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上野菜々子、アマチュアとしてもう1年「いまは落ちたことを経験してよかった」/女子ゴルファーの新たなサバイバル その(5)

「この先の予定は?」その言葉が、しばらく頭から離れなかった。昨年11月の最終プロテストで、合格ラインに5打届かなかった上野菜々子だが、アマチュア時代の実績もあり、試合終了後はテレビカメラの前に立っていた。

「えっ?て思いました。予定なんて、いまなくなっちゃんたんですけど…って。QTがあって、プロになってステップでもいいから活躍するっていう目標が白紙になったところなのに。その言葉が頭にこびりついちゃって、帰ってから結構ループしていました」と、いまでは笑って話せるが、当時は涙が止まらなかった。

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「インタビューではぎりぎり耐えたけど、やっぱり反省とかしているうちにすごい涙が出てきちゃって。ホテルに帰ってからも夜中12時くらいまで泣いていました。いままでやってきたものが一気に崩れた。こんなに涙が出るんだって、自分でもびっくりしました」

一週間ほど練習にも熱が入らなかったが、「ダラダラ続けたらダメだ」と反省した。ジュニア時代から交流のある青木翔コーチの元に足を運んだ。同門の先輩・渋野日向子にも電話した。「やっぱり一番は日向子ちゃんです。電話したら、『わたしは(1回目のプロテストでは)3日目で落ちて、4日目まで行けてないし、大丈夫だよ!』って言われた。すごい説得力あるなって(笑)」。多くの人からも、挫折を経験した方が強くなれると励まされた。

プロテストのニュース記事はよく読んだという。「合格した安田祐香とか、落ちた子もそう。そういうのを読んで、技術はそんなに変わらないけど、考え方やマネジメントがすごく足りないと思った」と、失敗からの学びも得た。いつしか涙も乾いていた。

今年、上野はアマチュア資格を保持することを選択した。憧れるアメリカの下部ツアー挑戦もチラリと選択肢に浮かんだが、経済面とサポートする人がいなくて諦めた。他国の女子ツアー参戦は考えなかった。「一番は国内プロテスト。とにかくQTまで行けるようにしたい」というのが最優先の目標だ。

「日本女子アマとステップで勝ったら最終プロテストに行ける。ステップ優勝はファイナルQTの出場資格もついてくるから、そこが目標です」という。アマチュアならば、プロの試合に推薦出場することも可能だ。

とはいえ、出場できる試合は限られている。試合や練習のかたわら、上野は昨年4月から近所のホームセンターで、レジ打ちや品出しといったアルバイトも始めている。「ひとつは社会勉強です。やっぱりゴルフだけじゃダメなので、高校のときは親に『勉強しておけ』って言われていました。働き始めてから、他店の店員さんとかにすごく優しくなりましたね」。昨年末は、大晦日までの4連勤も経験した。アルバイトで得た収入は、もちろんゴルフ代に消えていく。

「いまは、落ちたことを経験してよかったなと思います。ぜったい、あんなに泣きたくないって思えるようになったので」。諦めなければ失敗はない。今年もまたプロテストの壁に挑んでいく。(編集部・今岡涼太)

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2019年、多くの女子ゴルファーにとって職場を失いかねない荒波が押し寄せた。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のツアー出場優先順を決める予選会(QT)に出場するには、プロテスト合格などで得られる「正会員」の資格が必要になったためだ。それまではプロテストに通らなくても、QTで上位に入れば単年登録でプレーできたが、制度改定でスタートラインにすら立てなかった。そんな選手の行き場はどこにあり、何を目指すのか。「女子ゴルファーの新たなサバイバル」を随時伝える。

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