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佐藤信人の視点 勝者と敗者

小平効果 刺激を受けたU25世代

「パナソニックオープン」は、ラヒル・ガンジー(インド)の14年ぶりツアー優勝で幕を閉じました。

今大会で注目したいのは、日本人最高位4位タイにつけた今平周吾選手と川村昌弘選手、そしてトップ10に入った稲森佑貴選手、星野陸也選手といった「若手」と呼ばれる20代前半の選手たちが上位にそろったという点です。

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彼らの勢いには、先週の「RBCヘリテージ」で米ツアー初優勝を果たした小平智選手の影響が少なからずあったのではないかと思われます。今回の結果は偶然かもしれませんが、これまで一緒に国内で戦っていた先輩が、遠い舞台と認識していた米ツアーで勝利を挙げたことをセンセーショナルにとらえ、刺激に感じたのは国内すべての若手選手に共通して言えると思うからです。

特に10~20代の若い選手は、見たもの、感じたものをすべて吸収できる力を持っています。試合で悪い結果を残したとしても、それが経験となって力に変えることができます。そしていつかキッカケをつかみ、結果につなげ、自信を得て勝利に結びつけることができるのです。それを実際に証明したのが、小平選手だと言えます。

以前は国内なら国内、海外なら海外と、「二兎追う者は一兎をも得ず」ということわざ通り、1本に絞ったほうが良いという考え方が主流でした。ですが、いまや「世界ランキング」というひとつの指標で、明確な目標をもって戦える環境に変わりました。ボーダーレス化した現状で、世界を視野に入れて戦うことは必須になりつつあると言えるのです。

特に今季、世界へ向けて足を踏み出しつつあるのは今平周吾選手です。昨季は常に安定感のある結果を残し、「関西オープン」で悲願の初勝利を収めました。賞金ランクは6位、獲得賞金は1億円を超えました。全米オープンにも出場し、着実に経験を積んできています。彼が先頭に立ち、若い世代を引っ張ってくれると、日本人の選手層はより厚くなると思っています。

今週は小平選手が国内ツアー「中日クラウンズ」に戻ってきます。海外組は彼だけではなく、宮里優作選手も出場します。若い選手たちが彼らと肩を並べて戦い、良い刺激を受け、何かキッカケをつかむチャンスとしてくれることを期待しています。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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