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ツアープレーヤーたちの愛用品<パター>

友利勝良がデビュー以来、片時も手放さないものがある。
パターのピンアンサーだ。
83年受験のプロテスト合格を導いたこのパターは、いまやシャフトの部分にはひび割れが入り、ヘッド部分には貼り付けた鉛がすっかり同化して、どれが原型やらもはやわからなくなっている状態だが、今でも“現役”だ。

「そうですねえ。これとは、もう20年以上の付き合いですねえ・・・」
と言って友利は、愛しそうにヘッドを撫でた。

「そりゃあね、僕だってほんのたま~に、“浮気”することもあります。だって世間にはこんなに新しい道具が溢れているんですからね。だから別に、“こいつ”に固執するつもりはまったくなくて、上回るものがあればぜひ使いたいと思って試したりするんですが、これまで1試合以上持ったことがない。・・・何かがね、違うんですよ、構えたときの手触りというか感触というか・・・。うまく口で表現できないんですけどね。で、結局、“こいつ”に戻ってくる」

『ショットが悪い』『パターが入らない』と言って、次から次へと新しいギアに飛びつき、毎週、…下手すると毎日、違うパターを使うという選手も少なくない。
しかし友利はパットが入らなくなったときはいつもこう思うそうだ。

「ラインに向かって、うまく打てない俺が悪いのだから」だから、いまさら道具を変えても同じだ、と考える。
「入らなくなったらなおさら、道具を変えたら不安になる。不安を感じながら打つくらいなら、この愛用のパターを使っていたほうが、まだ安心ですから・・・」といっていつもの朴訥な笑顔を見せた。

ツアーきってのパットの名手・芹澤信雄もまた然りで、こちらは「研修生時代からつかっている」というピンアンサーを今も大事にしている。

しばらくはご無沙汰だったのだが、先週のフジサンケイクラシックでは目の強い高麗グリーン対策として、「ほかのどのパターよりも思い切ってヒットできる」というこのエースパターを久々に起用した。

「もうシャフトも折れそうなくらいボロボロだけど、やっぱりこれがいちばん落ち着く。なんたってこれで何億と稼がせてもらってきたしね(笑)。安心感が違うよ。もし、これをなくしちゃったら、『ど、ど、ど、どうしよう?!』って錯乱しちゃうかもしれない」というほど無二の一本。

「今年は原点にかえって戦うよ」と話す芹澤は、再び手にした“宝刀”を味方に、賞金ランクによるシード権奪回に燃えている。

※日本ゴルフツアー機構が発刊しているメールマガジン(プレーヤーズラウンジ)より転載しています。

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