リー・ウェストウッドがヨーロピアンツアー年間最優秀選手の栄冠
2020年 DPワールド ツアー選手権 ドバイ
期間:12/10〜12/13 場所:ジュメイラ・ゴルフエステーツ(UAE)
歴史的快挙を達成したリー・ウェストウッドのシーズン
2020/12/28 10:36
中東での“魔法の瞬間”で2020年を締め括ったリー・ウェストウッドは、「レース・トゥ・ドバイ」王者、そしてヨーロピアンツアー年間最優秀選手となった。
リー・ウェストウッドのシーズンは中東で始まり、中東で大団円を迎えた。彼はシーズン序盤にアブダビでキャリア25勝目を達成すると、初めて欧州ナンバーワンに輝いてから20年の時を経て、再び「レース・トゥ・ドバイ」を制覇してドバイでシーズンを締め括ったのである。
<< 下に続く >>
「2020年に47歳になったリー・ウェストウッドがレース・トゥ・ドバイを制覇するなんて、誰が想像しただろう?」と、最年長年間王者となったウェストウッドは語った。
では、彼のシーズンを振り返ってみよう。
アブダビでツアー25勝
今季序盤、リー・ウェストウッドは2020年「アブダビHSBC選手権」にて、終盤にかけて首位を快走する見事なパフォーマンスを見せ、ヨーロピアンツアー25勝目を挙げた。
最終日を1打差の首位でスタートしたイングランド人は、途中並ばれることはあったものの、一度も首位の座を手放すことなく、「67」をマークして通算17アンダーとし、同胞のマシュー・フィッツパトリックとトミー・フリートウッド、そしてフランスのビクトル・ペレスに2打差をつけて勝利した。
彼をツアー史上、4つの異なる10年間で優勝した3人目の選手にしたこの勝利は、彼にとってワールドワイドでの通算44勝目となった。
「自分がこんなに年を取ったのが信じられない」と、彼は1990年代、2000年代、2010年代、そして2020年代に勝利を挙げたことについて振り返り、「優勝するのは年々難しくなっている」と述べた。
「自分もまだできるんだということを見せ続けられるのは良いことだね」。
「1996年にスウェーデンで初優勝を果たした。その大会では3つの異なる10年間で優勝し、今週はここで優勝した。2020年代も自分のものにできるかもしれない」。
この「ロレックスシリーズ」2勝目により、彼はヨーロピアンツアーで25勝以上挙げた8人目の選手としてエリートクラブの仲間入りを果たした。彼以外では、セベ・バレステロス(50勝)、ベルンハルト・ランガー(42勝)、タイガー・ウッズ(41勝)、コリン・モンゴメリー(31勝)、サー・ニック・ファルド(30勝)、イアン・ウーズナム(29勝)、そしてアーニー・エルス(28勝)がこれを達成している。
今振り返って見ると、「2020年代も自分のものにできるかもしれない」という彼の言葉は正しかったのである。
2度目の大会ホスト
ウェストウッドはUKスイング初戦となったクローズハウスでの「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」で大会ホストを務める形で、シーズン中断からの復帰を遂げた。
同大会で2017年にも大会ホストを務めたかつての世界ナンバーワンは、初めて同一大会で違う形で2度目のホストを務めた選手として、歴史にその名を刻んだ。
「またホスト役となれて嬉しい」と「ライダーカップ」10回出場のウェストウッドは述べた。
「僕は3年前の2017年に、ここクローズハウスで大会ホストを務め、その役目をとてもエンジョイしたんだ。ゴルフトーナメントの運営について多くを学んだので、違う見方から物事を見るのはとても興味深かったね」。
彼はその週を「70」「71」「72」「79」でラウンドし、71位で大会を終えた。
安定感抜群の1年
アブダビ以降、新型コロナウイルスの感染拡大によりシーズン中断となるまで3大会に出場したウェストウッドは、ツアー再開後に目を見張る安定感を見せ、出場15大会で予選落ちを喫したのはわずか1回のみだった。
「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」で大会ホストを務めた彼は、その後、「イングリッシュ選手権」で34位に入ると、「全米オープン」で13位タイ、そして「アンダルシアマスターズ」でトップ10入りするなど、6大会連続でトップ20入りを果たした。その後、「イタリアオープン」でトップ30入りした彼は、11月開催となった「マスターズ」で38位タイに入った。
ただし、全てが順風満帆とは行かず、今季メジャー最終戦が行われたオーガスタナショナル以降、彼は背中の負傷のため第1回「ゴルフinドバイ」を欠場せざるを得なかったことを後になって明かした。
しかし、彼には「DPワールドツアー選手権」で皆勤賞を続ける唯一の選手としての記録をふいにする気は、さらさらなかった。
「これがシーズン最終戦でなければ、恐らく休んでいただろうね」とウェストウッドは大会前に言った。
「でも、今週は多くが懸かっている。手負いのゴルファーに気を付けろ、ってところだね。まずはやってみないとね」。
ここでも、彼は自分の言葉が正しかったことを証明した。
「レース・トゥ・ドバイ」制覇
ウェストウッドは、「DPワールドツアー選手権」で優勝すれば自動的にヨーロピアンツアーナンバーワンを確定できる4人の一人としてシーズン最終戦に臨んだのだが、仮に優勝できなった場合は、年間王者のタイトルを獲得する上で、他の選手の助けが必要となる状況だった。
ウェストウッドが第3ラウンドまでに「70」「68」そして「68」でプレーし、首位と1打差につけるなか、ジュメイラGEでの最終日はドラマチックな展開となった。最終日を通じて何度も「レース・トゥ・ドバイ」で首位に立つ選手が替わるなか、最終組が日曜の18番ティに到達したとき、ウェストウッドはようやくその順位表のトップに立ったのである。
彼は18番をバンカーからの寄せワンで上がるなど、上がり3ホールで2つのバーディを奪って「68」をマークし、優勝したマシュー・フィッツパトリックと1打差で大会を終えた。この順位により、ウェストウッドはわずか18ポイント差で3度目のハリーバードントロフィー獲得を確定させ、47歳7ヶ月と20日で「レース・トゥ・ドバイ」を制覇し、史上最年長記録を更新した。
「どの年間制覇もそれぞれかなり異なるものだった」と、ウェストウッドは3度の年間制覇を振り返った。「2000年当時、僕は結構優勝してはいたけれど、新進気鋭という感じだったと思う。まだ、ツアー7年目だったからね」。
「2009年は世界最高プレーヤーの座を狙っていて、僕は『レース・トゥ・ドバイ』を制覇する上で、ここでの勝利が必須だったけれど、それをやり遂げた」。
「そして今回、僕は今やヨーロピアンツアーでもっと成熟したプレーヤーとなったからね。(年間制覇は)今年の初めに目標としていたことではなかったけれど、これは僕が見せてきた一貫性の証しだと思う」。
彼の3度目の欧州制覇は、2000年に初めてハリーバードントロフィーを獲得してから20年の時を経ての快挙達成となったが、これにより彼は最初と最後の年間王者の期間でそれまで最長記録だったセベ・バレステロスの15年を更新した。
ヨーロピアンツアー年間最優秀選手に
ウェストウッドは今年の見事な業績により、ヨーロピアンツアー年間最優秀選手賞に輝いた。彼が同賞を受賞するのは、1998年、2000年、そして2009年に続いて今回が4度目となる。
彼は2020年の受賞者として、ゴルフメディアの識者で構成される委員会により選出された。
受賞についてウェストウッドは、「とても光栄なことであり、今年はこの賞を巡る争いが非常にハイレベルだったので、ヨーロピアンツアー年間最優秀選手に選出され感無量だね」と述べた。
「僕に投票してくれたメディアに感謝しているし、今年の難しい時期のなか、完全なる国際スケジュールを組むことに尽力したヨーロピアンツアーの全ての人々を祝福したい」とウェストウッド。
「僕はこれまで、大好きなことを仕事にし、世界中の素晴らしい場所でプレーし、素晴らしい人々に出会うことができる幸運を忘れたことは一度としてないので、この受賞についてはとても謙虚な思いがする」。
「僕は自分にとって28度目のシーズンであり、『アブダビHSBC選手権』でのタイトル防衛で始まる2021年シーズンを楽しみにしている」。
これにより、ウェストウッドは年間最優秀選手に4度輝いた選手として、コリン・モンゴメリーの記録に並んだ。