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2020年 DPワールド ツアー選手権 ドバイ
期間:12/10〜12/13 場所:ジュメイラ・ゴルフエステーツ(UAE)

佐藤信人の視点 勝者と敗者

ラームに見る新世代王者の資格

欧州ツアー「DPワールドツアー選手権」は、ジョン・ラーム選手(スペイン)がトミー・フリートウッド選手(イングランド)を1打差で退け、優勝と同時に年間王者の栄冠を手にしました。

今季は7月の「アイルランドオープン」で優勝、10月の母国開催「スペインオープン」を制したのに続き、ツアー通算6勝目。米ツアーを主戦場に置くラーム選手にとっては、限られた試合でしっかり結果を残したゆえの戴冠となりました。

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ラーム選手といえば、誰もが認める世界屈指のパワーヒッターです。米ツアーのドライビングディスタンスは、つねに上位。2017年/311yd(3位)、18年/305yd(13位)が示しているように、豪快なショットが魅力。彼が王者に輝いたことは、欧州でも飛距離が必要不可欠となっていることを裏づける結果のように感じます。

平均飛距離300ydを超える選手はいまや、どのツアーでも珍しくありません。米ツアーでは、昨季のスタッツで約50人も300ydを超える選手が存在します。欧州ツアーでも、今季は同じく50人ほど。昨季、年間王者のフランチェスコ・モリナリ選手(イタリア)は、もともと280~290ydだった飛距離を、300yd台に乗せて称号を得ました。

また、国内でも昨季は額賀辰徳選手(302.93yd)、竹内廉選手(301.97yd)、I.H.ホ選手(300.91yd)の3人だけでしたが、今季は現在16人(11月26日時点)も300ydを超える選手がいます。5~10年前のスタッツとの比較だけでなく、直近1~2年の間でも飛距離が伸びている傾向を知ることができるのです。

飛距離がここまで重視される傾向の発端は、いまさらながら説明不要とは思いますが、タイガー・ウッズ選手(米国)の存在なくしては語れません。彼が当時見せた異次元の飛び、あり得ないほどの飛距離が、その後のゴルフ界を変えたといっても過言ではないと思います。

ラーム選手を含め、現在のトッププレーヤーたちは、ウッズ選手の影響を少なからず受けて育ちました。ウッズ選手のパワーに憧れ、スタイルを模倣し、ゴルフ観をつくっていきました。彼らが道具の進化も相まって、現在の300yd時代をつくりあげたといえます。もはや飛距離はひとつの“武器”ではなく、ツアーで勝つための必要な“資格”となりました。

スーパースターの飛距離に憧れた少年たちが、新たな時代を生み、カムバックした当事者の前に対峙する。歴史は繰り返されながら、ゴルフは進化し続ける――。新王者の出現に新たな時代の移り変わりの伏線を見たような気がしました。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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