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9年目で勝った!「本当に長かった」穴井詩のクールな歓喜

国内女子ツアー「ゴルフ5レディス」でプロ9年目の穴井詩が初優勝した。2日目を終えて首位タイに並んだ申ジエ(韓国)、鈴木愛、さらに1打差に迫ったイ・ボミ(韓国)に通算14アンダーで競り勝った。所属するゴルフ5が主催する大会での悲願達成。期待され続けた大器は「9年は長かった。お世話になった人たちに感謝でいっぱい」と頬を緩めた。

勝負を決める1mほどのパットを丁寧に沈めると小さく拳を握った。「あれは、渾身のガッツポーズなんです」と照れ笑い。18番グリーンの脇で同じ所属先のメンバーたちに水をかけられると、嬉しさを隠しながら背を向けた。シャイな28歳は、9年越しでも泣くことはなかった。表情を崩さず「本当に長かったです」とポツリと吐露した。

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平均270ydとツアー屈指の飛距離で「素材は抜群」と言われた。だが、勝てなかった。単独首位で最終日を迎えた2014年「LPGAツアー選手権リコーカップ」でテレサ・ルー(台湾)にプレーオフで負けた。序盤で3打のリードを築いたが自滅した。雨に打たれながら号泣した。「自分のミスで負けた。これが一番、悔しかった」

2打リードで迎えた、この日の最終18番。穴井がティショットを放つ直前、普段以上に間が空いていることに渋谷一英キャディは敏感に気が付いた。「大丈夫か?」と一声かけた。「さすがに緊張していました」と穴井は言う。こんな些細なやり取りがあったのも、渋谷キャディが「素材はすごい。メンタルの部分だけなんです」と理解しているからだった。

こぼれ落ちそうになった勝利を、今度はがっちり掴んだ。ティショットをバンカーに入れた14番でこの日初のボギーを叩き、後続との差は1打に縮んだ。「(過去の負けで)精神的に鍛えられた」と続く15番で7m、16番で5mをねじ込み連続バーディとした。「きょうは切り抜けられた」と隙を与えなった。「楽しかった」と胸を張った。

決して本調子ではなかった。今季の賞金ランクは前週までに41位。昨年まで2年連続トップ20の穴井には不本意だった。理由は1Wの正確性。開幕戦から調子が悪くシャフトを3本変えるなど試行錯誤が続いた。だが、最大の武器の不調が「もういくら予選落ちしても構わない。1勝さえできれば」と開き直る理由になっていた。

結実した思いは自信を生んだ。「メジャーを獲りたい」。淡々と涼しげな表情で日本一の称号を目標にした。(北海道美唄市/林洋平)

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2016年 ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント



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