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小林至博士のゴルフ余聞

男子ゴルフのワールドツアー化に期待

2021/08/31 17:05

来月から始まるPGAツアーの3つの大会が、欧州ツアーと共催になった。昨年11月、PGAツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハン氏が欧州ツアーの取締役に就任し、同ツアーの映像制作会社の株式の20%を取得することと、両ツアーの連携を強めていくことを発表していた。今回はその具現化の第一弾で、来年以降さらなる連携が予定されているという。

もっとも、シーズン賞金総額が450億円を超えるPGAツアーに対して、欧州はその半分ほどという力関係からして、PGAツアーによる吸収合併→事実上のワールドツアー化に向けての第一歩という噂もある。だが、私たちゴルフファンにとっては、世界の名手たちが同じ土俵で競い合う機会が増加すると考えれば、それもまたよしだ。

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実際、ゴルフと同じく個人競技かつワールドワイドなプロテニスの場合、トッププロの舞台は世界ツアーである。男子はATP、女子はWTAというプロテニスの統括団体のもと、全豪、全仏、全英、全米の4大大会(グランドスラム)を軸に、年明けの豪州を皮切りに南半球→中東→欧州→米国→アジア→11月のファイナルまで世界中を転戦する。

公式戦認定を受けた大会は、4大大会の2000を筆頭に、1000→500→250と4段階に格付けされ、格付けの高い大会は、ランキングを決めるためのポイントも賞金も高い。公式戦の出場資格(ポイント)を得るための下部ツアーの大会も、世界各地で開催されている。日本で行われる大会では、女子の「東レ・パンパシフィック」と「楽天ジャパンオープン」が格付け3番目の500に認定されている。下部ツアー認定大会は、日本でも毎週のように開催されている。

ゴルフも、世界のトッププロのカレンダーは4大大会(メジャー)を中心に回っており、既存の大会を格付けするのもさほど難しくないように思える。日程調整もゴルフ界は元々かなりフレキシブルで、PGAツアーでさえも、シーズン開幕が1月から9月になったり、「全米プロ」が8月から5月に移動したりと、ガラガラポンは数年ごとに行われている。テニスのように、基準を世界で一本化することはさほど難しくないはずだ。

もしそうなれば、日本のゴルフ業界にとっては福音になる。男女とも少なくとも1試合は、ワールドツアーの認定大会となるだろうから、世界のトッププロの真剣勝負を目の当たりにできるようになる。ゴルフ産業界にとっては、世界基準の大会運営&コース設定のノウハウをOJTで学べる貴重な機会になろう。

最も恩恵を受けるのは選手だ。既存の日本ツアーの試合はもちろん、ローカル試合も多くが下部ツアーに認定されるはずで、そこでポイントを稼げば、ワールドツアーへの足がかりにもなる。「風が吹けば桶屋が儲かる」、英語で言えば(微妙にニュアンスは違うが)「butterfly effect」。遠い将来の米欧ツアー合体で、ガラパゴス時代にグッバイだ。(小林至・桜美林大教授)

小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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