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国内男子ISPSハンダマッチプレー選手権(3回戦・決勝)の最新ゴルフニュースをお届け

佐藤信人の視点 勝者と敗者

新興国から一大勢力へ タイ勢の強さの秘密

「ISPSハンダマッチプレー選手権」は、タイのタンヤゴーン・クロンパ選手が決勝戦で賞金ランキング1位の今平周吾選手を下し、日本ツアー初優勝を挙げました。

クロンパ選手は、2014年から日本ツアーに参戦している28歳。本格参戦5年目での初勝利は、今大会3位に入った23歳のラタノン・ワナスリチャン選手とともに、タイ勢の強さを証明する結果となりました。

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タイ勢と言えば、現在、国内シニアツアーで圧倒的な強さを発揮しているプラヤド・マークセン選手を思い浮かべる人も多いと思いますが、欧州ツアーにキラデク・アフィバーンラト選手やトンチャイ・ジェイディー選手が参戦。女子ツアーでもアリヤ、モリヤのジュタヌガン姉妹といった世界の舞台で活躍するメンバーがそろっています。

タイは以前から「ゴルフ天国」と称されるほど、ゴルフ環境に恵まれた国です。気候は一年中温暖で、チャンピオンコースが数多く存在します。全体的にフェアウェイが広く、地形を生かした戦略的なコースばかり。芝の上から打てる練習場も、ゴルファーにとって快適です。多くの国内選手がオフシーズンに合宿に出向くことを見ても、世界有数の好環境と言えます。

このような最適な地で育ったタイ出身選手が、世界で戦えるレベルに至ったことは当然と言えば当然です。国内で九州や沖縄から実力者が多く輩出される現状と似ています。温暖で自然に囲まれた環境は、プロゴルファーを育てるのに適していると思います。

私が感じるタイ選手の特徴は、リスト(手首)をやわらかく使う選手が多いという点です。リストをしなやかに使い、ボールに強烈なスピンをかける。体の回転でボールを運ぶというよりも、ひじから下の動きでスピンをかけてボールを止めるタイプが多いように感じます。

これはタイのチャンピオンコースが、世界基準の地面の硬いグリーンであったところから生まれた要素ではないでしょうか。ベント芝のやわらかいグリーンとは違い、硬いグリーン上でボールを止めるには、ある程度のスピン量が必要です。タイの選手はこのようなコースでジュニア時代からゴルフを覚えたことで、自然とリストの使い方を身につけたのだと思います。

現状では、アジアの中で日本・韓国に継ぐ勢力となっているタイ。選手層から見ると、すでに日本を超えていると評する人もいるほどです。12月に新規イベントとして、親善試合「アマタフレンドシップカップ」(日本選抜vsタイ選抜)が予定されていますが、いまからどのような熱戦が繰り広げられるか楽しみです。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

関連リンク

2018年 ISPSハンダマッチプレー選手権(3回戦・決勝)



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