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苦しみは誰よりも分かるから 福嶋晃子が気になる妹の口ぐせ

「わたしは全然できない」。それが妹の口ぐせだ。国内女子ツアー「サイバーエージェントレディス」最終日。日米通算26勝を誇る福嶋晃子は、4歳下の妹・浩子の初優勝をかけたプレーオフを心配そうな顔でじっと見つめていた。1ホール目にキム・ハヌル(韓国)のパーパットが外れて勝利が決まった瞬間、誰よりも早く涙を流した。「苦しかったね」と妹を抱きしめた。

初日から首位を守っていた妹は、サンデーバックナインで崩れた。16番で4パットのダブルボギーをたたくと、後続との差は1打になった。姉は「もう見ていられなかった」と17番はパスした。それでも、18番とプレーオフは緊張しながら見守った。

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妹の苦しみは分かっていた。この試合も、これまで歩んできたゴルフ人生も。妹がケガで選手生活を断念しかけた際は「私のところに来なさい」と、マネジャーとして呼び寄せた。だが「お姉ちゃんがいるから、浩子ちゃんは輝かないんだよね」。そんな声も聞こえた。

「できれば、代わってあげたかった」

今年の2月ごろから、妹の印象が変わった。今までほとんどなかったゴルフの相談を受けるようになった。体調も日々変わるし、どうやって安定したプレーをするの? 初日はいいんだけど2日目以降が続かない、どうすればいいんだろう? 姉妹のゴルフ談義は熱を帯びた。「優勝は無理じゃないんじゃない?」と妹の背中を押した。

この日、ツアー史上初めての姉妹優勝が実現した。「わたしは全然できないけれど」。妹は優勝会見で、笑いながら口にした。ジュニア時代の大会で緊張をほぐすためにお菓子を持たせたときの姿が、まぶたをよぎった。(静岡県三島市/林洋平)

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