ず左足下がり。バンカーに挟まれたエリアを狙っていけばチャンスに繋がることが多い。
ロングショットはグリーンの傾斜を使ってカップに寄せていく。ピンが左奥の高いエリアにある日は難しい。左足下がり&つま先上がりのライからのショットを、狭い範囲に落として止める必要がある。グリーンが硬いと難度はより高い。
―2021最終日プレーバックBIRDIE 1番のパッティングに続き、1Wでの第1打が真ん中に飛んだことで、「ショットも落ち着くはず」と冷静さを取り戻せた。2打目は4アイアンでグリーン右手前、ショートサイドのバンカーに。ウェッジでスピンをかけて1mに寄せ、バウンスバックできたことが大きい。
松山英樹解説
18ホールでもっとも距離が短いパー4。ティショットには2つの選択肢がある。ひとつは1Wでグリーンの近くまで飛ばすチョイスで、ピンが奥にある日に狙う選手も多い。もうひとつはFWに刻み、100yd前後の2打目を残すもの。僕は4アイアンでその策をとるケースが多い。
ティショットでグリーンの近くまで飛ばした場合、左手前のエリアからの2打目は残り40ydほどから打ち上げが3、4y入る。これが結構高く、グリーン面が見えない。しかも左サイドのエリアは縦10yd、横10ydくらいの狭いスペース、かつ真ん中に尾根が流れており、ここにピンが立つ日は難しい。
打ち上げのアプローチはふわっと高い球で寄せたい。“ワンクッション”を使うと、ソフトに落ちたときは手前に戻るリスクがある。グリーンオーバーさせると、わずかに逆目で、左足下がりのライになる。カップが右のエリアに切られる日が4日間のうちに1日ある。そのときは右サイドからのアプローチは絶対に避けたい。
―2021最終日プレーバックPAR 4アイアンでFWをキープしたが、ロフト52度のウェッジでの2打目がグリーンをオーバー。緊張感によって普段よりも“振れすぎている”と気づく。「最悪」と思った奥からのチップに成功、“OK”に寄せてパーセーブ。開始3ホールを終えて後続とは3打差だった。
松山英樹解説
最長のパー3で、表示される数字以上に長い。グリーンの左手前に突き出た8ydほどのエリアからはすべて手前に転がり落ちてしまう。右側のフロントエッジまでは打ち下ろしを入れて約220yd。僕は5アイアン、4アイアンを握るケースがほとんど。風次第でUTのときもあるが、1日だけ前のティイングエリアが使われる(エッジまで152yd)。
ピンポジションが2段グリーンの手前の段か、奥の段かによって、ミスが許される縦距離の幅が狭く感じられる。風がすごく回るホールでもある。グリーンは右から左に下る傾斜。できるだけピンの左から上りのパットを打ちたい。逆からはとにかく速い。ピンが右の日に、グリーンを右サイドに外すと、近くに寄る可能性がなくなる。
グリーンの右に外すのはダメ。オーバーさせても、上って急激に下るアプローチが残るためよくない。奥のエリアはチップでボールを落とすところが芝に微妙に食われて難しい。バンカーから2段グリーンへのショットもすごくタフ。だからこそ、ティショットの高さと精度が問われる。
―2021最終日プレーバックPAR 例年以上に全体的にグリーンが硬く、バーディを取れるようなホールではなかった。向かい風の中を4アイアンでティショット。左奥から20m近いパットを残しても「これで最高だ。ここから2パットで頑張ろう」と1オンに満足した。1mのパーパットはかなり緊張。
松山英樹解説
2019年に距離が40yd伸びたホール。ティショットで左のバンカーをとにかく避けなければならない。深いこともあり、入れるとグリーンを狙えない。315ydのキャリーでオーバードライブできるが、僕の1Wショットは無風でちょうど入る距離でもある。
バンカーを避けて3Wで刻む作戦もあるが、セカンドショットが大変。フロントエッジまでの距離は約200ydで、グリーンの手前15ydのエリアにはカップが切られないため、215yd以上の距離が2打目で残る。バンカーに入るリスクを背負って、1Wで距離を出して飛ばすほうがいいのか悩ましい。
2打目は距離が長いにもかかわらず、グリーンで狙えるエリアの横幅は15ydほど。中央から奥に速い傾斜で、右サイドからは強烈な下り。奥に外すと、上って下る難しいアプローチになる。手前からのパットは上って左に曲がるという難解さだ。
―2021最終日プレーバックPAR 1Wショットを左のバンカーに入れて2打目で刻みを余儀なくされた。緊張感が解けないまま3打目もピンをオーバー。5mのパーパットは“パンチ”が入ってしまったが、カップに飛び込んでくれた。入らなければ、ボギーパットは1.5m以上も残ったかもしれない。
松山英樹解説
距離は長くないパー3。グリーン左奥、一番遠いピンポジションでも190ydほどで、打ち下ろしが約7yd入る。ピンポジションによって難易度が大きく違う。左奥のときは2段グリーンの上の段でピンの奥が6ydと狭いエリア。奥に外すと、速いアプローチが残ってしまう。傾斜は強くても手前から上りのパットを打ちたい。
左手前のピンポジションは過去に最終日によく設定された。ティショットで奥の段から傾斜で戻してカップに寄せるのは、タイガー・ウッズもよく見せた攻め方。このピンはバーディが欲しい。
右奥は横7yd、縦7ydの狭いスペース。この“山の頂上”に止められないと、ボールが傾斜を転がって手前から20m、あるいは左から20mのパットを残すことになる。奥からは上って下るアプローチ。風向きを判断して、7アイアン、8アイアンという短いクラブでこのエリアに打てるかの勝負。
―2021最終日プレーバックPAR 8アイアンでの第1打はパーフェクトと言えるショット。ピンが立ったグリーン右上の狭い段に、久々にのせられた。前の5番でボギーを回避できたことで、流れを引き戻せたのが大きい。4mほどのスライスラインを外したバーディパットも納得のストロークだった。
松山英樹解説
このホールはとくにグリーン形状から攻め方を考えたい。横長のつくりで、縦幅が20ydしかないところが難しい。ピンが切られる左右の一番狭いエリアは8ydだけ。しかも、打ち上げになる2打目地点からは、落としどころがほとんどないように見える。
手前のバンカーからはグリーン面がまったく見えず、距離感を取りにくい。ティショットを左右の林に曲げてしまうと、2打目でバンカーか手前のFWに刻むことに。無理に狙って、奥のバンカーに入るとノーチャンス。
グリーン周りの難しさから、どうしても第1打をFWに置きたい。そう考えると、ティイングエリアでFWがすごく狭く見える。FWは中央から右サイドに下り、フェードでぶつけると、ラフまで転がり落ちる。それを警戒して左サイドに打ち出したいが、ティの前方、左からせり出ている木が気になる。低めのストレートボールで攻めたい。
―2021最終日プレーバックPAR 1Wでのミスショットが、フェアウェイの右サイドでなんとか止まってくれた。アングルが良く、ウェッジでカップインすることさえイメージして打った残り115ydの2打目は傾斜を使ってピンそば1mに。バーディパットは左へのひどいミスで、思わず笑ってしまった。
松山英樹解説
S字に近い打ち上げのパー5。ティショットは右ドッグレッグに見えるため、左の林を目がけて打つ感じ。右サイドのバンカーが深く、アゴに近いところからは2打目が大変。グリーンから手前120ydくらいのFWに、大きなこぶがある。こぶの手前からでは、グリーン面が見えない。
ティショットはFWバンカーの左に打ちたいが、行きすぎると、2打目で大きなフックをかける必要がある。左サイドに立つ木々が邪魔だからだ。バンカー近くのFWに置き、2オンできない場合は、グリーンの横からではなく、手前から寄せるのが最高のルート。
グリーン右横からのアプローチが難しい。右奥にピンが立つ日は、落としどころが本当に狭くなる。馬の背のようになっていて、左右3yd、縦5ydくらいしかないスペースに止めなくてはいけない。ある程度、距離を残して打つほうが寄るシチュエーション。
―2021最終日プレーバックBIRDIE FWからの2打目を3Wでグリーン奥まで運び、何度も練習してきたアプローチで4mに寄せた。緊張感からは解放されないまま。金谷拓実選手、中島啓太選手ら若い選手のことが頭に浮かび、「この重圧を彼らに背負わせるわけにはいかない」と気持ちを引き締めなおした。
松山英樹解説
ティショットは打ち下ろし、セカンドは打ち上げ。第1打はティから落としどころがまったく見えず、このホールの奥にある18番のテレビ中継用のタワーの前に見える木を狙っている。グリーンは右手前から左奥に長い形状で、1Wショットがうまくいくと、FW右サイドから2打目を打てるため、グリーンを狙いやすい。
左ドッグレッグで、第1打を左サイドに打つと強い下り傾斜でランが出るので、残り距離は短く、ライも平らに近くなるメリットがあるが、2打目で使えるグリーンの縦幅が狭くなる。最終日に多い左手前のピンポジションだと、バンカーも絡んでさらに狭い。
ティショットでランも含め330ydくらい飛距離が出ると、平らなライになる。そうでなければ、左足下がり&つま先下がり、つまりフェードがかかりやすいライからドローを打つ必要がある。3段グリーン周辺からのアプローチは、手前から打つ以外は、どこからでも下りになる。2打目の距離感の精度を求められている。
―2021最終日プレーバックBIRDIE 1Wショットはわずかに左に出たと思ったが、10回目の出場で最高のポジションをキープ。SWでピンそば1mの上りのラインにつけた。ちなみに初日、1mのバーディパットを外したのは想定内。強烈な下りだったため、無理をせずカップのそばに止めるつもりで打った。
松山英樹解説
最大の難関はティショット。打ち下ろしの左ドッグレッグで、左の林を避けるようにドロー、フックを打つ。ティから250yd地点より先が急激に下ることから、3Wで打つ選手も多い。かといって左に曲げすぎると、林に入るリスクがある。左サイドの平らなエリア(ティから330yd、打ち下ろし30yd)をキープできれば最高だが…。
質の高いドローボールで、最低でも280yd以上の距離を稼ぎたい。成功すれば、2打目は手前のエッジまで160yd以内になり、一番奥のピンでも185ydくらいのアイアンショットを打てる。しかしティショットでドローがかかりきらず、ストレートボールだと、右サイドに流れ、つま先上がりの左足下がりのライにたどり着く。
グリーンは右から左に全体傾斜しており、右からのパットはすさまじく速いため注意が必要。できるだけ、ピンの真下からパットを打ちたい。グリーン右からのバンカーショットはかなり難度が高いので、2打目に注意。
―2021最終日プレーバックPAR サンデーバックナインに入った時点での後続との差は5ストロークあっても安心できず息苦しい。3年8カ月のあいだ優勝できず「ここで勝てなかったら、もう勝てない」とさえ考えた。3WでFWをキープし、狙い通りカップの手前から惜しいバーディパットを打てた。
松山英樹解説
神に祈る気持ちでプレーする“アーメンコーナー”。本当に大変です。500yd越えのパー4は今年、さらに距離が15yd伸ばされることに。昨年までは1Wショットがうまくいくと、フロントエッジまで170yd、180ydの2打目を打つことができた。
FWの左サイドにはしっかりラフがあり、2打目でグリーン左手前の池が視界に入る。ピンが左に切られている日はより危険性が増すことに。右の林の向こう側には木々の隙間があるエリアがあったが、今大会前のコース改造でどうなるか。
グリーン手前30ydくらいのところにこぶがあり、ここに当たると左の池に入るリスクがある。こぶを越えれば手前のコレクションエリア、アプローチを寄せられるところに行く。ただし、基本的には池に向かって下っているので注意。2打目でグリーン中央に置ければ100点と言えるくらいの難しいホール。メリハリのあるマネジメントを。
―2021最終日プレーバックPAR 前日3日目は悪天候での中断明けに、右の林からチャンスを作り勢いづくバーディ。1ショットでFWをキープした最終日は、このあたりからショットの調子が揺らぎ始めたことを自覚した。6Iでの2打目は池に入れないことだけ頭に入れ、グリーン右のカラーに置いた。
松山英樹解説
左のフロントエッジまでは長くても142ydと最短のパー3。プロなら9アイアン、PW。もっと短いウェッジで打てる選手もいる。手前に流れるレイズクリークを考慮しながら、グリーンの奥を警戒したい。こぼせば、必ず下りのアプローチが残ることになる。
奥からはとくにバンカーショットが難しい。砂地とグリーンのあいだ、3、4ydの刈り込みが厄介。ファーストバウンドがここに落ちると、ボールが止まって寄りにくい。その一方で、グリーンにキャリーで落ちると、クリークまで転がり落ちてしまう怖さがある。
とにかくティショットでグリーンをとらえたい。風の読みが最大のポイント。11番からの風と13番からの風がちょうどぶつかるところにある。アドレスの前にフォローが吹いたと思っても、いきなりアゲンストに変わることもあり、判断が本当に難しい。
―2021最終日プレーバックBOGEY 2020年にタイガー・ウッズが「10」を打つなどトラブルがあるホール。後続とは6打差で、ピンまで158ydは9アイアンでぴったりの距離だったが、攻めたい気持ちを制御してグリーンセンターを狙い奥のバンカーへ。2打目は反対側のクリークを警戒し、目の前のカラーで止めた。
松山英樹解説
終盤にかけて勢いづきたいパー5は急激な左ドッグレッグ。2023年からティイングエリアが後方に下げられ、35yd延長して545yd設定となった。改造前のティショットは、1Wなら左からせり出している木を目がけて、高いドローボールで左右5ydほどの幅の間を打ち抜く感覚。そうでないとFWに置けなかった。
ティからの視界が広くなる3Wも、ストレートボールだと正面(右サイド)のラフ、ベアグラウンドまで突き抜けてしまう心配があった。距離が長くなったことで1W一択となり、ティショットに限ればシンプルになったかもしれない。以前は2オンを狙いたいホールだったが、今年からはクリークの手前にレイアップする確率が高くなりそう。
グリーンは奥にこぼすとアプローチが難しい。バンカーとグリーンとのあいだ4、5ydの刈り込まれたエリアがある。ピンまではこのエリアで上り、グリーン面にのってからは下りになるため、バンカーショットも厄介。この刈り込みからはパターで打つ手もあるが、オーガスタ特有の芝に食われて距離を出せない恐れがある。
―2021最終日プレーバックBIRDIE 1Wショットは右の林の木に当たりラフ。3Wで左のクリークに入れるミスを警戒した安全策で、右サイドからなら3打目で隣の14番ホールを使えるとも想定していた。結果的には5アイアンでの2打目をグリーンの奥まで運び、ウェッジで下り傾斜にのせて寄せた。
松山英樹解説
バンカーがひとつもないパー4。ティショットが打ち上げで、FWは左から右に傾斜しているためドローボールを打ちたくなる。フェードやストレートで左サイドのギリギリを狙うと、せり出た木に当たって距離が残るかもしれない。
ティショットのポジションが良ければ、2打目は9アイアン前後で打つことができる。つま先下がりのライ、グリーンの横幅をしっかり頭に入れて打てば、それほど難しくはないはず。
グリーンは手前エッジから15ydまでのエリアにはボールは止まらず手前に戻ってくる。左サイドにピンがある日に、2打目でグリーンの左に外すとボギー以上はほぼ確定。計算通りに攻められたときと、ミスをしたときとのスコアの“振り幅”が激しいホール。
―2021最終日プレーバックPAR 1Wショットは想像以上に右に打ち出して強いフックボールに。残り127ydのセカンドで5mのチャンスを作ったが2パット。同じ最終組のザンダー・シャウフェレが3連続バーディを決めて4打差に。逆転劇を期待したパトロンがにわかに盛り上がる雰囲気を感じた。
松山英樹解説
2022年にティイングエリアが下がり、20yd伸びた。FWは広いようで意外と第1打で狙えるエリアは狭い。ティから360~370yd地点、左サイドからせり出た木々が問題で、2打目を打つ際にFWど真ん中からでも邪魔になるので右サイドをキープしたいが、距離が伸びたことで2オンのチャンスは少なくなるはず。
グリーンはフロントエッジから5ydのエリアが、戻って手前のクリークに入る。ボールを止められるエリアは縦幅10ydほど。グリーンをキャリーでキャッチして止めないと、奥の16番の池に入ってしまう。昨年までは2オン狙いのとき4アイアン、5アイアン。風がフォローで6アイアン、7アイアンを握った。
グリーンは右奥から左手前に向かって恐ろしいほどのスピードで下る。奥からのアプローチに注意。グリーンにボールが届いた瞬間にサーッと下っていき、反対側のクリークに入る可能性もある。タイガー・ウッズが2019年に優勝したときは、左サイドのピンを狙わずに右のセンターに置き、きっちり2パットでクリアしていく凄みがあった。
―2021最終日プレーバックBOGEY 残り228yd、向かい風の4アイアンでの2打目は会心の当たりが出てグリーン奥の池に。ドロップ後、ウェッジでの4打目はグリーンにのらなかったが勇気あるスーパーショットだった。5打目をパターで打てるところまで運び、ボギーで抑えられた。
松山英樹解説
最後のパー3はフロントエッジまで約150yd。ピンが一番奥にあるときでも185ydくらい。トッププロなら7アイアン、8アイアン。風次第で6アイアンを持つことはあるが、距離自体は長くない。ピンポジションによって正確な攻めが求められる。
最終日のピン位置は左奥(2005年、ウッズのチップインで有名)が多い。ティからの視界は池とバンカーの上にピンが立っているように見える。グリーン上の右からの下り傾斜を使ってカップに寄せたいが、そのショットの落としどころは横幅7ydほど。
左奥のピンのときはバンカーという逃げ道があるが、左手前のときは池がより近い。そのため右から攻めるが、逃げすぎるとパットが大変。右サイドのピンのときは狙える幅が5ydほど。絶対に右に外してはいけない。激しく下るアプローチか、バンカーショットを強いられる。それを嫌ってピンの左に打つと12、13mの上りのパットが残る。
―2021最終日プレーバックBOGEY 2打差に迫ってきたシャウフェレが先に打った第1打はグリーン手前の池に入った。それまで、ピンを攻めるべく握っていた8アイアンを7アイアンに持ち替え、安全策にシフトチェンジ。「泥臭くていい。絶対に逃げ切る」とフェードボールでグリーンをとらえた。
松山英樹解説
ティから約210yd地点、左サイドにあったアイゼンハワーツリーが2014年に切られた。それまで「あの木の右端に打てばいい」と思っていた目印がなくなり、個人的には狙いにくくなった。広いFWからグリーンにかけてどんどん狭くなっているように見える。
2打目がFWからでも左端からだと、木が邪魔でグリーンを攻めにくい。とくにピンがセンター、左サイドにあるときは狙えない。ティショットではやはり右サイドをキープしたいが、僕は右狙いだと立ちにくさを感じる。
2打目は7アイアン、8アイアンだが、打ち上げでグリーン面が見えない。ピンと逆サイドに打ったショットは傾斜でどんどん離れて行く。手前のバンカーは深さがたっぷりあるが、これはどちらかというと“寄る“バンカー。
―2021最終日プレーバックPAR 会心の1WショットでFWキープ。メジャー制覇が現実的になった局面で放った、人生で一番といえるドローボールだった。PWでの2打目はアドレナリンとの戦いを制してパーオンに成功。6mのバーディパットは緊張で手が動かなかったが、後続との2打差を守った。
松山英樹解説
第1打で両サイドの背の高い木々のあいだを打ち抜いていく。ティからグリーンにかけて、テレビで観るよりも実際はかなりの打ち上げ。左のバンカーはティから300yd、1Wショットでちょうど入る距離。とくに中央より先に入ると、残りが170~180ydの2打目で高いアゴを越えなければいけないため、必然的にショートするケースが多い。
バンカーを避けて右サイドを狙いたくなるが、良いポジションをキープするのは難しい。FWからでも右からの木が邪魔になるエリアがある。ただしPGAツアーでトップクラスの飛ばし屋はバンカーも越える、右サイドの木が邪魔なエリアも越えることができる。
パトロンが待つグリーンは、縦幅は35ydあるが横幅は15ydくらい。そこに打ち上げが入ると、手前エッジまで160yくらいのショットでも、ものすごく細長く見える。2段グリーンは手前の5ydは止まらず手前のFWに転がって戻る。2つのガードバンカーはどちらも深い。ピンは右から攻めるのがセオリー。グリーン左には外せない。
―2021最終日プレーバックBOGEY 1Wショットは人生で一番のフェードボール。打つ直前に右サイドの木の枝が気になり瞬時にドローから変えた。2打目を右のバンカーに入れたのは、チップが難しい左サイドを警戒したもの。パーパットは「勝つことが大事」と入れたい気持ちを制御して寄せにいった。
松山英樹解説
ティショットは右サイドの深いバンカーを警戒。グリーンにより近いエリアに入ると、目の前のアゴが自分の身長くらいの高さがある。右のバンカーを避けて左サイドに置きたくなるが、ファーストカットはNG。左からせり出ている木が2打目で邪魔になる。バンカーの手前に刻むという選択もある。
グリーンはフロントエッジから15ydのエリアが上りの急傾斜。とくに右サイドに落ちたボールは手前のFWに戻ってしまう。2打目は左サイドを狙いたくなるが、左手前のバンカーがかなり深い。
ピンは左サイドに立つ日が厄介。グリーンの手前側からのバンカーショットは寄せられても、左側からはノーチャンス。オーガスタはグリーンが大きいようで、狙えるエリアが狭い。そう考えると2打目はFWから打ちたい、バンカーや左ラフから打ちたくないと考える。ピンポジションから逆算するとタフなスタートホール。
―2021最終日プレーバックBOGEY 前夜からの緊張が治まらず、練習からスイングテンポが速かった。第1打は3Wで右の林に打ち込み、FWに出した2打目も木に当たりそうなミス。3オン2パットで後続との差は前日の4打から1打に縮まったが、パットで手がスムーズに動き「大丈夫」と思えた。