選手がマイクを装着 再開後の欧州ツアーで初の試みへ
11歳の少年がコース設計コンペで優勝
2020/05/29 09:28
18ホールのうち最終3ホールのデザインを競うヨーロピアンツアーの設計コンペが行われ、500を超えるエントリーの中から11歳のディラン・エムズ君が優勝した。ヨーロピアンツアーのゴルフコース設計会社である『ヨーロピアンゴルフデザイン』により、最も優れていると評価された。
今回の課題は、同社が実際に手掛けたコースの現場プランに沿った合計パー11以上になる3ホールの設計だった。劇的かつ戦略的で、高い独創性があることが条件となっていた。最終18番ホールはクラブハウス前で完結することが求められた。
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審査は、設計が要件に沿っているか、景色と調和しているか、その他のホールのアウトラインや18番グリーンの位置に対して設計スタイルに継続性があるか、ゴルフ戦略や規模及びプレーアビリティの面など様々な基準が適用された。
エムズ君のコメント
現在ハンディキャップ「28」のエムズ君は、イングランド・チェシャー州のブラムホールパークGCとウェールズのネフィン&ディストリクトGCのメンバーで、チェシャー州のスタイアルGCでコーチについている。彼の設計した上がり3ホールは、リスク&リワードのパー5、タフなパー3、そして3段グリーンへと続くチャレンジングな最終ホールで構成されている。
「僕はコース設計にかなりハマっていて、みんなに自分の腕前を披露する最高の機会でした」と説明した。
「使用できるスタート地点は3カ所あったので、各地点からそれぞれ設計し、ベストだと思ったルートを選択して、設計し直しました。僕はとてもチャレンジングながら、良いスコアを出すチャンスもあるホールが好きです」
「16番はリスク&リワードのパー5で、17番はグリーン周りにトラブルを配したパー3です。18番は打ち上げで、劇的な3段グリーンへと続きます」
優勝作品
5歳でゴルフを始めたエムズ君は既にホールインワンを2度達成しており、定期的にゴルフホールのスケッチやデザインをしている。応募作品の中には彼の父親のものもあり、親子対決を制したのである。
今回の3ホール設計コンペはヨーロピアンツアーデスティネーションの支援を受けており、優勝者にはヨーロピアンツアーが開催されたゴルフコースから任意で選択可能なラウンド権が贈られる。彼は優れたコース設計により、父親にもラウンドする権利を譲らなかったわけだが、2018年「ライダーカップ」開催コースであるル・ゴルフナショナルへ父親も連れて行くことで合意した。
「僕はテレビでライダーカップを見ましたが、全てに池が絡み、アイランドグリーンもあるあの上がりのタフな数ホールがとても好きになったので、あそこでプレーできるのは最高です」とエムズ君。
コンペの要件は“上がり3ホール”の設計であり、15番ホールのスタート地点は3カ所から選択可能で、最終グリーンは現場の東側に位置するクラブハウス前に置く必要があった。3ホールはトーナメントコースの最終盤として、興奮度の高い劇的な結末を提示しなければならないが、最高峰の選手たちに試練を与えつつ、アベレージゴルファーもプレー可能でなければならない。
ヨーロピアンゴルフデザインのジェレミー・スレッサー常務は次のようにコメントした。「我々は応募数と質の高さに度肝を抜かれました。多くの応募者の皆さんは、見るからに多くの時間と労力を応募作にかけており、全員に感謝しています。特にロブ・マクリーン、クリストファー・ジョーダン、トレバー・ハンセン、エメット・オサリバン各氏の応募作は特筆に値するものであり、いずれもかなりの意欲作でした。優勝者の選定は、非常に難しい作業でした」
選考委員はエムズ君、ロブ・マクリーン、デビッド・ミノーグ両氏の作品を最終選考とすることで合意に達したのだが、興味深いことに、この3作品はゴルフホールのルーティングと戦略に類似性が見られた。
スレッサー氏は次のように続けた。「最終選考に残った3作品はいずれも甲乙つけ難かったのですが、最後は、全ての要素を考慮した結果、一人の作品が他を少しばかり抜きん出ました。勝者はディラン・エムズであると発表することを嬉しく思います。ディラン君はまだ11歳であるという点で、一線を画しました。応募作を審査し、ディラン君の作品が毎回次の審査へと進むのを見るにつけ、彼はこんなに若いのに、既に他の応募作と対等に競い合っているなと思っていました。応募作の中には、経験あるゴルフ設計家による作品さえありましたから」
「最終選考の3人に祝福の言葉を贈りたいですし、特にディラン君を祝福したいと思います。いただいた反応により、自分のゴルフホールを設計することを皆さんにどれだけ楽しんでもらえたか分かりましたし、またいずれ、時をおかずに実施できたらと思っています」