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前代未聞の変則プレーオフ その後の話

もうずいぶん前のことのように思えるが、3週間前の国内男子ツアー「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN 涼仙」では、“前代未聞のプレーオフ”が行われ、日本のゴルフ界では、それはそれは大きな話題となっていた。

物議を醸した同大会は、決勝ラウンドに入ってからの悪天候の影響で競技は54ホールに短縮。通算18アンダーで並んだ呉亜順(中国)と池田勇太の2人が、18番ホールで行われるサドンデスを迎えることになった。しかしこの最終日(9日)も午前中に雷雲が接近した影響で、2時間の中断があり、プレーオフが開始されたのは日没間際の午後6時前。1ホール目を互いにパーで分けたところで、驚愕の処置が取られた。

打球が見えにくいという理由から、2ホール目はティグラウンドをグリーンエッジから145ヤード地点に、3ホール目は100ヤード、そして呉の勝利で決着ついた4ホール目はピンから45ヤード地点となっていた。急きょ2台の投光器とカート5台が用意されたが、暗闇の中での戦いに、ギャラリーの頭の中も“?”マークだらけだった。

トーナメントを主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、この日までに競技を完了することを第1目標として、苦肉の策としてこの奇妙なプレーオフ実施の決断に至ったことを説明。1999年のJGTO設立後以降は両者優勝という例がなく、内規ではとにかく「1人の優勝者」を決めることの優先順位が高い。同大会では翌日に未消化分を持ち越すことはできず、出来る限りの中で規定に沿った処置を採った、とした。

翌日の月曜日。都内にあるJGTOの事務所にはファンから説明を求める電話やメール、FAXなどが届いた。両選手にとって公平な条件とはいえ、「バラエティ番組の企画のようなアプローチ合戦」と揶揄された。なにせ、ラインすら読めないほど暗い中でプレーすることに対してまず疑問が浮かぶ。それはプレーヤーへの敬意という点も含めてだ。

さらにJGTOにとって、風向きが悪くなったのが「TOSHIN―」同週に行われた米国女子ツアーでの出来事。「キングスミル選手権」で、72ホールを終えて通算16アンダーの首位タイで並んだ申智愛(韓国)とポーラ・クリーマーで行われたプレーオフは8ホールを終えても決着がつかず、日没サスペンデッドとなり、残りを翌日の予備日に持ち越した。結局月曜日のさらなる延長戦は1ホールで申が勝ち決着。「日本のゴルフ、これでいいの!?」そんな声はいっそう勢いを増した。

翌週の「ANAオープン」にスポット参戦した米ツアーメンバーの今田竜二は、それぞれの立場への理解を示した上で、慎重に言葉を選びながら話した。「日本よりも、アメリカの方が日も長くて、試合がやりやすいのもあると思います。ただ、プレーヤーとしては、最後まで(通常のプレーオフを持ち越して)やりたかった気持ちもあると思う」。米国ではメジャー等を除いた“平場”の試合でも月曜日が予備日に設定されるのが一般的。「試合によっては火曜日までやることもある。中には水曜日まで(予備日を)取っているものもあるかもしれません」と言う。

国内男子ツアーの試合で正式に予備日を設けているのは年間25試合のうち、日本プロゴルフ協会(PGA)主催の「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯ゴルフ協会」、日本ゴルフ協会(JGA)主催の「日本オープン」、そしてJGTO主催の「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」といったメジャー競技。また、「ダイヤモンドカップ」、「ダンロップフェニックス」は競技成立となる最低限の36ホールを消化するのが一番の目的となっているが、あらかじめ予備日を設定している数少ない平場の試合だ。

最終日翌日にプレーオフを行うためには、まず開催コースの協力が必要となる。ほとんどの場合、月曜日は会場の撤収作業が行われるが、ただちに一般営業が再開されるケースもある。それが先送りされると、日程の追加確保、人件費や通常営業を行った場合の売り上げの補償といった金額は、のべ数百万円はくだらない。「少人数で、ひとつのホールしか使わないプレーオフなら、撤去作業と同じ時間帯でもできる」という意見もあった。それにしても、ギャラリーのチケット処理や、移動バスの確保など取り組まなければいけない仕事はまだまだある。

男子ツアーのあるトーナメントの主催社関係者は「ツアー(JGTO)とスポンサーがトーナメントの日程を決める際に、予備日を含めて交渉することのほうが稀」と話した。今回の一件が、想定の範疇を超えていたことは否めない。また、日曜日の放送時間内に優勝シーンをお茶の間に届けたいテレビ局の中継事情なども相まって、一筋縄ではいかない(ちなみに米国でも平日の日中はキー局による放送が難しいため、系列のCS局で放送するという流れが確立されているそう)。つまり、イレギュラーなスケジュールへの対応が未整備な状態といえそうだ。

「TOSHIN ―」での一連の流れを受け、同大会の最終日翌日に行われたツアーの理事会では、倉本昌弘選手会長、深堀圭一郎宮里優作らの選手理事を含めた話し合いの中で、プレーオフの手順について、今大会は問題が無かったことを確認した。

とはいえ、JGTOは“今後も”それがベストな方式であるという認識ではないようだ。直後の「ANAオープン」では、大会開幕前にコース側に、万が一同様のケースになった場合、月曜日にプレーオフを行いたい旨を伝え、交渉。そして今週、愛知県の三好カントリー倶楽部 西コースで開催中の「コカ・コーラ東海クラシック」でも、後日プレーオフを同コースで開催する可能性も視野に入れている。現在、台風17号が接近中。最終日の進行に不安が残るだけに、こちらの動向にも注目が集まる。

トーナメントは放送局を含むスポンサー、コース、そしてツアーの三位一体となった協力があってこそ成立する。プレーオフの方法をひとつとっても、アクシデントに見舞われた際の対応は、ゴルフというスポーツそのものや選手に対しての敬意の度合いを、そのまま表現したものになる。(編集部/桂川洋一)

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