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自分にできることは?熊本の同級生・重永亜斗夢と永野竜太郎が2位で最終日へ

白いキャップの喪章を揺らし、懸命に食らいついた。三重県の東建多度カントリークラブ・名古屋で行われている国内男子ツアー「東建ホームメイトカップ」3日目。大地震に見舞われた熊本在住の重永亜斗夢永野竜太郎は、首位のキム・キョンテ(韓国)に4打差の7アンダー2位タイで最終日を迎える。

地元では同級生。「調子は決してよくない。スコアがなんとかまとまっている」と声をそろえた。前半アウトでスコアを伸ばせず、ムービングデーに首位の背中は徐々に小さくなった。だが、バックナイン。重永は11番で右サイドのカラーから10mの強烈なフックラインを沈めてバーディを決めた。永野は最終18番で下りの10mを読みきり、バーディフィニッシュで大歓声を浴びた。いまだツアー勝利のない27歳の2人はたくましく、キムヘの挑戦権を確保した。

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時間の経過とともに故郷の被害は拡大している。上位争いをする両者は、この日も早朝6時に電話で連絡を取り合った。テレビの映像に目を疑った。阿蘇大橋が崩落していた。「自分が研修生をしていたコースには、あの橋を渡って通っていた。なくなるなんて想像できなかった。衝撃を受けた」(重永)。

永野の実家は、前夜の地震で扉が開かなくなった。家族は外からバールでこじ開けてもらい屋外に逃げたが、既に満員の避難所もあったという。「おととい(14日)までは自分のところ(益城町出身)だけが被害の中心と思っていたのに…。状況がどんどんひどくなる。あ然とするしかない」。家族の安全が確認できただけで、心が休まるはずもない。

いち早く自宅に戻りたい気持ちもある。しかし交通手段が断たれた現状を考えれば、一度帰ってからではツアーの連戦に戻れる保証もない。

そんな弱ったハートを叱咤するのは、まさに被災した家族の声だ。「とりあえずゴルフを頑張って。義援金にできるくらいの賞金を稼ぎなさい。お金だけじゃない。水も物資も足りない」。重永の1つ年下の妻・和歌子さん(26)は自家用車の中で2人の娘を守りながら、電話の向こうでそう言った。「熊本の女の人はキツイんです。尻にしかれている男は多いと思いますよ」と、苦笑いする夫の顔は誇らしげだった。

永野は言った。「(重永と)お互い『頑張ろう』と言い合うことはないです。自分がしっかりしなくちゃいけない、という気持ちがお互いにあるだけ。きょうは『熊本が大変だけど頑張って』という声援も、ギャラリーの方からもらった。そういう声に応えなくちゃいけない。亜斗夢もそれを分かっている」。悲痛な心情、無力感、周囲への感謝…。最終日にかける思いの強さは、言葉を交わすまでもない。(三重県桑名市/桂川洋一)

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