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2013年 CIMBクラシック
期間:10/24〜10/27 クアラルンプールG&CC(マレーシア)

惜敗のキラデクに見たアジアの“連帯”

マレーシアにあるクアラルンプールG&CCで開催された「CIMBクラシック」は、怪物・松山英樹が出場するとあって、僕たち日本人メディアはフィールド唯一の日本人選手を追い掛け続けた。雷雲で今大会初めての中断を余儀なくされた最終日。松山が無事ホールアウトし、その取材も終わって一段落着いた頃、コースでは日没を睨みながらの優勝争いが繰り広げられていた。

最終組の1組前で回るキラデク・アフィバーンラトは、首位を1打差で追いかけ、タイ人選手として史上初の米ツアー制覇に挑んでいた。雨と日没でまもなく闇に飲みこまれようとしている18番ホールには、フェアウェイからグリーンまで投光器がたかれている。3打目をピン左5メートルのバーディチャンスにつけたキラデクが18番グリーンに歩いてくると、その暗さを吹き飛ばすように、周囲を取り囲んだギャラリーからこの日一番の声援が沸き起こった。

このパットを決めれば首位に並ぶ。前日まではさほど熱心じゃなかった20人ほどのアジア人カメラマンがグリーン右サイドから後方を取り囲むギャラリースタンドの前で、手前と奥の2カ所に分かれて固まっていた。不慣れなカメラマンによる同組選手への悪影響を心配したのだろう。欧米人の中年男性ボランティアが高圧的な態度で手前にいる一団の動きを制している。「今は動くな」「奧にはいけない」。

カメラマンたちはなかなかベストポジションまでたどり着けず、不満そうな顔を見せていた。僕は同組のクリス・ストラウドを指差し、「彼のショットを撮りたいんだ」と強い口調でボランティアの制止を振り切ったが、不慣れなカメラマンたちはまだ同じ場所でモジモジしたままだった。

カメラのファインダー越しに見たキラデクのバーディパットが、どういう軌跡を描いて外れたのかは分からなかった。だが、ギャラリーの悲鳴と落胆、キラデクの悔しそうなリアクションで充分だった。1打届かずプレーオフ進出を逃したキラデクは、天を仰いでから視線を下に落とし、それからタイ人特有の両手を合わせる挨拶でギャラリーへの感謝を示し、最後は誇らしげにバイザーを取ってグリーンをあとにした。

成長著しいアジアだが、それでもまだ貧しい地域は多い。クアラルンプール市内の飲食店には、フィリピン人やベトナム人が出稼ぎに訪れ、炎天下のゴルフ場ではインドネシア人キャディが頭にタオルを巻いて汗を流す。彼らの内に潜んだ熱い思いは、同じアジア人として欧米人を打ち負かそうとするキラデクの活躍に重なるに違いない。

メディアセンターで知り合ったインドネシア人記者はきっぱりとこういった。「僕はタイ人じゃないけど、キラデクのプレーを本当に誇りに思うよ」。日本人として彼らから受け取る親近感も、似た感情が元になっているのかもしれない。次週は中国・上海で開催される「WGC HSBCチャンピオンズ」。同じアジアでも、全く違った雰囲気であろうことは覚悟の上だ。(マレーシア・クアラルンプール/今岡涼太)

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