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小林至博士のゴルフ余聞

「LIV」の登場はプロゴルフ産業にとって福音か/小林至博士のゴルフ余聞

サウジアラビア政府系ファンドが支援する男子ゴルフの新ツアー「LIVゴルフ」への対抗策として、米PGAツアーが取った施策(リブゴルフに参加した選手をツアーから追放)について、米司法省が反トラスト法(独禁法)に違反していないかどうか調査を開始するなど、戦いは第2ステージへと発展している。

競争は善であり、独占は悪であるという、アダム・スミスにその源流をたどる自由主義経済のメカニズムは、わが国においても経済制度の根幹を成しているが、その総本山である米国は自由な競争環境を阻害する事業体や競争者間の合意(談合など)に対し、ことのほか厳しい取り締まりの目を光らせている。

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行き過ぎた競争社会が所得格差の拡大、とりわけ社会的弱者を切り捨てる結果を生んでいたり、そもそも完全に自由な競争市場は誰にも利益をもたらさなかったりと、なんでもかんでも市場に任せればうまくいくというわけではない。しかし、参加者が利益を求めて競い合う環境が、商品の質を向上させてきたことは間違いないだろう。

米国のプロスポーツ産業は、その恰好の事例ともいえる。たとえばNBAは、今年度(2021-22シーズン)の売り上げが史上初めて100億ドル(約1兆3500億円)を突破し、いわゆる北米4大プロスポーツ(アメフト、野球、バスケ、アイスホッケー)の中で、NFLに次ぐ2番目に躍り出ることが決定的となった。この成功物語は、ライバルリーグとの熾烈(しれつ)な競争で揉まれてきた歴史の産物でもある。

24秒ショットクロック(ボールを保持したチームが24秒以内にシュートをしなければ相手ボールとなる)も、スリーポイントシュートも、他のプロスポーツリーグやライバルリーグとの競争の中で生じたイノベーションである。ライバルリーグとの選手引き抜き合戦は、選手の待遇を押し上げた。

年商2兆円を超えるなど異次元の人気を誇るNFLも、ライバルリーグの脅威にさらされる中で、ルールも選手の待遇もビジネス力も洗練されていった。対照的なのがMLBだ。かつての国民的娯楽から、NFLそしてNBAの後塵を拝するようになった要因のひとつに、4大プロスポーツで唯一、反トラスト法の適用を免除され、独占事業体であり続けたことが指摘されている。

LIVゴルフの登場で、PGAツアーは主要な大会の賞金総額を5割増しにしたり、欧州ツアー(DPワールドツアー)との連携を強化したりするなど、選手とファンにとっての魅力を向上すべく改革案を矢継ぎ早に打ち出している。今後も、両陣営の遺恨を活用した対抗戦を創出するなど新機軸はいくらでも考えられる。LIVゴルフの登場は、プロゴルフ産業にとっての福音だと思っている。(小林至・桜美林大学教授)

小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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