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“寿限無”化する? 国内男子ツアーのリランキングを整理してみた

5月「日本プロ」を9位で終えた額賀辰徳は、『リランキング』で優先順位を大きく上げた1人だ

多くのツアーには、フルシード権を持たない選手を対象に、シーズン途中の賞金額に応じて出場優先順位を組み替える『リランキング』という制度がある。好調な勢いのある選手により多くの出場機会を与え、ツアーを活性化するもので、国内では男子ツアーが実施(国内女子は未導入)。先週の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」までで出場資格選手の順位が一部見直された。どういう仕組みなのか? 一口に説明するのは難しい新制度も今季は実施されるので、国内男子のリランキングについて一度整理してみた。

まず、国内男子の大会は、最終戦の「JTカップ」を除いて、84~156人程度の選手によって優勝を争っている。大会ごとの出場人数の違いは、おもに日照時間やコース立地などに負うところが大きく、先週の「福島オープン」が年間最多の156人出場大会だった。このうち松山英樹がそうであったように大会主催者推薦の出場枠というものがある。この人数を除いたフィールドに、よく言う「賞金シード」や「QT◆位」などの選手が優先資格順に従い出場している。

出場資格は25カテゴリー。以下、長くはなるが、2015年シーズンのツアー出場資格をご覧いただこう。(1)から順に出場優先順位が高い。

【2015年度ツアートーナメント出場資格】
(1)賞金ランキング1位(翌年から5年間)
(2)「ツアー選手権」「日本オープン」「日本プロ」優勝者(翌年から5年間)
(3)「ゴルフ日本シリーズ」優勝者(翌年から3年間)
(4)ツアー優勝者(その年と翌年から2年間)
(5)賞金ランキング上位60名(翌年1年間)
(6)永久シード保持者(25勝以上)
(7)会長が推薦する者
(8)ツアー優勝者(達成試合に限る/翌年から5年間)
(9)ツアー成績10位以内(達成試合に限る/翌年1年間)
(10)直近の試合で成績10位以内(年度内)
(11)チャレンジツアー賞金ランキング1位
(12)チャレンジツアー年間3勝(その年の残り試合)
(13)チャレンジツアー優勝者(JGTOが指定した試合)
(14)『フォールシャッフル』上位10名
(15)USPGAツアーと欧州ツアーメンバーのランク上位者(翌年1年間)
(16)ワールド杯又は日韓対抗戦の日本代表(その年と翌年から2年間)
(17)ツアートーナメント複数優勝者(年間2勝:その年と翌年から3年間/年間3勝以上:その年と翌年から4年間)
(18)生涯獲得ランク上位25位以内(本人が選択した1年間)
(19)アジアツアー賞金ランク1位(翌年1年間)
(20)賞金ランキング61位~75位(翌年1年間)
(21)特別保障制度の適用者
(22)チャレンジツアー賞金ランキング上位者(リランキングまでの試合)
(23)QTランキング上位35位まで(リランキングまでの試合)
(24)賞金ランキング上位100位まで(リランキングまでの試合)
(25)QTランキング上位者(リランキングまでの試合)

いわゆる「賞金シード」は(5)番目、「QT」経由は(23)番目の優先順位でずいぶん差があることが、ご理解いただけるのではないかと思う。一般的には「公傷」を指す(21)番目までに、すでに86人の選手が該当する。先に、大会への出場人数には限りがあることを説明したが、QT経由での出場はその順位次第で「今週は出られないかもしれない」という不安と向き合い続けるということだ。

さて、『リランキング』はそんな狭き門をめぐる(22)(23)(24)(25)の選手のみが対象。該当選手のみの独自の賞金ランクで争い、(22)~(25)該当選手間の優先順位を決め直す。1回目の期間は、開幕戦から「福島オープン」までの11試合。2回目は、同じく開幕戦から10月「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」までの18試合。

1回目で大躍進を遂げたのは、出場4試合で約400万円を加算した額賀辰徳で、開幕時は該当選手間でも101番目だったが、今回で13番目にまで上げ、2回目の『リランキング』までほぼ全ての試合に出場できるようになった。

10月の2回目の『リランキング』では、今季から新制度の(14)『フォールシャッフル』も並行して実施される。開幕戦から「HONMA TOURWORLD CUP」まで独自の賞金ランクで争われるのは『リランキング』と同じだが、対象選手を(18)(19)(20)(22)(23)(24)(25)の7カテゴリーに拡大。上位10選手は優先順位(14)番目に昇格できるのが大きく異なる。『フォールシャッフル』上位10選手から漏れた選手を対象に行われるのが、2回目の『リランキング』というわけ…。

うーん、ややこしい。

国内男子ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の小山和顕ディレクターは、現行の制度について「フォールシャッフル導入による複雑化は、今年から出場資格が変更になったことが関連しています」と説明する。今季から出場資格(20)に加わった、前年の賞金ランク61位~75位に付与される“第2シード”の存在だ。JGTOでは、第2シードを同60位までの第1シードと同じ“シード選手”に位置づけているが、優先順位は第1シードよりもはるかに低く、日照時間が短くなる秋以降の大会には出場できない可能性が高い。

ちなみに、2014年度の『リランキング』後の実績をみると、出場選手が132人で最も多かった「KBCオーガスタ」と「ANAオープン」のリランキング最終繰り上がり順位は、それぞれ34番目と56番目。対して、84人と最も少なかった「三井住友VISA太平洋マスターズ」と「ダンロップフェニックス」は、リランキング対象者まで出場権が下りてこなかった。『リランキング』の上位にあたる『フォールシャッフル』の導入は、「シード選手」たる第2シード組への“救済策”としての役割が背景にある。

「今年はテストケースでもある。実績を見て2、3年のうちに、改善点があれば変更していくことはあると思います」(小山氏)という。ツアー活性化への寄与で評価するのか、第2シード救済策として評価するのか? 試合数が少なくなった中での施策だけに、『フォールシャッフル』へのツアーとしての評価スタンスは興味深いものになりそうだ。

一方で、読んでいて辟易するほどに文字数を必要とする新制度の複雑さも、一度考えてみていいだろう。ツアーを活性化したい思いのあまり、ゴルフファンにその魅力と本質が届かない状態になっていないだろうか?

リランキングの新制度を整理していて、子供の長寿健康を願って長い名前をつけることになった有名な落語を思い出した。寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の、水行末、雲来末、風来末、食う寝る所に住む所…。おあとがよろしいようで。(編集部/塚田達也)

塚田達也(つかだたつや)
1977年8月23日生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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