石川遼、マスターズ出場決定に「ありがたく、うれしい」
若き新星の誕生と、5年ぶりの完全復活/2007年国内男子レビュー
2006年度から5つものトーナメントが撤退し、賞金総額も約5億円の減少。これまでにない強い逆風の中で、2007年シーズンは開幕した。しかしシーズン序盤にして、日本男子ゴルフ界の歴史を塗り替え、さらに危機的状況にあった男子ツアーに光明を差す大記録が生まれる。第5戦「マンシングウェアオープンKSBカップ」で、当時15歳の高校生アマチュアが優勝。一夜にしてゴルフ界を代表するスターとなった石川遼が、衝撃的なプロツアーデビューを果たしたのだ。
新聞・テレビ・雑誌、各メディアは、こぞって稀代のニューヒーローを報道。その後はプロツアーに7試合出場し、予選落ちはわずかに2回。会場には、前年を大きく上回るギャラリーと報道陣が詰め掛け、“遼クンフィーバー”に沸いた。また、15歳でのプロツアー優勝が世界最年少記録としてギネスに正式認定。テレビ局のアナウンサーが命名した“ハニカミ王子”が「流行語大賞」に選ばれるなど、国内外で大きな社会現象をも巻き起こした。
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一方、青木功、尾崎将司に並ぶ4年連続賞金王に挑んだ片山晋呉は、シーズン終盤でスパートを見せたものの賞金ランク2位で終了。代わって、最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で賞金王を確定させたのは、5年ぶりにタイトルを奪還した谷口徹だ。片山の強さばかりが目立った3年間の“独裁”に終止符を打つ、見事な復活劇だった。打倒・片山の急先鋒と目されていた谷原秀人は、取り組み始めたスイング改造がなかなか結果に結びつかず、賞金ランク4位で終了。それでも9月上旬に2連勝し、一時は賞金王争いに名乗りを挙げる存在感は示した。
若き新星の誕生と、かつての賞金王の完全復活。加えて、29歳の小田孔明が賞金ランク9位で初シード獲得、30歳の近藤智弘、26歳の岩田寛のさらなる躍進など、若き世代の台頭も目立った。まだ順風と表現するのは尚早かもしれないが、明らかな変化が現れた2007年。数年後、男子ツアー復活への転換期となった節目として、語り継がれるシーズンとなるかもしれない。