木曜日は“2辛” アダム・スコットはあなたと変わらないかも?
2015年 日本オープンゴルフ選手権競技
期間:10/15〜10/18 場所:六甲国際ゴルフ倶楽部 東コース(兵庫)
2度目の日本オープン出場 アダム・スコットの残像について
昨年に続き、「日本オープン」2年連続出場を果たしたアダム・スコット(オーストラリア)は、4日間通算5アンダーの7位タイで神戸の街を後にした。一時は世界ランク1位にまで上り詰めた男にとっては納得できる成績ではなかっただろう。帰り際、ちょっぴり寂しそうな表情を浮かべたことが、心に残った未練を感じさせた。
ラフが短く、グリーンも比較的軟らかかった今週は、ピン位置を振ってスコアの際限ない上昇が食い止められた。時には、傾斜の途中にカップが切られたこともあった。硬さとは異なる指標のグリーンスピードは、最終日のスティンプメーターが高速グリーンといえる13フィートを記録した。2011年シーズン序盤に長尺パターに変更したスコットだが、来年1月1日のアンカリング禁止を受けて今週はショートパターを握っていた。ショットよりもグリーン上でのパフォーマンスが鍵を握るコースセッティングはスコットに厳しかったと言えるだろう。
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「パッティングに関しては忍耐が必要。5年間続けてきたことから、新しい取り組みを始めたばかり。それよりも、ショットでチャンスに付けられなかったことが残念だ」。大会最終日も550ydの1番(パー5)で、アイアンで楽々2オンに成功しながら、1mを外して3パットのパーとした。パットの不安はショットへのプレッシャーを高め、後半はショットも乱れるようになってしまった。
プレーでは高い期待に応えることはできなかったが、それ以外の立ち居振る舞いでは“これぞ一流”という場面が随所にあった。
スコットと契約しているのは日本企業のユニクロだ。当然、日本への興味は深い。自分がプレーすることで、多くの日本人選手や子供たちを刺激できることも理解している。「僕がジュニアだった頃、オーストラリアで当時のトッププレーヤーたちのプレーを見たことがある。今でもそれは鮮明に覚えているよ。そういう興奮を日本に届けられたら嬉しい」。ショット毎に沸き上がるギャラリーのどよめきを聞けば、今年もその目的を達したことは明らかだった。
大会期間中の金曜日には、神戸ハーバーランドにあるユニクロショップへと出向いた。夫人へのお土産を物色したのが1つの理由。もう1つは、現在ユニクロが取り組んでいる難民支援活動「1000万着のHELP」への協力だった。
今週、スコットの右袖にはユニクロの赤いロゴとともにUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の青いロゴが貼られていた。自身の着古したシャツを回収ボックスに入れてきたというスコット。メディアを通じた支援活動への喚起だけでなく、いつかスコットのシャツも難民の元へと届けられることだろう。
日曜日のプレー終了後には、昨年に続いて今年の獲得賞金全額(520万円)を寄付することを申し出た。
「今年も大好きな日本で素晴らしいトーナメントに参加することができて、日本の皆さんにも本当に良くして頂きました。少しでも日本の方のお役に立てたらと思い、今年も獲得賞金の全額を寄付させて頂きたいと思います。寄付先については、今後主催者の日本ゴルフ協会と相談させて頂きながら決めていきたいと思います」。
多くの記者に囲まれた最終日、「サンキュー、ガイズ!」と名残惜しそうにみんなを見詰めながら、スコットは静かに会場を離れた。感謝とお別れの言葉を伝える余裕はなかったが、彼はきっとまた来てくれる。その時を待ちたいと思った。(兵庫県神戸市/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka
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