明暗分けた“魔の8番” 中島啓太は「作戦勝ち」に胸を張る
2023年 横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~
期間:08/03〜08/06 場所:横浜CC(神奈川)
優勝前夜はお外で“ぼっち” 中島啓太「男子ゴルフは絶対おもしろい」
◇国内男子◇横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~ 最終日(6日)◇横浜CC(神奈川)◇パー71(7231yd)◇雨(観衆2299人)
3時間以上に及ぶ中断も、ものともしない。鮮やかな逆転劇で賞金ランキング1位に返り咲いた中島啓太は、堂々とフェアウェイをかっ歩するコースの外では“フツーの23歳”らしい。
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遠征中は日体大時代の先輩である河本力と一緒に夕食をとるのがルーティン。「ほぼ焼肉」の毎日で、店の席につくなり河本がメニューを眺めて全員分の注文を完了させる。おいしいにはおいしいけれど、毎日続くと胃腸の状態がちょっぴり不安。ちなみに支払いはじゃんけんで決まる。
今週、河本は自宅からコースに通ったため、中島はひとり足を運んだファミリーレストランなどで夕食を済ませていた。最終日前夜は「部屋から出たくなくて」コンビニ弁当を食べながら、ネットフリックスで『キングダム』を見て過ごしたという。
ここで問題が発生。「部屋がお弁当の匂いになってしまって。ハンバーグとナポリタンを食べたんですけど、すごいハンバーグの匂いが…」。充満した油っぽい香りにどうにも居心地が悪くなり、部屋を出て向かったのはホテルの最寄り駅。「駅のベンチに座って、空気を吸いに行ったりしていました。風に当たってゆっくりして。(最終日の)作戦を考えながら」
街中でサインを求められたり、声をかけられたりすることは、まだほとんどないという。まあ、横浜にお住いの皆さんも、国内トップクラスのプロゴルファーが夜風に吹かれて消臭のタイミングを待っているとは思うまい…。
プライベートではゴルフではないスポーツも大好き。少年時代は空手やピアノも習っていた。「野球をしたり、バレーボールをしたり。たくさん声を出せるチームスポーツは、ゴルフとは離れた時間でリラックスできる」。プロ野球は巨人ファン。金谷拓実(広島ファン)との草野球に参加するために仙台まで駆け付けたこともある。
同世代の蝉川泰果との逆転、再逆転を経て今季2勝目をマーク。優勝スピーチで「男子ゴルフは良い勝負を毎週しています。夏も秋も熱い試合があると思うので、みなさん男子ゴルフをよろしくお願いします」と選手を代表するようにファンに呼びかけた。
「まだ僕は(プロ生活)1年目なので、あまり偉そうなことは言えないですけど、同世代の選手が活躍していて、先週(日本プロゴルフ選手権)も平田憲聖選手が優勝した。同い年や少し上の先輩と優勝争いをすると本当に“バチバチ”で楽しい。それを見てもらえたら、男子ゴルフは絶対におもしろいと思うのでそう言いました」。中島に河本や金谷、蝉川も平田も、街中を堂々と歩けない日が早く来ればいいのに!(横浜市保土ケ谷区/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw