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2015年 ウェルズファーゴ選手権
期間:05/14〜05/17 クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)

アダム・スコットが「オリンピックはエキシビション」と発言

112年ぶりの金メダリスト誕生まで、あと1年あまり。2016年のリオデジャネイロ五輪(ブラジル)でゴルフがオリンピック競技に復活する。ゴルフ界も当然、オリンピックへの復帰を歓迎する声が大半。だが、「ウェルズファーゴ選手権」の開幕前、アダム・スコット(オーストラリア)がロイター通信に対して語った言葉が、ちょっとした反響を呼んでいる。

現在、世界ランキング11位でオーストラリア代表入りが濃厚なスコットは、「絶対に出ないということはないが、オリンピックに出ることを前提に日程を調整することはない」とコメントした。「僕はメジャー大会で最高のプレーができるように日程を組む。もし出場資格を得られて、さらにオリンピックに出ても問題ない日程が組めるなら、それはちょっとした楽しみになるだろう」と、来年も従来通り、メジャー大会を優先する方針を明らかにした。

もちろん、オリンピック復帰がゴルフ界全体に与える好影響はスコットも理解している。これまでゴルフがあまり盛んでなかった国々で自国選手をオリンピックに送ろうという動きが活発化し、選手育成をバックアップする国も出現し、さらにテレビ等を通じてゴルフ競技がより広く認知される。つまり、これまで以上に世界規模でのゴルフ発展が期待できるというシナリオだ。

それでも、スコットはオリンピックの競技種目は、当該競技にとってオリンピックが頂点となるスポーツにこそふさわしいと考えているようだ。4年に1度の晴れ舞台のために努力を積んで、その一瞬にすべてを懸ける――「彼らのための大会だよ」とスコットは言う。「僕がもし出られなくても、残念だとは思わない。テレビ観戦を楽しむよ。(ゴルフが)オリンピックに必要だとは思わない」。

現在のゴルフ界は1年に4度のメジャー大会を頂点と位置づけている。メジャー大会にどれだけのステータスがあるか?は、過去の名選手たちの取り扱われ方を見ると、理解できるだろう。

PGAツアーの最多勝はサム・スニードの82勝(メジャー7勝)。欧州ツアーは50勝(メジャー5勝)のセベ・バレステロス(スペイン)。だが、メジャーで最も多くの勝利を記録した通算18勝(PGAツアー73勝)のジャック・ニクラスこそ、“帝王”の異名通り、ゴルフ界最高の選手として評価されている。

スコットがあえてメジャー大会優先を口にしたのは、オリンピックにすべてを捧げるアスリートへの敬意、ゴルフ界の伝統への崇拝、そしてメジャー大会に懸ける自身の熱意を表したものと受け取れる。

「エキシビションの試合をプレーするために、メジャーシーズンの真っ最中に遠く(ブラジル)までプレーをしにいく選手がいるとは思えない」とスコットは言った。記者が“オリンピックの試合をエキシビションだと思っているのか?”と確認すると、「その通り。なぜなら、ほとんどのスポーツの原点はそこ(オリンピック)ではないと思うから」と、再度明確に肯定した。

敢えて注釈を入れるなら、事実としては、<メジャーシーズンの真っ最中>ということにはならない予定だ。2016年は、7月14日(木)から17日(日)までイギリスのロイヤル・トルーンで「全英オープン」が開催され、その2週間後の7月28日(木)から31日(日)に、アメリカのバルタスロールGCで「全米プロ」が行われる。「全米プロ」は普段は8月中旬に開催されているが、この年はリオ五輪が開催される8月5日(金)から21日(日)の期間を避けて、前倒しで実施されるのだ。

さらに付け加えれば、優勝賞金約2億円のメジャー大会からオリンピックを挟み、米ツアーはボーナス賞金1000万ドル(約12億円)を懸けたフェデックスカッププレーオフへと突入していく。

“エキシビション”というスコットの言葉は、賞金の有無だけを指摘したわけではないだろう。テレビ放映権料やスポンサー収入に運営の重点を置き、商業主義で加速する近代オリンピックへの当てつけもいくらか含まれていると思うからだ。気付いたら、自分の意思に反してオリンピックの名の下に国やゴルフ界を背負わされ、過密日程を強いられることへのアンチテーゼ。<僕はそんなものには振り回されないよ>というニュアンスを感じる一言だった。

スコットの意見への批判も少なくはないはずだが、この問題提起をじっくりと考えてみる価値はある。(ノースカロライナ州シャーロット/今岡涼太)

*過去、ゴルフがオリンピックで競技されたのは1900年と1904年の2回だけ。この112年のブランクの間に、全英オープン(1860年が第1回大会、以下同じ)、全米オープン(1895年)、全米プロ(1916年)、マスターズ(1934年)のいわゆる4大メジャー大会が、ゴルフ競技の頂点として広く認知されてきた。

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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