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凸凹コンビの“初勝利” 姉さんと童顔ボスが保つバランス

◇国内男子◇トップ杯東海クラシック 最終日(2日)◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7315yd(パー72)

「姉さん」と慕う相棒はもう、うれし涙に暮れていた。ツアー通算2勝目を飾った片岡大育は思わず「この人、気が早いな」と笑った。20cmのウィニングパットは、キャディの伊能恵子さんの目には霞んで映っていたかもしれない。

片岡のバッグを担ぐのは、ボスよりも9cm背が高い、身長176cmの専属女性キャディ。かつて宮本勝昌岡本綾子古閑美保ら日本の男女選手をサポートした。江戸時代に日本全国を測量のため行脚した伊能忠敬という歴史上の人物を祖先に持つことでも、広く知られている。

体力的にも精神的にもハードなプロキャディ。今年5月で47歳という年齢もあり、伊能さんは7年ほど前に第一線から退く意向だった。リンパマッサージ師として新たな人生を本格化させようとしていた矢先、2014年の秋に片岡から声がかかった。

伊能さんの豊かな経験と明るいキャラクターを頼りにした片岡は、15年5月「関西オープン」で悲願のツアー初優勝をマークしたが、その際、隣にいたのはスポットで起用したハウスキャディだった。

以降も片岡のキャリアが着実にステップアップしていることを実感しながらも、コンビとしての「1勝」を欠いていれば、どうもバツが悪い。今年は5月「中日クラウンズ」でプレーオフ敗退の2位。9月に入ってから前週まで3試合連続でトップ10入りと好調を維持していたが、キャディにとっては「私とのペアでは勝てないのかもしれない。大事なところでポロッとスコアを落としてしまう。いいアドバイスもできない。経験がいくらあっても力になっていないんじゃないか」と、惜敗の連続はかえって痛感する責任が膨らんでいく時期だった。

祖先譲りの“測量”技術はもとより、長身を活かした(?)伊能さんのキャラクターが片岡にとっては何より心強い。優勝を争うラウンド中も「18番ホールの池、姉さんにとっては“水たまり”ですよね」と口悪いジョークを飛ばし、伊能さんの長身をイジって笑い合い、緊張感を解きほぐしていた。

それでいて片岡は「ああ見えて、実はいろいろ気にするタイプなんですよ」と、女心への配慮も忘れない。一方で伊能さんも、童顔のボスを「あの子はアジアンツアーでたくさん叩かれてきた(鍛えられてきた)。自分たちが思うよりも心が強いんです」と分析する。豪快そうに見えて繊細。柔和そうで芯が強い。凸凹コンビはギャップが重なり合って、バランスを保っているように見える。

「伊能さんのためにも早く勝ちたかった」というのは、紛れもない片岡の本心だ。ただひとつ、心残りはないだろうか。2人は最終18番で4mのバーディパットを前にして「絶対に入れて勝とう!」と声を掛け合ったという。だがボールはカップの脇をそれ、勝利のシーンはタップインパーになった。「インパクトでちょっとゆるんだのもあって、思った以上にフックした」と片岡は口惜しそう。日本ツアーの名物コンビのいっそうの歓喜は、次の機会に持ち越しだ。(愛知県みよし市/桂川洋一)

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桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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