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コロナ禍で「考えて、考えた」星野陸也が卓球も野球もヒントに再開戦V

◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日(6日)◇富士桜カントリー倶楽部(山梨)◇7566yd(パー71)

雨を浴びても、空が晴れ渡っても、星野陸也は1Wを一心に振り続けた。堀川未来夢との18番での3ホールにわたるプレーオフ。「自分は常にトップバッター(オナー)だったので、飛距離で圧倒する」。平均300ydを越えるロングドライブ。自分の持ち味を信じ切った。打ち上げの状況で左のバンカーを警戒し、「捕まえたフェードで行く。押し込んで、フェードに」。狙い通り弾道で終始アドバンテージを取り、先輩プロをねじ伏せた。

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2年前に同じ富士桜CCで挙げた初勝利は、初日から首位を譲らない完全優勝。最終日も5打のリードを守って悠然と勝った。昨年「ダンロップ・スリクソン福島オープン」での2勝目はトップで迎えるはずの最終ラウンドが荒天で中止に。一打を争う極限の緊張感を味わうのは初めてだったかもしれない。

前半7番(パー3)で第1打を池に入れてダブルボギーとするなど、同じ最終組の時松隆光に逆転を許した。5m前後のチャンスを決めきれず、上位に居続けるのに必死だった。周りを見てもコロナ禍で観客はいない。「拍手があると『次もやるぞ!』となるんですけど、“なあなあ”になってしまう。同級生のキャディと自分で盛り上げようとした」。バックナインでリーダーボードを確認すると、前を回る選手に「先に(トップで)ホールアウトされたら厄介だと思っていた」と気合を入れ直し、17番(パー5)で首位タイになるバーディを決めた。

プレーオフの相手になった堀川は、同じ日大ゴルフ部出身。年下の星野の在学中(2年時に中退)はコーチと部員という間柄だった。「雨でピンを狙えない状態で、彼の高い球と僕の低い球ではかなりきついと思っていた」と先輩は言う。24歳の豪快なショットはライバルへの重圧になり、心理面で差があった。最後は6mの下り、フックラインを沈めてガッツポーズ。「逆転されて、追いついて、逆転して勝った。プレーオフは関西オープン(2019年/大槻智春が優勝)で負けた反省が活きた」と、わずかな時間で培ってきた経験に胸を張った。

新型コロナウイルス感染拡大によるシーズン中断中は、クラブのこと、スイングのこと、あらゆることを「考えて、考えた」という。「卓球台を買って、ボールってどう回転するの?とよく考えた。野球は詳しくないけど、大谷翔平のスイングもYouTubeで見たり。何かがつながることもある」。自粛期間中もゴルフのことを一途に思えば時間が過ぎた。

10月「ZOZOチャンピオンシップ」(カリフォルニア州シャーウッドCC)への出場権も勝ち取り、「4勝目、5勝目を挙げて賞金王になりたい」と言った。「コロナの中で開催していただいたことを、選手として感謝しています。ファンの皆様にテレビの前で応援していただければなと思っていました。すごく良いプレーをしたいと余計に思いました。いつも以上に」。8カ月ぶりのシーズン再開戦、国内初戦のタイトルは、多くの人の支えがあって得たことも忘れていない。(山梨県富士河口湖町/桂川洋一)

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