生源寺龍憲「61」で首位浮上 石川遼は24位に後退
2024年 中日クラウンズ
期間:05/02〜05/05 場所:名古屋GC 和合C(愛知)
ゴルフでも花巻から世界へ 米澤蓮が岩手県を“離れない”理由
◇国内男子◇中日クラウンズ 2日目(3日)◇名古屋GC和合C(愛知)◇6557yd(パー70)◇晴れ(観衆6603人)
24歳の米澤蓮は世界的なスポーツマネジメント会社として知られるIMGと契約を結んでいる。学生時代から海外志向が強い元ナショナルチームメンバーにはうってつけ。外国で手厚いサポートを受けているようだが、実際には遠征は今のところ単身が多い。
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宿泊ホテルの予約、レンタカーの手配といった最低限の身の回りのことは、自分の手でやると決めている。マネジャーやエージェント、あるいは家族に任せる選手も多いトッププロの世界で、金銭面の問題だけでなく「トラブルがあった時に『誰かのせい』だと言いたくない」と考えるからだ。
東北福祉大時代、1つ年上の金谷拓実らと宮城県仙台市で切磋琢磨する前から、拠点は東北にある。生まれは岩手県。昨年、同県出身のプロゴルファーとして初めてシードを獲得した。
プロ転向から3年目を迎えた今も、試合が終われば花巻市内の自宅に帰る。一昔前ならトッププレーヤーになった途端、東京や千葉、大阪、兵庫などアクセスに優れた都市部に移り住むプロが多くいたが、米澤は岩手から世界を目指す覚悟を変えていない。
「確かに東京に家を借りれば移動は少しラクになるかもしれません。でも、家にいるときは充電する時間。見ず知らずの土地で過ごして、練習が満足にできないと思いながら過ごしていたら、エナジーが下がってくる。携帯電話を使いっぱなしにしているみたいに…」
それに自宅から最寄りの花巻空港までは車で5分あれば着く。「2時間、3時間あれば(日本の)どこにだって行けますよ!」。冬のあいだは雪かきをしながら球を打つか、海を渡って汗を流すか。今季も3月の日本ツアー開幕前にオーストラリア、ニュージーランドで試合に出場した。「日本で『移動が大変だ』と言っていたら、海外に行けないでしょう」。自分の目標のためにはいつも身軽でいる必要がある。
岩手日報、岩手めんこいテレビといった地元メディアをはじめ、建設・工事業を営む所属先のティ.エム.プラテック(北上市)など県内の多くの企業からサポートを受けられるようになった。近くのあらゆるゴルフ場も気軽に練習させてくれる。だからこそ、地元でジュニアプログラムを実施するなど恩返しにも懸命だ。
岩手から世界に羽ばたくアスリートは大谷翔平、菊池雄星ら野球選手だけではない。「散々、『雪国はハンデだ』『岩手からプロゴルファーは出ない』とも言われてきたけれど、環境のせいにするのはイヤなので」。待ち遠しい初優勝。「勝ちに近づいているなっていう感覚はあります。少しずつ、日に日に良くなれば」とじっくりその時をうかがっている。(愛知県東郷町/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw