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弱気の虫は退治する 重永亜斗夢は”ゴルフの歴史”と最終日最終組

◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 3日目(14日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7081yd(パー71)

29歳の重永亜斗夢にツアー初優勝のチャンスが舞い込んだ。6アンダーの4位でスタートし、後半14番からの4連続を含む8バーディを奪取。ノーボギーで締めくくり、自己ベストの「63」で通算14アンダー首位に浮上した。

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単独トップに躍り出て迎えた16番(パー3)、バーディパットを放った重永は「まさか、まさか…」とつぶやいた。繊細に転がした下りの8mがカップに向かうラインに乗っている。白球が視界から消えると、自分のバーディラッシュに驚きを隠さず、笑みを浮かべた。

顔の半分を覆う花粉症対策の白いマスク。キャップの後ろには紫色の“あるモノ”が輝いていた。熊本地震から2年が経過したこの日、選手会が主導したキャンペーン。同県の県花である「リンドウ」をモチーフにしたリボン型のピンバッジだった。

多くのプロが賛同してウェアなどにつける中、重永の場合には特別な意味がこもる。出身の熊本県菊陽町は2016年4月14日に震度5強、16日に震度6弱を観測した。この2年はツアーを通じて復興活動にも参加。今週9日(月)、三重に入る直前には熊本城のふもとにある加藤神社を訪ねてきた。「石は転がりっぱなし。悲惨な状態。まだ手を付けられていない地域もたくさんあるんです」と訴える。

連日上位でプレーしながらショットの状態が悪く「ビクビクしながら打っている。自信はまったくない」とこぼした。もともと「激・ネガティブ、弱音しか吐かない、ビビり」というのが自分の性格分析。ただ、故郷を思えば気持ちが引き締まった。「スタートをする前には『そんなことは言っていられない。頑張らなきゃいけない』と心に決めました。それがうまくかみ合った」。

勝負の最終日に同組で回るのは、ツアー通算31勝の片山晋呉と14勝の石川遼。「(ふたりは)“ゴルフの歴史”のような人たち。自分は欲をかかずにやる」と謙虚に言った。リードは4ストロークあるが「全然セーフティじゃない。9打でも不安。仮に18打あったら、エブリワン(1ホールごとに1打のハンデ)があればいいですけど…」とポツリ。ホールアウト後に顔を出した弱気の虫は、しっかり退治してティオフする。(三重県桑名市/桂川洋一)

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